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- 乳がんのリスク減!受けるべき検診とNG生活習慣
乳がんは「早く手を打てば治せるがん」だからこそ、早期発見が重要です。「50代前後の女性が気を付けたい女性の病気」特集、乳がん編第2回目は、乳がん検診の受け方と乳がんのセルフチェックのやり方、リスクを高めるNGな生活習慣について解説します。
取材・監修者:木下貴之さんのプロフィール
国立病院機構東京医療センター副院長 木下貴之さん
きのした・たかゆき 1988年、慶應義塾大学医学部卒業。米国テネシー大学留学、国立がん研究センター中央病院乳腺外科科長などを経て、2019年より現職。日本乳癌学会専門医・指導医、マンモグラフィ精度管理中央委員会読影認定医(A)、乳房再建エキスパンダー責任医師。早期乳がんに対するラジオ波熱焼灼療法の臨床試験の研究代表者。著書は『国立がん研究センターの乳がんの本』(小学館刊)など。
早期発見が重要!乳がん検診、受けていますか?
乳がんの早期発見に欠かせないのが、乳がん検診です。あなたは受けていますか?
「検診受診率は以前より上がっていますが、それでも4~5割程度。欧米の8~9割にはまだまだ及ばない状況です。少なくとも2年に1回、乳がんになった肉親がいるなどリスクのある人は、毎年検診を受けることをおすすめします」と、国立病院機構東京医療センター副院長の木下貴之さん。
乳がん検診の基本は、 X線で乳房を撮影するマンモグラフィ検査です。しこりとして触れないような、ごく早期のがんも発見可能。乳がんの死亡率を減少させることが科学的に認められている検査法です。検査時は圧迫板で乳房を挟むので痛みを伴いがちですが、リラックスすると多少なりとも痛みが和らぎます。
この他に超音波検査も。乳腺の密度が高い「デンスブレスト」(下のコラム)の人は、マンモグラフィ検査だけでなく、超音波検査も受けておくと安心です。
がんを発見しづらい「デンスブレスト」って何?
乳腺の密度の高いデンスブレストの女性のマンモグラフィ画像(写真提供:木下さん)
乳腺が多く脂肪が少ない乳房を「デンスブレスト(高濃度乳房)」といいます。マンモグラフィの画像では、乳がんも乳腺も白く写るため、デンスブレストだとがんを発見しにくいという問題が。閉経後は乳腺が徐々に脂肪に置き換わって乳腺濃度が低下しますが、中には高いままの人もいます。検診時にデンスブレストかどうか、医師に聞いてみるといいでしょう。
乳がん検診だけでなく、セルフチェックも忘れずに
検診だけでなく、自己検診も忘れずに。乳房にしこりやひきつれ、くぼみなどがないか、チェックしましょう。
乳房は母乳を分泌する乳腺と脂肪、血管、神経などで構成されています。乳がんは乳腺にできるがんで、その約9割が母乳を運ぶ乳管に発生します。最も多い部位は、乳房外側のわきの下に近い場所。次が乳房上部の内側と報告されています。
「検診を受けているから大丈夫だと思わず、毎月、日にちを決めて自分で乳房の状態を調べるようにしてください。乳がんは進行がゆっくりでおとなしいタイプが多いですが、中には検診と検診の間に急激に大きくなるものもあるのです」(木下さん)
もし異常を見つけたら放置せず、すぐに乳腺科や乳腺外科で診てもらいましょう。
乳がんのセルフチェックのやり方
1.鏡でチェック
乳房の変形や左右差、ひきつれ、くぼみ、乳首のただれ、乳首からの分泌物、赤く腫れた場所がないかを鏡の前でチェックする。
2.立ったまま触ってしこりがないかチェック
うずを描くように手を動かし、指の腹でしこりがないかチェックする。
3.仰向けでしこりがないかチェック
仰向けに寝て、外側から内側へと指を滑らせ、しこりの有無をチェックする
乳がんリスクを高める生活習慣・病気・食事
乳がん発症には食事や生活習慣との関係も無視できません。現在、発症リスクを高めることがわかっているものには、閉経後の肥満、飲酒、喫煙、糖尿病などがあります。
アルコールは飲む量が増えるほど発症リスクが上がるので、ほどほどに。喫煙は受動喫煙も含め、避けた方が安心です。糖尿病の持病がある人はしっかりと治療をし、定期的な乳がん検診も欠かさないようにしましょう。
乳がんリスクを高める食生活・生活習慣・持病の一覧
【リスクを高めることは確実】
- 肥満(閉経後)
- アルコール
【リスクを高めることはほぼ確実】
- 喫煙
- 糖尿病(1.2~1.3倍)
【リスクを高める可能性がある】
- 肥満(閉経前)
- 受動喫煙
【リスクが低くなることはない】
- 健康食品やサプリメント
【リスクが低くなるか不明】
- イソフラボンのサプリメント
【リスクが低くなる可能性がある】
- 乳製品(どのような乳製品をどの程度摂取すれば発症リスクが低下するかは不明)
【リスクが低くなる】
- 大豆食品
- 運動(閉経後はリスクが低くなることはほぼ確実。閉経前は不明)
【関連なし】
- 性格
※出典:日本乳癌学会編「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版」を改変引用
一方、発症リスクを低下させるものには、大豆食品の摂取や運動があります。豆腐や納豆、豆乳などの大豆食品は毎日の食事で積極的にとりたいもの。運動も毎日続けましょう。肥満予防にもなります。
がん予防・治療は正しい知識を身に付けることが大事
また正しい知識を身に付けることも大切。「ネットなどには多くの情報があふれていますが、内容は玉石混淆。正しい情報にアクセスするようにしてください」(木下さん)
知りたい人におすすめのサイト
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/index.html
ネット情報を参考にする場合は、信頼できるサイトを選ぶことが重要。正しい情報が命を守ります。次回は、治療法についてお伝えします。
取材・文=佐田節子 構成=五十嵐香奈(編集部) イラストレーション=田上千晶
※この記事は、2020年4月号「ハルメク」を再編集しています。
2023年4月25日開催!麻木久仁子さん「薬膳を楽しむ会」
48歳で脳梗塞、50歳を目の前に乳がんになり、乗り越えて今、明るい笑顔で過ごす麻木久仁子さん。国際薬膳師や温活指導士の資格も持つ麻木さんに、命を支え、元気の源になっている「薬膳」と「食」の楽しみ方をたっぷりお話いただきます。ぜひ、ご参加ください♪
★本講座は【会場参加】と【オンライン参加】の2種類があります。
■もっと知りたい■
- 【乳がん1】乳がんはどんな病気?高リスクな人の危険度チェックも
- 【乳がん2】乳がんのリスク減!受けるべき検診とNG生活習慣
- 【乳がん3】乳房を切らずに治療できる!乳がんの治療法を知ろう
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