落語自由自在39

8か月ぶりの落語会「柳家あお馬の独演会」

公開日:2021.01.04

落語を聞いて笑うことが元気の源なのだという、さいとうさん。新型コロナウイルスの感染を恐れ、オンライン配信で落語を楽しんでいましたが、久しぶりに生の落語のライブ感を堪能したそうです。

8か月ぶりの落語会にワクワク

柳家あお馬独演会の看板
柳家あお馬独演会の看板

3月以来、落語はずっとオンライン生配信で楽しんでおりましたが、8か月ぶりに落語会に行ってきました。場所は、巣鴨のスタジオフォーです。わかりにくい場所と聞いていましたので、1週間前に下見に行ってみました。都電の庚申塚駅に降り立つと、すぐ近くのお店の方に行き方を伺いました。「わかりません」と言うので、それならとスマホを取り出し検索、信号を左に行くのだとわかり、あとは簡単でした。

スタジオフォーの入り口
スタジオフォーの入り口

入り口付近を撮影、あお馬さんに「下見に来ました」とツイートして、写真を送信しました。ご本人から「あっ、スタジオフォーの入り口ですね。当日はお気をつけてお越しください。お待ちしております」と返信がきました。Twitterって、楽しくて便利ですね。

当日、会場に着いたのは、ちょうど一番太鼓が鳴り響いているときでした。木戸銭をお支払いし、場内を見渡すと、立川志の輔師匠のサインが飾られていました。ここで以前、お忍びで落語会を開いていたそうで、そこへやってきた志の春師匠が、噺家になりたいと決意した伝説の場所です。今日ももしかしたらこれがきっかけで、噺家が誕生するかも? と、ちょっと楽しい想像をしてしまいました。

スタジオフォーに飾ってある志の輔師匠のサイン
スタジオフォーに飾ってある志の輔師匠のサイン

「お菊の皿」

この噺は、もう随分聞きましたが、今までで一番面白かったのは、数年前に「中野ZERO」で見た小朝師匠の「お菊の皿」でした。途中でザ・ピーナッツの「恋のバカンス」が流れ、小朝さんがはにかみながら踊るのです。もうおかしくて、会場が笑いの渦でいっぱいになりました。後から出てきた円楽さん「小朝さんは、やりたい放題ですね」と言って、呆れていました。ただし音楽入りの「お菊の皿」は、小朝師匠だけで、歌武蔵師匠も、あの喬太郎師匠でさえも、音楽はなく普通に演じていました。それだけに小朝師匠の高座は強烈な思い出でした。さて、今日あお馬さんは、果たしてどんな「お菊の皿」を見せてくれるのでしょうか。

この噺は番町皿屋敷に、今でもお菊の幽霊が出るという怪談噺で、なぜお菊が青山鉄山に殺されたかというくだりの描写は、理不尽でとても笑えるものではありませんが、後半が陽気になるのです。あお馬さんは軽快な歌にのって、両手にペンライトを持ち、キレキレのダンスを披露しました。観客約20名は手拍子で参加、楽しかったです。あお馬さんも、のせてくれたお客様に感謝! 「やはり落語は生、双方向のコミュニケーションが一番ですね」と言っていました。

「夢屋」

これは、あお馬さんが作られた新作落語です。9月の「渋谷らくご」で一度聞きましたが、また聞けてうれしかったです。繁盛していた反物屋が、近くに大型店ができたため、商売が振るわなくなり、主人がふて寝をしています。心配したおかみさんが起こしますが、なかなか働こうとしません。そこへ「ゆめや~ ゆめや~ 」という売り声が聞こえてきます。主人が驚いて戸を開けると、お婆さんが夢を売って歩いていました。せめていい夢を見たいと、夢屋から錠剤を買い、寝しなに飲みますが……という噺です。「お菊の皿」とは打って変わって、じっくりと聞かせる噺でした。

「お神酒徳利」

小せん師匠の得意ネタです。師匠はこの演目で「国立演芸場平成28年度花形演芸大賞金賞」を受賞されました。小せん師匠に弟子入りして7年、いつかは師匠の得意ネタを演じたかったと、あお馬さんは語ります。

つい最近、登場人物が全員一癖あって「おみーきどっくりお清が盗った~」とはやし立てる、ある師匠の配信を見たばかりでした。これは元の噺とはあまりにもかけ離れているので、嫌な気分になりました。どうか今日は、ほのぼのとした噺を、聞かせて欲しいと思いました。

主人公の善六を、あお馬さんはとてもいい人として描いていました。神奈川の宿新羽屋から貰った御礼10両のうち、5両を親孝行な女中さんにあげるのですが、それを今回は10両全額あげていました。道中付けも鮮やかに決まり、小せん師匠の型を踏襲した良い噺に仕上がっていました。

コロナ感染者が日に日に増えていましたので、落語会に行くか正直迷いましたが、行ってよかったとつくづく思いました。

後日、あお馬さんから、御礼状が届きました。、いまにあお馬さんは真打になり、やがて名人といわれるようになりますから、そうしたら、師匠が二つ目の頃にくださった御礼状だと言って自慢できます。その頃、私は80を才過ぎていることでしょう。一体、誰に自慢するのかしら(笑)?

柳家あお馬さんから送られてきた色紙
柳家あお馬さんから送られてきた色紙
柳家あお馬さんから送られてきた手拭い
柳家あお馬さんから送られてきた手拭い

次回は、12月に三遊亭円朝作「真景累ヶ淵」の初演です。応援に駆けつけたいのはやまやまですが、新型コロナウイルスに感染したら困るので、今回ばかりは迷っていて、ご本人にはまだお返事ができていません。

 

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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