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女性に多い尿漏れ・ぽっこりお腹・肥満は歩いて解消!
骨盤底筋を鍛える正しいウォーキングの方法&ポイント
腎・泌尿器科おおねクリニック
大嶺 卓司
公開日:2024.02.09
骨盤底筋は正しい方法でウォーキングを行うことで、鍛えることが可能です。骨盤底筋が衰えると尿漏れなどの排泄トラブル、ぽっこりお腹、悪い姿勢、お尻が垂れるなど多くのトラブルの原因に。正しい歩き方のポイント&注意点を解説します!
骨盤底筋とは
骨盤底筋とは、骨盤の底部分にある複数の筋肉の総称のこと。膀胱・子宮・直腸といった骨盤内にある臓器をハンモックのように下から支えている筋肉です。
骨盤底筋は尿や便といった排泄のコントロールも担っており、骨盤底筋が緩むと尿漏れや便秘につながることもあります。
また、骨盤底筋は腹筋や内転筋(太ももの内側の筋肉)、殿筋(お尻の筋肉)とも連動しているため、衰えるとぽっこりお腹になる、姿勢が悪くなる、お尻が垂れるなどボディラインを崩す原因にもなります。
骨盤底筋が衰える主な原因は、以下の通りです。
【骨盤底筋が衰える主な原因】
- 出産
- 加齢
- 運動不足
- 肥満
- 日常的な悪い姿勢、頻繁にいきむなど(便秘、排尿障害)
あなたの骨盤底筋は大丈夫?衰えチェックリスト!
骨盤底筋は普段意識することの少ない筋肉です。さらに、腕やお腹、足のように周囲から見ただけでは衰えてしまっているかどうかはわかりません。
まずは、自分の骨盤底筋の状態をチェックしてみましょう。下記は、簡単にできる骨盤底筋の衰えセルフチェックリストです。いくつ当てはまるか、チェックしてみましょう。
下記のチェックリストに4つ以上当てはまった人は注意が必要です。
- 排便時にトイレでいきむことが多い
- 重い物を持つことが多い
- 長時間座ったままでいることが多い
- 猫背になっていることが多い
- 運動不足になっている
- 出産経験がある
- 常に腰が痛い
- せき・くしゃみをしたときに尿漏れ?と思って「ドキッ」としたことがある
0個の人は、骨盤底筋がしっかり締まっており元気な状態です。
1〜3個の人は現在はまだダメージは軽いものの、注意が必要。衰えを進行させないためにも日常的に骨盤底筋を意識しましょう。
4〜6個の人は、骨盤底筋が緩んでしまっている可能性があります。ウォーキングや骨盤底筋トレーニングを習慣化して、衰えを食い止めることが大切です。
7個以上の人はすでに骨盤底筋が弱ってしまっているため、骨盤底筋トレーニングを2〜3か月ほど続けましょう。改善されない場合は、病院の受診を検討します。
ウォーキングで骨盤底筋を鍛えるメリット・効果
ウォーキングは、正しい方法で行うことで、骨盤底筋を鍛える効果が期待できます。ここからは、ウォーキングで骨盤底筋を鍛えるメリット・効果について解説します。
尿漏れの改善・予防
ウォーキングは、骨盤を立たせて正しい姿勢で行うことで、骨盤底筋を鍛えられます。
ポイントは背筋がのびているか?です。
軽い尿漏れは珍しいことではなく、スポーツの時や重いものを持ったときなど、成人女性の多くが経験しているともいわれています。これは、女性の体は、男性に比べて尿漏れしやすい構造になっているためです。
男性は尿道がS字状で約20cmあるのに対し、女性の尿道は3~4cm程度しかなく、しかもまっすぐ。そのため、少しお腹に力が入ると漏れてしまうことがあります。
骨盤底筋を鍛えると、尿道を締める力がアップするため、尿漏れの改善・予防が可能です。
骨盤底筋は尿道だけでなく肛門の伸縮にも関わっており、排泄を適切にコントロールし、便失禁の予防や改善にもつながります。
ぽっこりお腹の改善
骨盤底筋が衰えると、骨盤内にある膀胱・子宮・直腸といった内臓の重みをしっかり支えきれず、下垂してしまいます。すると下腹がぽっこり出てしまうことに。
ウォーキングで骨盤底筋を鍛えると、しっかりと腹圧(内臓が入っている空間にかかる圧力)が上げられるようになり、ぽっこりお腹も引き締まります。
正しい姿勢を維持しやすくなる
骨盤底筋を鍛えると、正しい姿勢を維持しやすくなることもメリットです。
