有酸素運動の時間はなぜ20分と言われている?ダイエットに適した時間とは

有酸素運動の時間はなぜ20分と言われている?ダイエットに適した時間とは

公開日:2025年08月01日

有酸素運動の時間はなぜ20分と言われている?ダイエットに適した時間とは

有酸素運動をどれくらいの時間続けたらいいのか、20分というのはなぜなのか、ご存じでしょうか?20分間続けなければいけないわけではありません。脂肪を燃焼するための効率の良い有酸素運動のやり方を知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

中谷創
監修者
中谷創
監修者 中谷創 つくる整形外科

有酸素運動の効果

有酸素運動の効果
freeangle / PIXTA

有酸素運動とは、筋肉の収縮の際に使うエネルギーに酸素を使うのが特徴の運動です。

  • 基礎代謝を上げる
  • 心肺機能の強化
  • 脂肪燃焼
  • 血糖値の安定

ここでは有酸素運動の4つの効果について、詳しく解説します。

基礎代謝を上げる

基礎代謝(何もしていなくても消費される生命維持に必要なエネルギー)が上がると、生活しているだけでもカロリー消費量が増えていきます。

有酸素運動に軽い筋トレを組み合わせて筋肉量を増やせば、その分基礎代謝が向上する仕組みです。

年を重ねると基礎代謝が低下するため、有酸素運動で基礎代謝を向上させることで、痩せやすい体質になります。

有酸素運動後も数時間は継続してエネルギーが消費されていて、基礎代謝が一時的に上がった状態になっています。

心肺機能の強化

有酸素運動により取り込まれた酸素は、心臓のポンプ機能で全身に循環し、その負荷により心肺機能が鍛えられて強化されます。

心肺機能が上がると体力がつくため、強めの運動をしても疲れにくくなるでしょう。

血流が良くなり血管の柔軟性が高まることで、血圧が安定して高血圧の改善につながる効果も期待できます。

脂肪燃焼

有酸素運動を一定時間続けると、脂肪をエネルギー源にして消費するようになり、脂肪燃焼効果が期待できます。

最初はエネルギー源の割合は糖が多いですが、一定時間後に脂肪を燃やす割合が多くなると、体脂肪が減っていく仕組みです。

有酸素運動は、なかなか落ちにくい内臓脂肪や皮下脂肪の減少にもつながります。

血糖値の安定

有酸素運動により筋肉がエネルギー源としてブドウ糖を取り込むと、血糖値が下がりやすくなります。

体内で分泌されるインスリンの効果が高くなって、血糖値の上下が減り、安定してくるのです。

また、肝臓が必要以上に糖を放出するのを防ぎ、血糖値が急上昇しにくくなるのも健康を保つのに役立ちます。

ただし、糖尿病の治療でインスリン薬を使用している方は、有酸素運動をしすぎると低血糖になる可能性があるため、医師と相談しながら運動計画を立てましょう。

有酸素運動で脂肪燃焼が始まるまでの時間は?

有酸素運動で脂肪燃焼が始まるまでの時間は?
C-geo / PIXTA 脂肪燃焼に効果ができるのは20分以上が目安です

有酸素運動は20分以上続けると良い、と耳にしたことがあるかもしれませんが、なぜ20分なのかはご存じでしょうか?

ここでは有酸素運動がなぜ20分続けることが推奨されているのか、どの程度の頻度で行うのが良いのかを詳しく解説します。

脂肪燃焼は20分頃から始まる説は本当?

通常は体内の糖からエネルギーを消費していますが、運動を始めるとエネルギー源が脂肪に切り替わり、脂肪燃焼される仕組みです。

以前は「運動開始後20分しないと脂肪は燃焼しないから、有酸素運動は20分以上継続するべき」とされていました。

しかし現在では、日常生活の中で仕事や家事をして動いている間にも糖が消費され準備ができているため、有酸素運動を開始したら少しずつ脂肪が消費される割合が増えていくと考えられています。

そのため、例え5分でも通常時より運動すると、脂肪燃焼効果が期待できるのです。

有酸素運動を続けて20分すると、エネルギー源として脂肪の利用割合が増えるため、効率が良くなります。

なお、運動後も体内ではエネルギーの燃焼と消費が行われカロリーを消費していて、運動時間=脂肪燃焼している時間というわけではありません。

有酸素運動の頻度は?

有酸素運動をしようと決意しても、どれくらいの頻度で行えば良いのか迷う方も少なくありません。

継続のためには、普段の運動量や体力などに合わせて、無理のない範囲で行うことが重要です。

毎日欠かさず行う必要はなく、週に2〜3日でも継続するのが大切です。

疲労が溜まりすぎないように、最初は短時間のウォーキングやラジオ体操など、続けやすい方法から始めましょう。

有酸素運動は何分続ければいい?

