落語自由自在(71)

火曜若手の会☆春雨や晴太☆

公開日:2023.07.04

東京・上中里にある梶原いろは亭では、毎週火曜日に勢いのある若手が一人で1時間の高座をつとめます。今回は春雨や晴太さんの出演です。

春雨や晴太(はるさめやはれた)さん

以前、こちらの梶原いろは亭で「洒落番頭」を聞き、巣鴨のスタジオフォーでは「鹿政談」を聞き、とても好感を持っていましたし、落語芸術協会の落語家と講談師のユニット『ルート9』のメンバーでもありますので、いっそう期待が高まります。

春雨や晴太(はるさめやはれた)さん

まずは、春雨や晴太さんのご紹介です。

落語家になる前は、会計事務所に7年程勤務、突然落語家になりたいと思い、浅草演芸ホールに出かけ、春雨や雷蔵師匠に「弟子にして下さい」と頼んだそうです。

「別にいいけど」と言われて弟子入り、今日に至るそうです。「別にいいけど」って余りにも軽い応えから開けた落語家への道、人の運命とは不思議ものだと思います。

2015年10月楽屋入り、2019年11月に二つ目昇進、ルート9のメガネチーム(春雨や晴太・三遊亭花金・春風亭昇りん)も、シーズン3に入りました。

本日は11時開演ですが、深夜寄席ではありません。

平日の午前11時ですので「お客様がいなかったらどうしよう」と、不安だったそうです。私も配信で観ますと、あらかじめお断りしておきましたが、一抹の不安はありました。

幕が開くと、お客様の拍手があり一安心。この会は、二席ないし三席演じるのが普通ですが、ただ一人立川らく兵さんは「茶の湯」一席でした。これはこれであっ晴れです。

「牛褒め」等をやる方はなく、古典の大ネタや新作落語やら、皆さん工夫されていて、さて晴太さんはどんな作戦でいくのでしょうか。

「ロッテ」

「ロッテ」

一席目は、ご自身が作られた「ロッテ」でした。

高校3年生が進路について、担任教師と語り合いながら物語は進んでいきます。

夢を持てとは言っても、それは無理だと必死に止めようとする教師と、あっけらかんとした生徒とのやり取りがおかしくて、どんどん惹き込まれていきます。

途中、これはいつの時代の高校生かとふと、疑問に? 

誰に誘われても行きたくない「日ハム・ロッテ戦」と言うのは、もう30年以上前の話で、私が千葉ロッテマリーンズ球場(現ZOZOマリンスタジアム)に、足を運んでいた27~8年前は、ロッテファンが一斉にタオルを振り回して、それは迫力がありました。

サゲはここでは書けませんが、終わってから、ロッテ関係者に晴太さん謝っていました。そのフォロー大事ですね。

「井戸の茶椀」

「井戸の茶椀」

幻の名器、井戸の茶椀が登場するのは、噺の後半で、正直清兵衛と呼ばれる屑屋と、裏長屋に住む浪人千代田卜斎との出会いから、噺の幕が開きます。

講談「細川茶椀屋敷の由来」を基にした人情噺ですが、途中屑屋さんの苦悩が繰り返されて、ダレてしまいがちなところ、晴太さんはテンポ良く畳み込むように進めます。屑屋仲間が清兵衛を脅かす件はなく、コンパクトにまとめました。

冒頭で「世界一ステキな時間にしたい」と仰っていた通り、素晴らしいひと時となりました。

※写真は許可を得て掲載しています。

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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