骨盤底筋と姿勢には密接な関係があり、骨盤底筋が緩むと姿勢も崩れやすくなります。悪い姿勢はぽっこりお腹を招くだけでなく、肩こりや腰痛、関節痛を引き起こす原因に。
姿勢が悪いとそれだけで老け見えしたり、元気のない印象になったりしてしまうため、ウォーキングで日常的に骨盤底筋を鍛えて、正しい姿勢の維持につなげましょう。
インナーマッスルを鍛えられる
ウォーキングは、骨盤底筋を始めとしたインナーマッスル(体の奥に位置している深層筋)を鍛えられることもメリットです。
インナーマッスルは正しい姿勢の維持、関節や内臓の安定、動作のサポートなどさまざまな役割を果たしていますが、鍛えるのが難しいことが特徴です。
普段、ジムでトレーニングしている人も、アウターマッスル(体の表層部にある大きな筋肉で、背中や胸、臀部、四肢の筋肉)は鍛えられているが、インナーマッスルは鍛えられていないというケースもあります。
肥満の解消・予防
肥満は、骨盤底筋を衰えさせてしまう原因の一つです。骨盤底筋はハンモックのように下から臓器を支えているため、太るとその重みで骨盤底筋が緩みやすくなります。
肥満は常に腹圧が高い状態になるため、腹圧性尿失禁(女性に多く見られる尿漏れ)のリスクを高める原因に。腹圧性尿失禁の人は、体重を減らすだけでも症状が改善することもあります。
ウォーキングは、有酸素運動(主に脂肪と糖質をエネルギー源とする運動)であるため、体に蓄積した脂肪を燃焼させるのに効果的です。
ジョギングやランニングの場合、普段から運動習慣のない人は続けるのが難しいこともありますが、ウォーキングなら散歩感覚で誰でも気軽に続けやすいでしょう。
骨盤底筋を鍛える正しいウォーキング方法
骨盤底筋をしっかりと意識しながら、正しい方法で行うウォーキングには、骨盤底筋を鍛える効果が期待できます。
以下は、骨盤底筋を鍛える正しいウォーキングのやり方です。
【骨盤底筋を鍛える正しいウォーキングのやり方】
- 骨盤を立たせた正しい姿勢で立ちます。その姿勢から、膝と爪先を揃えて、進む方向へ足を振り出ましょう。このとき、背筋を伸ばすことがポイントです。
- かかとから踏み込み、足裏の中央、つま先と体重移動させます。
- 母指球(足裏の親指の付け根のふくらんだ部分)で蹴り出します。イメージとしては「腰から足を出す」ように意識して歩くことです。もう一つのポイントは「歩幅を約10cmプラス」するイメージで、大きく歩幅を取ることです。
腕は肘を伸ばして脱力し、体の動きに合わせて肩を支点として軽く前後に振って歩きましょう。継続することで歩き方に慣れてくると、バランスのいいウォーキングができます。
また、骨盤底筋を鍛えるためには、骨盤底筋を意識することが大切なポイントです。
骨盤底筋は尿道・膣・肛門あたりに手のひらほどの面積で並んでいます。尿道、膣、肛門の順番でそれぞれを引き上げるように締める間隔を掴んでおくと、骨盤底筋をうまく意識できるでしょう。
骨盤底筋がどこなのか、場所がわからない人は以下の方法で感覚を掴んでみてください。
【骨盤底筋をしっかり意識する方法】
- 薄手のハンカチを用意し、底辺が15cm程度になるよう三角形に折る
- 三角形の頂点を前にして、いすの上に三角形に折ったハンカチを置く
- 三角形に合うように尿生殖三角を当てる
- ハンカチに強く当てようとすると、自然と「骨盤を立てる」姿勢になり、尿道と膣の位置を意識しやすくなる
ウォーキングで骨盤底筋を鍛えるときの注意点・ポイント
ここからは、ウォーキングで骨盤底筋を鍛えるときの注意点・ポイントをご紹介します。
ウォーキング前後にストレッチを行う
ウォーキングを行う前に、ストレッチを行って体をほぐしておきましょう。体の筋肉を刺激しておくことでウォーキング時に筋肉をしっかり意識して歩けるようになり、ケガの予防にもなります。
ウォーキング後も軽くストレッチをしておくと、疲労回復効果が期待できます。
ウォーキングは続けることで効果が現れるため、翌日に疲れを残さないためにもストレッチを行いましょう。
正しい方法で歩く
骨盤底筋を鍛えるためには、正しい方法でウォーキングする必要があります。間違った方法では十分な効果が得られないため、正しく歩けているか、意識しながらウォーキングしましょう。
間違った方法とは例えば、服や靴の片方だけが摩耗する、ウォーキング後に体の一部が痛くなるといった場合は、正しい方法でウォーキングできていない可能性があります。