有酸素運動は何分続ければいい?
metamorworks / PIXTA 有酸素運動の目安は60分ですが、自分の体力やペースに合わせて継続性を持たせることが大事です

有酸素運動は短時間でも脂肪燃焼効果がありますが、何分続けるかも迷うところです。

最低何分やればいいの?とお悩みの方は、以下を参考にしてください。

時間や頻度の決まりはない

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、成人の健康増進効果は短い時間の積み重ねでも得られるため、個人のライフスタイルに合わせて取り組むとされています。

健康づくりのためには、歩行または同等以上の強度の運動を1日60分以上(8,000歩以上に相当)、高齢者は1日40分以上(6,000歩以上に相当)が推奨されていますが、適した運動量は人それぞれです。

運動習慣を継続することや、座りっぱなしの座位行動が長くなりすぎないようにすることが重要です。

ダイエットのための目安時間

ダイエットのために有酸素運動を始める場合、一気に20分やらなければいけないと思いがちですが、連続して行わなくても良いと覚えておきましょう。

1回5〜10分の有酸素運動を1日の合計で20〜30分行うことで、脂肪燃焼の効果が期待できます。

有酸素運動の種類によりエネルギー消費量は異なるため、ウォーキングから始めてジョギング、ランニングへとステップアップするのも良いでしょう。

(参照:「有酸素トレーニングの基礎理論」田畑 稔)

