落語自由自在48

三遊亭わん丈の会 博多つながり寄席番外編

公開日:2021.08.17

三遊亭わん丈さんのオンライン配信があると知り、飛びつきました。その噂は聞いていましたが、なかなか出会えず、落語自由自在48回目にして、初めてのご紹介です。

博多より生配信です

今注目の若手噺家 三遊亭わん丈さん

わん丈さんは、滋賀県の出身で北九州市立大学を卒業。20歳から7年間ロックバンドのボーカルとして活動し、自身で企画からパーソナリティーまでつとめるラジオ番組や、イベントの司会なども行っていました。

2010年に初めて訪れた寄席で、落語に魅せられ、翌年4月に三遊亭圓丈師に弟子入り。滋賀県初の江戸落語家となりました。この辺りの方は、上方落語にいきますので、珍しいケースです。古典落語と新作落語とを自在に操る、今注目の若手噺家です。

本日の演目

「孝行糖」「宿屋の仇討」「牡丹灯籠 お露新三郎~お札はがし」

天才落語家として名高い三遊亭圓朝の作品で、夏の風物詩として、100年以上も語り継がれている名作です。

何しろ古い噺で、中でも「牡丹灯籠」は22章からなる壮大なる物語。登場人物も多く、いきなり語り出したら、みなさん話についてこられないと思います。ホワイトボードで、解説すればいいのですが、噺家は扇子と手拭でしか表現してはいけない決まりがあります。

ただ私、気が付きました。扇子の大きさに規定はないのだと。えっと、驚く観客の前に、大きな扇子が登場します。何とそれを運んで来たのは、あの落語Carでおなじみの、橘家文太さんでした。一緒に修行をした仲間だそうです。会場から大きな拍手が湧きました。

牡丹灯籠の登場人物

牡丹灯籠の登場人物

まずは「牡丹灯籠って、どれでしょう?」と、3枚の写真から選ぶ、クイズが始まります。斬新ですね。次に、自身で書いた人物相関図の説明に移ります。面白おかしく紹介した後、いよいよ噺の幕開けです。

お露と新三郎の出会いは、小田和正の「ラブストーリーは突然に」を熱唱し、ミュージカル仕立てにします。この怪談話らしくない表現方法に、すっかり魅せられてしまいました。それでもさすがに、カランコロンと、駒下駄の音を響かせて、深夜に幽霊が現れるシーンは、ゾクっとしました。

人は簡単に人を裏切るので、ある意味死者よりも怖いと、作者は伝えたかったのだと思います。と結んでから、カランコロンと鳴る下駄を、買いに行ったと話します。その時の下駄屋の主人の返答に驚きました

「下駄の歩き方ヘタ、しっかり歩いて、カッカッと鳴らして下さい」。これでは牡丹灯籠になりません(笑)。

次回は、牡丹灯籠の後半戦「栗橋宿」です。この噺は、圓生師匠や歌丸師匠で聞きましたが、わん丈流「栗橋宿」に、早くも期待が高まります。全編語った後、これを新作落語に作り変えて、3時間半位にまとめるそうです。また一人、目の離せない素敵な噺家が登場しました。

 

■もっと知りたい■

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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