50代になったら目と耳のサインに注意!#2

50代以降が注意したい3つの「目の病気」症状と対策

公開日:2022.03.25

更新日:2024.02.10

50代以降に増える目の病気は、大きく分けて3つあります。「緑内障」「白内障」が有名ですが、もう一つは「加齢黄斑変性」で、最悪の場合は失明することも! 3つの病気の症状と対策を詳しく解説。心当たりがある場合は、早めに病院で診てもらいましょう。

3つの症状をチェックして、もしやと思ったら病院へ

症状をチェックして、もしやと思ったら病院へ

50代からの女性が気を付けたい目の病気の代表が、「緑内障」(りょくないしょう)、「白内障」(はくないしょう)、「加齢黄斑変性」(かれいおうはんへんせい)。病気による見えづらさから目の疲れを自覚するようになります。

それぞれの症状を解説しますので、サインを見逃さず、もしやと思ったら放置しないで早めに受診しましょう。

緑内障の症状と対策

緑内障は、視野が徐々に欠けていく病気です。

症状

視神経に障害が起こり、視野が狭くなります。徐々に視野が欠けてくるため自覚しづらく、気付いたときには病状がかなり進んでいたということも。治療が遅れると失明する危険もあります。

対策

自覚症状があまりないので、定期的な検査が重要。「特に緑内障になった肉親がいる、もともと近視が強いといった方は、毎年の検査をおすすめします」と梶田さん。

欠けてしまった視野を元に戻すことはできないので、早めに見つけて進行を防ぐことが肝心。治療では、眼圧が高い人は点眼薬で下げたり、場合によってはレーザー治療や手術を行ったりします。

緑内障の症状

緑内障になると、何年もかけて視野が徐々に欠けていきます。初期段階では上のイラストのような見え方。放置していると、欠けた部分がさらに広がっていきます。

白内障の症状と対策

白内障は、水晶体が白濁して、視力が低下する病気です。

症状

白内障の症状

目の中でレンズの役割をしている水晶体が白く濁り、ピント調節がうまくできなくなります。代表的な症状は、視力が低下する、目がかすむ、物が二重三重に見える、光をまぶしく感じる、薄暗いところで物が見にくい、など。加齢とともに進行し、50~60代以降、患者数が多くなります。

対策

点眼薬で進行を遅らせることはできますが、治療の中心は手術。「生活に支障を感じるようになったら、早めに受けた方がいい。安全性が高く、現在は日帰り手術がほとんどです」(梶田さん)

手術では、濁った水晶体の中身を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入。近視や乱視も矯正できます。健康保険も利きます。

加齢黄斑変性の症状と対策

加齢黄斑変性は、視野がゆがんで、見えにくくなる病気です。

症状

目をカメラに例えるとフィルムに当たるのが、網膜。この網膜の中心部にある「黄斑部」に老廃物が沈着したり、本来は存在しない異常な血管(新生血管)が発生したりして、網膜の細胞がダメージを受け、視力に障害が生じます。最悪の場合は失明することも。60歳以降の発症が多く、近年、患者数が増えています。

初期段階では、物がゆがんで見える、視野の中心が黒くなったり欠けたりする、視力が低下するなどの症状が。「早期発見のためにはセルフチェックを。下のチェックシートの中心にある丸い点を片目で見たときに、その周囲の格子にゆがみや欠けがないか確認してください。日頃から時々チェックすると安心です」(梶田さん)

加齢黄斑変性チェックシート

【チェックシートの使い方】
30cmほど目を離し、片目で中心の黒い点を見ます。メガネの人はかけたままで。もし線がゆがんだり、中心部が見えなかったり、一部分が欠けていたりしたら、加齢黄斑変性の可能性があります。できるだけ早く眼科で診てもらいましょう。

対策

治療では、新生血管の原因になる血管内皮増殖因子(VEGF)を抑える薬剤を目に注射します。他に、レーザーを使って新生血管を詰まらせたり、焼いたりする治療法も行われます。

また、ホウレンソウやブロッコリーなどの緑黄色野菜に含まれるルテインという成分には、黄斑部を守る作用があるといいます。積極的に取って、予防に役立てましょう。紫外線対策も重要です。

なお、目が疲れると実はいろいろな症状が出てきます。最初は目の乾燥感、続いて涙目や目の奥の痛みを感じることが多いそう。

「ひどくなると目の不調だけでなく、頭痛や肩こり、めまい、吐き気、さらには軽いうつのような状態になることも。体調不良が起こる前に、疲れ目の段階で対処することが大事」と梶田さんはアドバイスします。

次回は、対処法として目の疲れをリセット&遠ざける生活習慣を8つ紹介します。

梶田雅義(かじた・まさよし)さんのプロフィール

梶田雅義さんのプロフィール

梶田眼科院長(東京都港区)。1976年、山形大学工学部卒業。83年、福島県立医科大学卒業。同大眼科学講師、カリフォルニア大学バークレー校研究員、東京医科歯科大学医学部臨床教授などを経て、2003年から現職。日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会常任理事の経歴もある。眼精疲労やメガネ処方などについてメディアでのコメントも多い。著書は『人生が変わるメガネ選び』(幻冬舎刊)など。

取材・文=佐田節子 イラストレーション=モリナオミ  構成=大矢詠美(ハルメク編集部)

※この記事は雑誌「ハルメク」2021年8月号を再編集、掲載しています。

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