ダイエットにおすすめな有酸素運動

ダイエットにおすすめな有酸素運動
Ushico / PIXTA 強度の高い運動をし慣れていない人にはヨガ・ストレッチから始めてみましょう

有酸素運動をこれから始める初心者向けに、おすすめな有酸素運動を紹介します。

また、身体活動の強度を表す単位のMETsについても解説します。

METsとは

厚生労働省の身体活動・運動の単位によると、安静時の何倍に相当するかを表す単位で、座って安静にしている状態が1METs、普通歩行が3METsに相当します。

METs値が高いほど運動強度が高く、その分カロリー消費量も高くなります。

どの有酸素運動をするか迷ったときは、体力やライフスタイル、始めやすさなどを考慮して、METs値も参考にしてみましょう。

ヨガ・ストレッチ

ヨガやストレッチは2.5METsで、比較的軽い有酸素運動なため、人気があります。

家の中で行え、自分のペースで続けやすく、始めるハードルが低く初心者さんにもおすすめです。

動画やDVD、ゲームなどを見ながら、人それぞれのお悩みに合わせてレベルアップしていくのも可能です。

ウォーキング

散歩くらいのスピードのウォーキングは3.5METs、速いウォーキングだと5.0METsになります。

最初はゆっくり始め、慣れてきたらスピードを上げて挑戦しやすく、ある程度の時間続けられるのもメリットです。

速いウォーキングでも、少し息が上がるけれど会話ができるくらいの運動量です。

腕をしっかり振ってリズムよく歩くと、より脂肪燃焼効果がアップします。

外の空気を吸ったり、景色の移り変わりを楽しんだりすることもでき、リラックス効果も期待できます。

水中ウォーキング

水中ウォーキングは4.5METsで、楽しみながら有酸素運動ができます。

水の浮力があるため、地面を歩くより足腰や関節への負担が軽く、ケガをしにくいのも特徴です。

水圧と抵抗があって全身に適度な負荷がかかり、脂肪燃焼しやすい有酸素運動です。

スポーツジムや市民プールなどで水中ウォーキングのレッスンを受けるのも良いでしょう。

水中で行うエアロビクスであるアクアビクスも、誰にでも楽しく行える有酸素運動として人気があります。

有酸素運動におすすめの時間帯

有酸素運動におすすめの時間帯
Ushico / PIXTA 有酸素運動は朝食間もしくは夕方以降がおすすめ

有酸素運動を行うのは、朝食前か夕方〜夜の時間帯がおすすめです。

生活スタイルに合わせて、続けやすい時間帯を選びましょう。

朝の有酸素運動

朝食前は、血行が促進され代謝が高まり、1日の消費エネルギー増加につながります。

空腹時に有酸素運動を行うことで、エネルギー源として脂肪が使われやすいのもメリットです。

朝の散歩や体操で目覚めも良くなり、気持ちよく1日をスタートできるでしょう。

起床直後は身体が温まっていないため、準備運動をしっかりしてケガに注意することが大切です。

夕方~夜の有酸素運動

夕方〜夜の時間帯は、日中の活動により身体が温まっていて、有酸素運動を行うことで脂肪燃焼効果が高まります。

ケガのリスクも低く、心肺機能も安定しているため、長い時間運動したい方にもおすすめです。

16〜18時くらいの時間に有酸素運動をすると、程よい疲れで睡眠の質が上がる効果も期待できます。

身体を動かすことで、日中に疲れた気持ちをリセットできて1日のストレス解消にもなります。

有酸素運動を避けた方が良い時間帯

有酸素運動を避けた方が良い時間帯
siro46 / PIXTA 食後すぐ、または就寝直前の運動は避けるようにしましょう

有酸素運動を避けた方が良い時間帯は、食後すぐと就寝直前です。

また、季節により外で運動するのが難しい場合は、健康を害さないためにも無理をしないようにしましょう。

食後すぐ

食後すぐの運動は、食べたものの消化吸収を妨げてしまい、胃腸への負担になることがあるため注意が必要です。

食べ物を消化しようと内臓に血液が集中しているため、食後は30分〜1時間ほど空けて運動しましょう。

就寝の直前

就寝の直前に運動してしまうと、心拍数や体温が上がって入眠しにくくなります。

20時くらいまでに、できれば就寝の3時間前までには運動を終えて、リラックスして就寝できるようにリズムを整えましょう。

真夏・真冬

住んでいる地域にもよりますが、極端に暑い真夏や、吹雪になるような真冬の運動には注意が必要です。

外でのウォーキングやランニングは、気温と体調を見ながら季節により休んでも構いません。

家でできる有酸素運動(ラジオ体操、エアロビクス、踏み台昇降など)や筋トレを組み合わせながら、無理なく続けていける工夫をしましょう。

やりすぎに注意!有酸素運動を長時間続けるリスク

やりすぎに注意!有酸素運動を長時間続けるリスク
enra / PIXTA リスクも把握して有酸素運動に取り組みましょう

有酸素運動は長時間続けてもいいものというイメージもあるかもしれませんが、1時間以上続けると逆効果になるリスクもあります。

大幅な減量や心肺機能の向上が目的の場合は約1時間まで、それ以上はアスリートのトレーニングレベルになると覚えておきましょう。

筋肉量が減る

有酸素運動を長時間続けると、筋肉の分解であるカタボリックという現象により、逆に筋肉量の減少につながるリスクがあります。

カタボリックとは、身体が運動に必要なエネルギーを得るために、糖や脂肪だけでなく筋肉を分解してエネルギー源として利用することで起こる現象です。

筋肉量が減ると代謝が落ちて、脂肪燃焼効果も減少してしまうのです。

適切な量と時間で行う有酸素運動は、筋トレほどではありませんが筋肉量の維持にも役立ちます。

有酸素運動を続けるのは長くて1時間に留め、食事による栄養補給を忘れずに行いましょう。

疲労の蓄積

有酸素運動は、運動の中では強度が低いものですが、長時間続けると疲労が蓄積していきます。

身体全体の筋肉疲労や足腰、関節への負担が溜まると、継続が難しくなるかもしれません。

無理に続けると、関節痛や腱の炎症などにつながる恐れがあるため、注意が必要です。

また、疲労により一時的に免疫が落ちることもあり、風邪や感染症にかかりやすくなることもあります。

ケガのリスク

長時間有酸素運動を繰り返すことで、膝や足首、股関節に負担がかかる恐れがあります。

膝の痛み、捻挫、股関節の軟骨摩耗などを引き起こす可能性があるため、ケガには注意しながら行いましょう。

疲れた状態だとフォームも崩れやすく、転倒する危険もあり、体力に合わせて無理のない範囲で休息を取ることも必要です。

有酸素運動は1日の合計20分が目安!時間帯にも注意

有酸素運動は、「20分間続けなければいけない」というわけではありません。

短い時間でも脂肪は燃え始めるため、それまでよりも運動量を増やすことを意識して、1日の合計で20〜30分になるように心がけましょう。

効率よく脂肪燃焼させるためには、有酸素運動をする時間帯も意識すると良いでしょう。

食後や就寝直前を避けて、朝や夕方などの時間を有酸素運動をするタイミングに決めて、無理なく続けていける工夫をするのがおすすめです。

有酸素運動で基礎代謝や心肺機能の向上などをして、健康的な痩せ体質を目指しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断、治療、予防を目的としたものではありません。運動を行う際は、ご自身の体調や体力に合わせて無理のない範囲で行ってください。持病をお持ちの方や体調に不安のある方は、事前に医師に相談してください。

監修者プロフィール:中谷 創さん

監修者プロフィール:中谷 創さん

つくる整形外科 祐天寺駅前スポーツクリニック 院長。医学博士・整形外科専門医・日本スポーツ協会スポーツドクター・早稲田大学ラグビー蹴球部チームドクター。「みなさんの健康で楽しい毎日のために」をモットーに2022年12月に現在のクリニックを開院した。ラグビー日本代表の帯同ドクターやラグビーワールドカップ、東京オリンピックの大会ドクターなどを経験。陸上自衛隊所属時は、災害派遣や自衛官の健康管理にも従事。

 


 

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HALMEK up編集部
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