足に合う靴を選ぶ
ウォーキングは全身運動のため、正しい方法で歩けば骨盤底筋を含め、全身の筋肉や関節をしっかり使って運動できます。正しい方法でのウォーキングを行うためには、自分の足に合う靴を選ぶことも大切です。
効果的なウォーキングを行うための靴としては「ウォーキングシューズ」がおすすめ。
ウォーキングシューズは「靴底が安定している」「ランニングシューズに比べると少し重たい」「耐久性のある素材で作られている」ことが特徴です。
注意点としては、底の薄い靴でたくさん歩くと、足や膝などへの衝撃が大きく、膝や腰の痛みにつながることも。ウォーキングに適した靴のない人は、まずは自分の足に合う靴を選んでみましょう。
中には、歩きながら骨盤底筋を鍛えられる靴などもあります。
コツコツと継続する
ウォーキングは、数回行っただけで劇的に骨盤底筋の衰えが改善されるような効果はありません。
ウォーキングは体への負担が少ない分、効果の現れ方も緩やかです。焦らず、無理のないペースのウォーキングを毎日コツコツ続けましょう。
最初は20分程度から始めて、徐々に慣れてきてから時間をのばします。楽にこなせるようになってから時間をのばすことが大切です。
注意点としては、いきなり長時間歩くと膝や腰を痛めやすいため、無理のないペースで始めましょう。
生活習慣・食生活の見直しも合わせて行う
せっかくウォーキングを続けていても、生活習慣や食生活に乱れがあると、思ったような効果が実感できないこともあります。
肥満や過度な腹圧がかかる行為は、骨盤底筋にダメージを与えてしまうため、注意が必要です。
例えば、長時間しゃがみ続ける、重たいものを持つといった動作は腹圧を上げ過ぎてしまう原因になります。
ウォーキングと合わせて行いたい!骨盤底筋を鍛える方法
よりしっかり骨盤底筋のケアを行いたい人は、ウォーキングに合わせて他の方法を取り入れてみるのもおすすめ。いくつかのやり方を取り入れることで、飽きることなく効果的なケアにできます。
骨盤底筋トレーニング
ウォーキングと合わせて、骨盤底筋トレーニングを行うのもおすすめ。
寝ながら・椅子に座って・立ったままなどさまざまな体勢でできるため、スキマ時間に手軽にトレーニングできます。
ドローイン
腹筋を使ってお腹を凹ませる「ドローイン」の呼吸法でも、骨盤底筋を鍛えることができます。
骨盤底筋をひゅーっと上に引き上げることを意識しながら、1日10セットを目安に初めてみましょう。
ドローインの他、ヒップリフトやスクワットも骨盤底筋のトレーニングとして効果的です。あわせて実践してみましょう。
骨盤底筋を鍛えるグッズの活用
最近では、骨盤底筋を鍛えるためのグッズも数多く販売されています。ウォーキングと合わせて、グッズを活用して骨盤底筋のケアを行うのもおすすめです。
骨盤底筋グッズには、さまざまなタイプのものがあります。
一度使っただけでは効果は得られず、継続して使用し続けることで骨盤底筋を鍛えられるため、使い続けられるように自分にぴったりなものを見つけてみるといいでしょう。
「グッズを使ったエクササイズが長続きするか心配……」という人は、履いているだけで骨盤底筋に意識を向けられる「骨盤底筋サポートショーツ」のようなアイテムを活用するのもおすすめ。
履くだけなので何かと毎日忙しい大人女性も手軽に、毎日骨盤底筋のケアを続けられます。
ウォーキングを正しい方法で行い、骨盤底筋を鍛えよう!
ウォーキングは、正しい方法で行えば骨盤底筋を鍛える効果が期待できます。骨盤底筋の衰えや尿漏れの原因となる肥満解消、筋力維持にもつながるため、ウォーキングを行ってみてはいかがでしょうか。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
監修者プロフィール:大嶺 卓司さん
腎・泌尿器科おおねクリニック 院長。“世の光であれ!(来院することで元気になれる希望の光のように)”、”守侍医として(患者さんの側に侍り、病から守る)”、”地域の健康ステーション”を基本理念として、泌尿器科専門医としての専門性を生かし、地域のかかりつけ医として貢献したいと考えています。
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