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- 落語体験記~柳亭小痴楽真打昇進披露公演~
落語が大好きなさいとうさんの落語体験記。落語を聞いて笑うことが、さいとうさんにとって元気の源なのだそう。今回は、今注目の柳亭小痴楽の寄席のレポートです。
柳亭小痴楽さんの真打昇進披露公演に行きました
柳亭小痴楽さんの真打昇進披露公演に行って来ました。場所は国立演芸場です。
柳亭小痴楽さんは、ご存じあの「痴楽綴方狂室」などで一世を風靡した、3代目痴楽さんのお弟子さんで、4代目痴楽さんの息子さんです。
「木曾義仲」桂文治
16歳の小痴楽を最初に預かったのは文治師匠ですが、ここでは触れず「木曾義仲」に入ります。恐らく口上で話すのだろうと思いました。自身の師匠(大人気だった桂伸治)の話を挟みながら、巧みに噺を運んでいきます。いつもながら、その上手さに引き込まれました。
「厩火事」三遊亭小遊三
小遊三師匠の「厩火事」は、登場人物のキャラがはっきりしていて、特におさきさんの表情が可愛らしく、何度も聞いているのに笑ってしまいます。サゲまで、流れるように噺を運んで、実に鮮やかでした。
口上(ここからは敬称略とさせていただきます)
舞台に向かって左から、文治・小痴楽・楽輔・小遊三の順に並んでいます。
文治「本日の総合司会 桂文治です。それでは師匠楽輔よりご挨拶です。」
楽輔「ご存じ人気絶頂でした私の師匠・痴楽は、52才で倒れました。その弟子で小痴楽の父でもある痴楽も、同じく52才で倒れました。その時、高校を1年で退学していた小痴楽は、噺家になるかヤクザになるかの2択しかありませんで、悩んだあげく噺家になりました」
ここで小痴楽、師匠に黙っていてくださいと懇願し、会場から笑いを誘います。
「闘病中の親父の元では修行ができないので、厳しいところがいいと文治氏の弟子になります。ところがたびたび遅刻をしてしくじり、ついに親元に返されます。二ツ目になる直前に、親が亡くなりますが、何処も引き取り手がなく、私にお鉢が回ってきました。で、致し方なく預かることにしました。」
文治「では小遊三に音頭を取っていただきます。」
小遊三「えーっ」
大袈裟にのけ反って驚きます。
文治「師匠の楽輔がやるわけにいかないし、私は総合司会だから他にいないの」と、文治に言われ、小遊三気を取り直して
「それでは三本締めです」で場内一体となり、三三七拍子となりました。
「ミーツ―」柳亭楽輔(りゅうていらくすけ)
柳亭小痴楽の現在の師匠、柳亭楽輔師匠の登場です。
柳亭楽輔師匠は、1972年に柳亭痴楽師に入門、楽輔と名乗ります。翌年痴楽師匠が脳卒中で倒れたため、三笑亭夢楽門下へ移り1976年11月に二ツ目、1987年真打に昇進、現在は小痴楽をはじめ4人の弟子を持つ落語芸術協会理事です。
「私の師匠・痴楽は『柳亭痴楽はいい男 鶴田浩二や錦之介(中村錦之助)あれよりぐ~んといい男』と言うフレーズでお馴染でした。普通に言うとおかしくないですが、身体を揺すりながらあの顔で言うからおかしいんですよね。後は綴方狂室「恋の山手線」「上野を後に池袋 走る電車は内回り~」
今生きていたらどうでしょう?高輪ゲートウェイなんてね。どう考えてもカタカナ駅名は織り込めませんね。
本日の小痴楽はあまり厳しくてもと思い、のびのびと育てましたが、だいぶのびのびさせ過ぎた感はあります」と笑わせてから、古典落語はこの後の小痴楽に譲って、私はこの辺でと高座を降りました。懐かしい痴楽師匠が蘇った瞬間でした。
「粗忽長屋」柳亭小痴楽
さて、本日の主役。柳亭小痴楽が高座に登場しました。
柳亭小痴楽は、5代目柳亭痴楽の次男で、2005年16才で桂平治(現:11代目桂文治)のもとで前座修行し、桂ち太郎で初高座、2008年たび重なる遅刻(寝坊癖)で、父のもとに帰され、柳亭ち太郎と改めます。2009年父痴楽没直後に、二ツ目に昇進、同時に父の弟弟子柳亭楽輔門下となります。2011年第22回北とぴあ若手落語競演会奨励賞を受賞、2017年7月からEテレの「落語ディーパ―」にレギュラー出演、2019年9月めでたく真打昇進致しました。
「楽輔師匠の弟子は4人で、一番上が私です。上二人は中卒で、下の二人は大学出ですから、均せばみんな高卒ですね」と、いきなり笑わせます。
「さっき出た信楽に聞いたんです。『大学出たんだって?』そうしたら『慶應義塾です』って。『それどこの塾?』って言っちゃった。知らないからね。
もう少しで漢字を習うところで学校をやめたから、前座の頃はネタ帳を書くのに困りました。漢字ドリルをやれって言われて、そういうのやるのが嫌だから噺家になったのに、何だって思いましたよ。
粗忽ってわかりますか? 最近の人は知りませんよね。知ってるよ。ここってさす子供どもがいたんですよ。そこは鎖骨だから、ついでにこっちは右骨って教えちゃいました。またひとり馬鹿を増やしちゃいました」と言いながら「粗忽長屋」に入ります。
江戸っ子口調で快調な滑り出しですが、早口すぎて聞き取りにくい点が難点です。聞き逃すまいと、聞き手に緊張をさせます。それがなくなれば、いい噺家になることでしょう。雰囲気はいいですので。
柳亭小痴楽さんはただ今30歳。真打にしてはお若いですので、これからが楽しみです。そして、痴楽の名を継ぐ日も、この目で見たいものです。偉大なる4代目を偲びつつ、国立演芸場をあとにしました。
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