28年の会社人生をリセット(10)

50代から日々是挑戦 ~ディズニーで学んだこと3~

公開日:2021/06/27

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2020年3月に早期退職した私。28年の会社生活で最も印象深い経験の一つ、フロリダ・ディズニーワールドでの研修生活を振り返る3回目。20数年を経て、今も心に残るディズニーでの珠玉の経験、最終章です。

50代から日々是挑戦 ~ディズニーで学んだこと3~
研修の修了式には、ミニーが着物で祝福に駆けつけてくれました

ディズニーエクスペリエンスとは?

 私の参加した「ディズニーフェローシッププログラム」は、約1年の滞米生活をライフ・ワーク・スタディの3軸に分けて「ディズニーウェイ」を習得するというものでした。

そのスタディ編、私たち研修生は週2回のペースでディズニー大学でのホスピタリティー研修など、さまざまなイベントに参加しました。

サンクスギビングデーやクリスマス、イースターなどアメリカならではの行事体験から、学校や各種施設でのボランティア、他のパークでのキャスト体験など。デイトナやフォート・ローダーデールといったビーチに遠出したり、NASAを見学したり、ほぼ遠足か社会科見学のような楽しい研修もありました。全員スーツ着用でディスカッションを行う日は、苦戦もしましたが……。

ディズニーエクスペリエンスとは?
日頃の研修はカジュアルスタイルで
ディズニーエクスペリエンスとは?
ビーチやキャンプでの研修も
ディズニーエクスペリエンスとは?
時にはスーツ着用で座学とディスカッションも

こうしてアメリカ東部の地理や歴史を頭に入れつつ、多様な経験を重ね、感動や驚きを共有しながら、仲間意識が醸成されていきました。これが最初のディズニーエクスペリエンスです。

マニュアルを超えたサービス

ディズニー大学でのホスピタリティー講座は、ディズニーワールドで働くすべてのキャスト(従業員)が受講します。

例えば、キャスト専用のバスの運転手、食堂や制服のクリーニング担当など、直接ゲスト(お客さま)と接することのない人でも、等しくホスピタリティーの真髄を学ぶ機会が提供されるのです。バスの運転手のおじさんやクリーニング受付の女性がいつもゴキゲンなのは、アメリカ人の気質だと思い込んでいましたが、こうした研修の成果だったのかもしれません。

職場ではキャスト同士でも、仕事を離れたら誰もが等しくゲストにもなり、身内へのホスピタリティーも重要です。そもそも職場のコミュニケーションが円滑だと働くことが楽しくなる。そんな気持ちでゲストに接するからこそ、最良のサービスが提供できる。

ディズニーでは、数々の報奨制度と共に「ES=Employee Satisfaction(従業員満足度)」の概念もその当時から浸透していました。

そんなフロリダ・ディズニーワールドは「夢の国」の総本山。日々、世界中からこの場所を目指して訪れるゲストに出会います。

「30年、この日のためにお金を貯めてやっと来たんだよ」と話す南米からの家族連れ。「長い闘病生活からようやく解放されたお祝いに妻と来た」と語る老紳士。「新婚旅行は最初からここと決めて、車で4日かけてきた」いう西海岸の夫婦など、接客中に自らのストーリーを話してくださる方がたくさんいました。

そんなゲストに最高の想い出を作ってもらうためには? ディズニーにそれを明記したマニュアルはありません。ただ、「マジカルモーメントをつくるのはあなた」という合言葉があるだけです。

このゲストのために、今自分ができることは何か? 笑顔で話を聞くこと、購入品に日本流のラッピングを施してあげること、日本語で名前を書いてあげること……。そんな些細なことでも、心から喜んでもらえたときは、自分も幸せな気持ちになります。

明日はもっとがんばろう、こんな気持ちで日々働けるなんて幸せ、という自然発生的なモチベーションアップのスパイラル。これもまたディズニーエクスペリエンスであり、ディズニーマジックの一つでした。

マニュアルを超えたサービス
プログラムの修了式は日本の同僚たちと
マニュアルを超えたサービス
プログラム終了の証

マジカルモーメントは消えず

今改めて振り返ると、慣れない環境と気候、拙い語学力でのコミュニケーション、仕事と研修課題の両立、諸外国の若い仲間たちとの体力・気力のギャップ、職場の後輩たちの公私に渡るケア、とそれなりの苦労もありました。後半の数か月は、研修集大成のジャパンプレゼンテーションに向けて、卒論を彷彿とさせる調査や打合せも続きました。

長らくの実家暮らしに甘え、留学経験もない私にとって、インターネットも携帯電話も普及していなかったあの頃、日本からの直行便も無く(今も無いですが)、時差13時間の異国は、異次元の世界でした。

でもこの1年の経験が本当に自分を強くし、大概のことには動じない精神力や柔軟性、行動力が身につきました。何より、人を笑顔にする喜びを肌で感じることができたのは貴重な体験でした。

世界10か国に新たな友人ができたことも一生の財産です。今なお連絡を取り合う関係でいられるのは、インターネットの普及とFacebookのおかげ。長らく会えずにいても、お互いの近況をリアルタイムで共有し、絆を保てる時代になるとは想像もしていませんでした。古いですね(笑)。

マジカルモーメントは消えず
20周年のリユニオンでは、多くの子どもたちも参加
マジカルモーメントは消えず
20年経っても、ノリは変わらず

おかげで4年前には20周年のリユニオン(同窓会)にも参加できました。今回は子連れで参加した仲間も多く、20年の時の流れを感じたものです。

私の英語力は相変わらずでしたが、少しも苦にならない寛容な仲間たちと再会し、あの頃と同じ気持ちで共有した時間は、まさにマジカルモーメントの再来でした。次回の約束は25周年のリユニオン。その頃には、今の状況が一変して、新たなマジカルモーメントに出会えますように。

 

■もっと知りたい■

ソレイユ子

2020年、新卒で28年勤めた百貨店を早期退職しました。半年の充電期間ウィズコロナを経て、前職とは業界も風土も真逆の小さな会社へ。働くステージを変えたら新たな視界が開けました。人生後半での新しい日常の出来事や想いを、働くリアル50代の目線で綴っていきます。

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