落語自由自在46

世界初!動く演芸場!文太の【落語Car】

公開日:2021.06.10

福岡県北九州市の高見神社にて、完成した落語Car(カー)のおはらいと、お披露目会がありました。その模様を、文蔵組落語会の配信でおなじみの、JUNS社が伝えてくれました。

寄席が無いなら作ってしまえ

世界初の動く演芸場【落語Car】の発注者は、北九州市出身の落語家橘家文太さんです。

たまたま入った新宿末広亭で、落語に惹かれ、2014年三代目橘家文蔵師匠に入門。2020年2月に二ツ目に昇進しました。これを機に、北九州で活動をしてみないかと、師匠から提案されます。東京には、たくさんの噺家がいて、落語会は常にお客の奪い合い、つてもコネもない弟子の行く末を心配してのアドバイスでした。

故郷なら親戚縁者、同級生がいますが、寄席は1軒もありません。やはりかわいそうだというのが、大方の意見でした。そんな心配をよそに、2020年8月、文太さんは北九州に移り住みます。

「無いなら作ってしまえ」が文太流、この落語Carを思いついたのです。落語Carの製作は、移動販売車などを手掛けるヒートウェーブ社が全面協力、荷台に畳を敷き高座を作り、エアコン付きの楽屋まで備えてあります。

奉納落語会 in 高見神社

奉納落語会 in 高見神社

ご挨拶 橘家文太

「今日は兄弟子が、東京から駆けつけてくれました。まずは、兄弟子が1席、その後私が1席やっておひらきです」。文太さん、深々と頭を下げました。

奉納落語会 in 高見神社

「一目上がり」橘家文吾

おめでたい場に相応しい1席です。「世界初の落語Carで、最初に落語をやるのは私でいいのでしょうか?」と言いながらも、なぜか誇らしげな文吾さんでした。

涙の向こうに文蔵師匠が!

さて、今度は文太さんの出囃子「炭坑節」が流れます。お囃子は生演奏、太鼓は石段の上で、文太さんが叩いています。首尾よく文吾さんと太鼓を交代して、さて本日のトリ文太さんの登場、と思いきや、出囃子が「三下(さんさが)りかっこ」に変わります。これは師匠の出囃子です。「マジか!?」と思わず叫ぶ文太さん。何と、文蔵師匠の登場です。

涙の向こうに文蔵師匠が!

「夏泥」橘家文蔵

「普通ね、一報があるでしょ。弟子ならばね。何もないので、仕方ないから押しかけて来ました」と文蔵師匠。愛弟子の門出に選んだ演目は「夏泥」。涙目で文太さんが見つめる中、貫禄の高座で、観客を一気に引き込みました。

涙の向こうに文蔵師匠が!

「珍宝軒」橘家文太

師匠の突然の登場で、胸いっぱいのままの文太さん。古典落語「金明竹」の博多弁版「珍宝軒」を演じ、温かい拍手に包まれました。

~落語トラック野郎・文太~ 只今爆走中!

終演後、この日34回目の誕生日を迎えた文太さん。介護施設、学校、道の駅等を廻り、九州全域に落語を届けたいと語りました。落語Carに夢を乗せて、やがては全国制覇を目指す、落語トラック野郎・文太の誕生です。

~落語トラック野郎・文太~ 只今爆走中!

◆配信協力:JUNS株式会社

 

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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