落語自由自在(70)

「TOIRO寄席」立川志の春 独演会

公開日:2023.05.30

コロナ禍は、毎月配信で「志の春落語劇場」を楽しみ、昨年(2022年)は師匠の地元千葉県の柏まで追いかけ、本日はさいたまスーパーアリーナにやってきました。

立川志の春 独演会へ

さいたま新都心駅に降り立った途端、ものすごい人でごった返していて圧倒されました。

立川志の春師匠の人気も、ついにここまできたかと、密かに喜びました。が、隣の建物で三代目 J SOUL BROTHERSのコンサートがあるようで、皆そこへと消えて行きました(笑)。

私が目指すはTOIRO寄席、十人十色の十色(TOIRO)です。

TOIRO寄席

「やかん」立川縄四楼

立川談四楼師匠のお弟子さんで、沖縄出身です。6月からは二つ目に昇進、琉四楼となります。

知ったかぶりをする隠居のところに、八五郎がやってきます。いつも高飛車な隠居を困らせてやろうと、物の名前の由来を次々にたずねると、隠居はこじつけて、煙にまいていく噺です。

途中講釈の言い立てが聞かせどころですが、省略してしまって残念。言い間違えるよりは、リズムが崩れなくて良いと言えば、それまでですが、きちんとお稽古して聞かせて欲しいと思いました。

「やかん」縄四楼

「絶校長」立川志の春

田舎の学校に呼ばれた売れない落語家と、校長との会話で物語は進んでいきます。一癖あるおかしな教頭に圧倒され、やがて誰をも傷つけない笑いにしてほしいと、無理難題を吹っ掛けられて、噺家は散々な目にあいます。

「見ざる聞かざるEXILE」が口癖の校長、実はお隣で開催されている三代目 J SOUL BROTHERSに、初代志の春が対抗した一席でした。楽しくて、あるある話のオンパレードで、場内は爆笑の渦に包まれました。

「夏どろ」立川志の春

気の弱い泥棒が、深夜長屋に盗みに入り、寝ていた男に気づかれます。貧しくて盗る物がないと分かり、帰りかけると、男から相談を持ち掛けられます。

「死にたい」と言われ、そうさせてはならないと、次々に飛び出す要求に応え、ついには有り金全部を渡してしまいます。気のいい泥棒と、それに付け込んで、とことん甘える男のやり取りが、おかしくて惹き込まれました。

「不動坊」立川志の春

マクラとサゲは営業妨害になるので、いつの頃からか書いてはいけないとなりましたが、志の春さんのマクラは本当に素晴らしいです。先日の配信での話を、使い回すのかと思いきや、全く違う話で、はるばる埼玉まで来た甲斐がありました。

吉兵衛が風呂屋に、慌てて鉄瓶をぶらさげて行ってしまう件は、手拭に持ち替えないのかとハラハラしましたが、これが効果的に笑いを誘い、一気に聞かせます。

サゲは独自のものでしょうか。初めて聞きましたが、納得のいく素晴らしいものでした。ここでサゲを書けないのは残念ですが、また行ってみたいと思わせる魅力たっぷりな会でした。

皆さんも、ぜひ、志の春師匠の会に足を運んでみて下さい。本日の木戸銭2000円也。

「不動坊」志の春

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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