落語自由自在76

横濱小せん会

公開日:2024.01.03

年2回横浜にぎわい座で行われる「横濱小せん会」に行ってきました。いつもは2月と7月ですが、2023年は2月と11月に開催、思えばこの会にもう10年通っております。

「孝行糖」柳家ひろ馬

「孝行糖」ひろ馬

江戸のさまざまな商売の売り声を紹介してから、噺に入ります。

長屋の世話好きな(お節介ともいう)人々が、親孝行のご褒美に、お上から貰った(青ざし五貫文)で、与太郎に飴売りをさせようとする騒動を描いています。

この噺は、3代目三遊亭金馬師匠のを聞いているので、その強烈なイメージを超えるのは難しいです。

「孝行糖」ひろ馬

「悋気の独楽」柳家あお馬

マクラで、保育園児が可愛いと思っていたらと、大爆笑をとります。滑り出し絶好調、客席が一気に温まりました。

少し賢い定吉が、ストーリーを引っ張っていきます。おかみさんに旦那、お妾さんそれぞれをいきいきと演じていて、噺に引き込まれていきます。サゲまでの噺のたたみ方が実に鮮やかで、場内から拍手が湧き起こりました。

「ねずみ」柳家小せん

「竹の水仙」「三井の大黒」などの左甚五郎の噺の中で、一番好きな噺です。

宿の主人がしみじみ語るシーンは、いつも胸に迫るものがあります。何度も聞いている噺ですが、今日は随所に工夫が凝らされた改良版で、いつもより数段楽しめました。

「ねずみ」小せん

歌謡漫談 寒空はだか

落語協会の準会員になったとかで、客席から拍手が湧き起こります。「えっ、警備員になったの?」と春風亭百栄師匠に言われたとか、巡回員と間違えたのですね(笑)。

森本レオの物真似等で笑いをとって、最後はやっぱり、何度聞いても楽しい「東京タワー」を熱唱しました。

歌謡漫談 寒空はだか

「ガーコン」柳家小せん

いつも師匠の出囃子は「せり」ですが、今日は「三味線ブギウギ」で登場です。

昨日が川柳川柳(かわやなぎせんりゅう)師匠の三回忌でしたので、師匠を偲んで「ガーコン」をネタ出ししたとのこと。

昭和6(1931)年生まれの川柳師匠の思い出話で、戦前の流行歌や軍歌を、矢継ぎ早に歌いまくります。

戦後流行るジャズは、ウッドベースからトランペット(実際に小せん師はトランペットがお得意で、ギターの腕も超一流)ドラムに至るまで、一人で奮闘(落語ですから当然ですが)まるで目の前にジャズバンドがいて、さまざな楽器を奏でているかのように聞こえるからすごいです。きっと、川柳師匠も喜んでいらっしゃることでしょう。

帰り道、70代らしい男性がスマホで検索していて、突然「小せんさんて若いんだ 49歳」と驚いていました。お連れの女性(この方もハルメク世代)「よく勉強しているわね」と感心していました。

出囃子に使用した市丸さんの「三味線ブギウギ」も、調べたら昭和24(1949)年となっていて、私の生まれる前の歌でした。私は子どもの頃聞いていますからすぐに分りましたが、師匠はずっとお若いですからね。恐らく生では聞いていないと思います。

川柳師匠から受け継いだ「ガーコン」は、噺家多しと言えども、小せん師匠しかできる人はいません。これからもぜひ、何度も聞かせて頂きたいと思いました。

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さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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