落語自由自在(78)

新春初笑い

公開日:2024.01.16

瀧川はち水鯉「雑排」

瀧川はち水鯉「雑排」

鯉朝師匠のお弟子さんで、はち水鯉と書いて、はちみりと読みます。

八五郎が横丁のご隠居に、雑排を教わるという噺で、お題を出しては、五七五に読み込むのが面白くて、二人でやり合います。テンポが良くて、コントみたいな感じに仕上げていました。

三遊亭兼矢「茶の湯」

兼好師匠のお弟子さんで、2022年3月に二つ目に昇進。からくり人形みたいな動きが、チョイチョイ出て、笑いを誘う陽気な「茶の湯」でした。

春風亭朝枝「加賀の千代」

呑気な甚兵衛さんが、隠居にお金を借りに行く騒動を描きます。たびたび借りに行くので、今回は断られる恐れがあると思い、女房が知恵をつけ、加賀 千代女の句「朝顔や つるべとられて もらひ水」を、甚兵衛さんに教えるのですが……。

さがみはら若手落語家選手権に優勝した朝枝さん、独特の風格がありました。

柳亭信楽「腰痛」

映画「転校生」みたいに、人がぶつかって入れ替わったり、次々にギックリ腰になったりと大騒ぎ、どんどん増える登場人物に、信楽さん自身も分からなくなったようで、取り違えた部分もありました。

これは好みの別れる噺です。笑いは取れたけど、結局何が言いたいのか、伝わらないまま終わり、観客も少々戸惑い気味でした。遊雀師匠が、後程これに触れます。

柳亭信楽「腰痛」

柳家あお馬「風呂敷」

ドライブ中に、警察官に呼び止められた夫婦、妻がドンドン夫を追い詰め、罪を重くするのがおかしくて、笑いが沸き起こります。たっぷりマクラをふって場内を温めてから、噺に入ります。

てっきり「厩火事」と思いきや、名作古典落語「風呂敷」でした。この意外性も、計算のうち、技なのでしょう。上手くなりました。前座の頃から見守っている私としては、胸がいっぱいになり、危うく泣きそうになりました。

林家喜之輔 紙切り

騎馬武者・野球・ライオン・獅子舞という注文に応えて、鮮やかに切りました。

三遊亭遊雀「二番煎じ」

「期待の若手の噺を、ずっと脇で聴いていたのよ。みんないいよね。一人変なのがいたけど」で、場内どっと笑いに包まれます。その後「あれはあれでいいんだよ。いろいろなのがいて」とフォロー、師匠のやさしさを感じました。

「今日は、冬の噺をさらってきたのよ」というので、冬に聞きたい噺といえば「うどん屋」「時そば」「鰍沢」「夢金」「二番煎じ」などがあり、さて何だろうと、頭が目まぐるしく回転しました。

生憎この日は17度と温かく、困った師匠「外はあったかいけれど、ここは寒いのよ」と断ってから「二番煎じ」に入りました。さすが真打、年期が違います。グイグイ噺に惹きこんでいきます。フレッシュな若手もいいけれど、ここぞとばかりに真打の実力を魅せつけました。

笑っているうちに、あっと言う間に終演、新春初笑いに相応しい会でした。

三遊亭遊雀「二番煎じ」

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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