おもしろハッピー落語会
2022.09.072021年07月20日
落語自由自在47
お目当ての噺家さんが出る寄席は?協会別出演寄席
最近、落語に興味をもった方に「鈴本演芸場に行きたくて、出演者を検索するのですが、私が観たい志の輔師匠が出ないのです」と言われました。それには実は、落語会のちょっと複雑な事情が関係しています。
4つの協会ごとに出演する寄席は違います
「志の輔さんは、立川流だから、鈴本演芸場には出ませんよ」とお答えしたら、ひどく驚かれました。というのには、いろいろと複雑な事情があるからなんです。
現在、東京・江戸落語界は、4つの協会や団体に分かれています。落語協会、落語芸術協会、五代目圓楽一門会、落語立川流です。そして東京には、浅草演芸ホール、池袋演芸場、新宿末広亭、鈴本演芸場と4つの落語定席(ほぼ年中無休で、落語中心の講演を行っている場所)がありますが、どの落語定席に誰もが自由に出演する、ということはできません。
- 落語協会 (○は落語定席)
○浅草演芸ホール ○池袋演芸場 ○新宿末広亭 ○鈴本演芸場
国立演芸場 黒門亭 連雀亭
- 落語芸術協会
○浅草演芸ホール ○池袋演芸場 ○新宿末広亭
国立演芸場 連雀亭 日本橋亭 上野広小路亭
- 五代目圓楽一門会
両国亭 亀戸梅屋敷 連雀亭
- 落語立川流
日本橋亭 上野広小路亭 連雀亭 日暮里寄席(日暮里サニーホール)
落語定席のうち、鈴本演芸場は落語協会のみ、他3か所は落語協会と落語芸術協会が出演します。落語定席に出られない五代目圓楽一門会と、落語立川流は、会場を借りて、主催興行を行っています。お目当ての噺家さんを観に行きたい時の、参考にしていただければと思います。
今日も扇辰日和
「今日も扇辰日和です」とテレビから聞こえました。
今日は扇辰師匠の配信があったと思い、画面に目をやったら、天気予報をやっていました。洗濯日和を扇辰日和と聞き違えるなんて、私としたことが急におかしくなり、笑ってしまいました。
その晩「扇辰日和」をオンライン寄席で観ました。師匠が二ツ目の頃から開いている会で、数えて79回目です。ちなみに、入船亭扇辰さんは、落語協会の真打です。
団子坂奇談
これは怖い噺ですが、名演出家で、優れた俳優で、すばらしい大道具小道具、言わばひとり総合芸術の師匠の手にかかると、つい引き込まれてしまいます。駒下駄の音、草履で走る音、裸足で駆け出す音などの、使い分けがすばらしいです。
またサゲに繋がるキーワードがあり、噺の途中でそれを言いますが、お客が聞き逃してしまうと、この噺は台無しになってしまいます。扇辰さんは、聞き手の胸にそのワードをキッチリと刻み込みました。さすがお見事でした。
コーヒー講座
この日のゲストは、柳家小はださんで、コハダコーヒーの店主でもあります。
「黄金の大黒」を演じた後、コーヒー講座がありました。アイスコーヒーの実演です。扇辰師匠は、今まで飲んだ中で、一番おいしいと絶賛。場内の10名に、コーヒーのプレゼントがありました。この時ばかりは、会場にいた方がうらやましかったです。
「江戸の夢」(宇野信夫:作)
二席目は一転、事情があって名乗れない父と息子が、互いを思い合うという噺です。江戸の町の、この季節ならではの風景とともに、心温まる演目でした。一瞬、扇辰師匠が消えて、江戸の町が目の前に広がった気がしました。
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