落語自由自在(73)

第55回文蔵組落語会~ばばん場出張編~

公開日:2023.09.01

東京高田馬場【ばばん場】より、生配信「文蔵組落語会」を観ました。何とこの会、本日で55回目です。ゲストは、三遊亭兼好師匠、思えば師匠は第1回目のゲストでした。

初めてのオンライン落語会

 

あの時(2020年4月)は、緊急事態宣言の直後でしたから、小さなスタジオで観客もなく、噺の途中で救急車のサイレンが聞こえてきたりもしました。

視聴する側も配信は初めてで、スマホで申し込んで、小さい画面を食い入るように観たのを、昨日の事のように覚えています。

あの日の演目は、橘家文太さんが「からぬけ」。兼好師匠が「崇徳院」。文蔵組長は「子別れ(下)」でした。

今はパソコンをテレビにつないで、大画面で楽しんでいます。我ながら、オンライン落語会に慣れたものだと思いました。

オープニングトーク 文蔵&兼好

オープニングトークは、文蔵組長と兼好師匠との出会いで大盛り上がり。場所は二代目文蔵師匠の葬儀会場でしたので、笑ってはいけないのに、つい引き込まれ大笑いしてしまいました。

金原亭駒平さんと、橘家文吾さんの後は、いよいよ文蔵組長です。

「試し酒」橘家文蔵

大店(おおたな)の旦那が酒好きで、友達の近江屋さんに「一献傾けたい」と言いますが、生憎近江屋さん医者に酒を止められていて、誘いに乗れません。

共の下男が五升飲んだと話すと「それなら、もしここで五升飲んだら、小遣いをあげましょう」と持ち掛けます。下男は「ちょっと考えさせてもらいたい」と表へ行き、帰ってきて「では飲みます」と宣言、大きな盃を傾けます。

この噺は、お酒を飲む仕草がポイントで、組長演ずる男が、徐々に酔っていく様子があまりにも見事なので、ばばん場の観客も私も、かたずをのんで見守ります。そして、飲み干すと割れんばかりの拍手が起こりました。

「試し酒」橘家文蔵

「小言幸兵衛」三遊亭兼好

麻布古川の家主、田中幸兵衛のある一日を描いた噺です。

幸兵衛さん、長屋を回っては、あちこちで小言を言うので、みんなから小言幸兵衛と呼ばれています。大家ですから、家を貸すのが仕事ですが、文句をつけて中々家を貸そうとしません。そのため、長屋には、いつも空き部屋があるのです。

今日も入居希望者がやってきますが「仕事は? 家族構成は?」と、矢継ぎ早に質問した揚句「口の利き方がなっていない」と小言を連発。言われた者は気分を害し、散々悪態をついて去っていきます。

「小言幸兵衛」三遊亭兼好

続いて仕立屋の男がやってきます。入居が決まるかと思いきや、うっかり言った一言で、事態が一変。話は心中事件にまで及びます。

兼好師匠は、次々現れる登場人物を、巧みに演じます。この噺、仕立屋の後に、また別の人物が登場するのですが、本日はここで高座を降ります。

いつになったら幸兵衛の気に入る入居者が現れるのやら、ハラハラしどうしの一席でした。

「小言幸兵衛」三遊亭兼好

オンライン落語会は、家にいながらにして特等席で楽しめますので、これからも観覧と配信のハイブリット落語会をお願いしたいと、切に思いました。

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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