落語自由自在42

出前寄席鈴々舎馬るこ独演会~糖質制限初天神~

公開日:2021.03.17

千葉県市原市夢ホールで開催された「出前寄席鈴々舎馬るこ独演会」が、無観客オンライン配信されました。題して「出前寄席・鈴々舎馬るこ(れいれいしゃまるこ)独演会」。無料配信で楽しみました。

ついに落語にまで糖質制限

馬るこ師匠の「糖質制限初天神」
PIXTA

私は「糖質オフ生活奮闘記」をハルメクWEBで書いているので、馬るこ師匠の「糖質制限初天神」という演目を見て、「落語にも糖質制限が登場か!」と興味が湧きました。

まずは古典落語の「初天神」のご紹介したいと思います。

男が天神様にお参りに行こうとすると、金坊(子ども)も連れて行ってと女房に頼まれます。いろいろ買ってくれとねだるので、金坊は連れていかないと、男が言うと、「買ってくれと言わないから連れてって」と、今度は金坊がせがみます。

仕方なく男は金坊と一緒に出掛けると、案の定、「買ってくれと言わなかったから、ご褒美に何か買ってくれ!」と、金坊が言い始めます。水菓子屋に飴屋にだんご屋と、行く先々で、親子のひと悶着が起こります。これが本来の「初天神」ですが……。

馬るこ師匠の「糖質制限初天神」

馬るこ師匠の「糖質制限初天神」
PIXTA

「初めて落語を観る人でも大爆笑」をモットーに、古典落語をわかりやすく、面白く演じる馬るこさんならではの落語です。

馬るこ師匠自身、入門した頃は、体重70kg代でしたが、馬風師匠がすすめ上手で「言われるままに食べているうちに35kgも増えてしまいました」と言って、いきなり笑わせます。

そしてこの噺(はなし)に登場するお父さんは、ただいま糖質制限ダイエット中なのです。 娘の中学入学祈願に天神様に行くと女房に話すと、娘を連れて行けと頼まれます。このあたりは本来の「初天神」と一緒ですが、実は娘は見張り役なのです。

買い食い防止のため財布は女房が没収、300円だけ持たされます。まずはお参りをして、娘と2人分のお賽銭200円を払ってしまいます。何も買わないからと言いながらも、居並ぶお店に目がいき、ついにだんご屋を見つけ「だんごが食べた~い」と叫んでしまいます。

すると、何事かと人々が集まってきます。みっともないので、だんご1本ならいいかと娘に許可を得、店主に頼みますが「1本150円です」に驚きます。「今年から150円に値上がりしました」と言うだんご屋に、そこは大人、知恵を絞ります。

初めて落語を観るなら馬るこ師匠

本来の「初天神」は、金坊が通行人に向かって「おだんごを買ってくださ~い」と叫ぶのですが、糖質制限に耐えかねて、父が叫んでしまうという発想は、何とも斬新です。初めて落語を観るなら、やはり馬るこ師匠がいいかも知れません。ただし、これが本来の古典落語だとは、決して思わないでください(笑)。

 

 

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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