落語自由自在47

お目当ての噺家さんが出る寄席は?協会別出演寄席

公開日:2021.07.20

最近、落語に興味をもった方に「鈴本演芸場に行きたくて、出演者を検索するのですが、私が観たい志の輔師匠が出ないのです」と言われました。それには実は、落語会のちょっと複雑な事情が関係しています。

4つの協会ごとに出演する寄席は違います

4つの協会ごとに出演する寄席は違います
浅草演芸ホール

「志の輔さんは、立川流だから、鈴本演芸場には出ませんよ」とお答えしたら、ひどく驚かれました。というのには、いろいろと複雑な事情があるからなんです。

現在、東京・江戸落語界は、4つの協会や団体に分かれています。落語協会、落語芸術協会、五代目圓楽一門会、落語立川流です。そして東京には、浅草演芸ホール、池袋演芸場、新宿末広亭、鈴本演芸場と4つの落語定席(ほぼ年中無休で、落語中心の講演を行っている場所)がありますが、どの落語定席に誰もが自由に出演する、ということはできません。

  • 落語協会 (○は落語定席)
    ○浅草演芸ホール ○池袋演芸場 ○新宿末広亭 ○鈴本演芸場
    国立演芸場 黒門亭 連雀亭
     
  • 落語芸術協会 
    ○浅草演芸ホール ○池袋演芸場 ○新宿末広亭
    国立演芸場 連雀亭 日本橋亭 上野広小路亭
     
  • 五代目圓楽一門会
    両国亭 亀戸梅屋敷 連雀亭
     
  • 落語立川流
    日本橋亭 上野広小路亭 連雀亭 日暮里寄席(日暮里サニーホール)

落語定席のうち、鈴本演芸場は落語協会のみ、他3か所は落語協会と落語芸術協会が出演します。落語定席に出られない五代目圓楽一門会と、落語立川流は、会場を借りて、主催興行を行っています。お目当ての噺家さんを観に行きたい時の、参考にしていただければと思います。

今日も扇辰日和

今日も扇辰日和

「今日も扇辰日和です」とテレビから聞こえました。

今日は扇辰師匠の配信があったと思い、画面に目をやったら、天気予報をやっていました。洗濯日和を扇辰日和と聞き違えるなんて、私としたことが急におかしくなり、笑ってしまいました。

その晩「扇辰日和」をオンライン寄席で観ました。師匠が二ツ目の頃から開いている会で、数えて79回目です。ちなみに、入船亭扇辰さんは、落語協会の真打です。

団子坂奇談

これは怖い噺ですが、名演出家で、優れた俳優で、すばらしい大道具小道具、言わばひとり総合芸術の師匠の手にかかると、つい引き込まれてしまいます。駒下駄の音、草履で走る音、裸足で駆け出す音などの、使い分けがすばらしいです。

またサゲに繋がるキーワードがあり、噺の途中でそれを言いますが、お客が聞き逃してしまうと、この噺は台無しになってしまいます。扇辰さんは、聞き手の胸にそのワードをキッチリと刻み込みました。さすがお見事でした。

今日も扇辰日和

コーヒー講座

この日のゲストは、柳家小はださんで、コハダコーヒーの店主でもあります。

「黄金の大黒」を演じた後、コーヒー講座がありました。アイスコーヒーの実演です。扇辰師匠は、今まで飲んだ中で、一番おいしいと絶賛。場内の10名に、コーヒーのプレゼントがありました。この時ばかりは、会場にいた方がうらやましかったです。

「江戸の夢」(宇野信夫:作)

二席目は一転、事情があって名乗れない父と息子が、互いを思い合うという噺です。江戸の町の、この季節ならではの風景とともに、心温まる演目でした。一瞬、扇辰師匠が消えて、江戸の町が目の前に広がった気がしました。

今日も扇辰日和

 

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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