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- 一席お付き合いを願います~かぼちゃ屋~
「かぼちゃ屋」は古典落語の演目の一つで、別名「唐茄子屋(とうなすや)」とも言います。元々は「みかん屋」という上方落語の演目で、大正初年に4代目柳家小さんが東京に持ち込みました。
唐茄子とは?
唐茄子とは、かぼちゃを小型化し、甘みを強くしたもので、明和年間(1764年~1772年)から出回りました。
今の若い人は「唐茄子屋でござぁ~い」と売り声を上げながら「重たい、重たい」と天秤棒を担ぐシーンが理解できないようだと、ある師匠が言っていました。
唐茄子をドーナツだと思ったようで、あんな軽い物を重たいと大げさに言うのはおかしい、という感想文が届いたそうです。唐茄子とドーナツ、耳で聴くと似ていますから、分からなくもないですが、落語家にとっては、やりにくいですね。
「かぼちゃ屋」のあらすじ
二十歳になっても仕事をせず、遊んでいる与太郎は、いつも頭に霧がかかったようにぼんやりしていて、何をやらせてもうまくできず、面倒をみている叔父の佐兵衛は、心配が絶えません。
ある日、与太郎の母の頼みで、商売を教える事になり、かぼちゃを売るようにと持ち掛けます。
「大きい方が13銭、小さい方が12銭。これは元値だから、売る時は上を見て売れよ」とアドバイスします。
ここなのです。初めて商売をする与太郎にとっては、元値ではなく、最初から売値を教えるべきだと思うのですが、どういう訳か、噺はそのまま進んでいきます。
暑い最中、四苦八苦している与太郎を見かねた男が、かぼちゃを売りさばいてくれます。案の定、元値をそのまま言って、与太郎は空を眺めています。叔父さんの教えに従って、上を見ているのです。
唐茄子は、たちまち売り切れてしまい、叔父さんに報告しますが、元値で売ったと分かると「上を見ろとは、掛値をすることだ。もう一度売ってこい」と叱られてしまいます。
ここが理不尽で、どうにも腹立たしいのです。「叔父さんが悪かった。きちんと説明するべきだった」と言って、謝るのが本当だと思います。
沖縄初の落語家
先日、いろは亭の配信を観ていたら、立川笑二さんが「あたいのこと普段からバカにしているのだから、こんな時もちゃんとバカとして扱って欲しい。『上を見ろ』なんて漠然とした言い方をしないで、はっきり掛値をしろと言ってくれればいいのだ」と与太郎に言わせていました。
今まで随分この噺を聞いてきましたが、叔父さんを批判する与太郎は初めてでした。中々斬新で、客席からも笑いが沸き起こっていました。
立川笑二さんは立川談笑師の2番弟子で、沖縄出身の初めての落語家です。落ち着いていて、32歳とは思えない風格を感じました。
「かぼちゃ屋」は、たくさんの方が演じていますので、ぜひ聞いてみて下さい。落語「かぼちゃ屋」と検索すると出てきます。理不尽だけど、面白い噺です。
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