008:杉田美和さん(60歳)

働くママの自分探し!58歳で自分を活かした「表情筋トレーナー」にシフト

働くママの自分探し!58歳で自分を活かした「表情筋トレーナー」にシフト

更新日:2025年05月31日

公開日:2025年02月15日

働くママの自分探し!58歳で自分を活かした「表情筋トレーナー」にシフト

50代から新しい一歩を踏み出して、第二の人生を歩み始めた人たちを追う「わたしリスタート」。2024年、36年間勤めた会社を退職し、表情筋トレーナーやシニアモデルの活動を本格化させた杉田美和さんに、人生後半、自分らしい働き方を見つける秘訣を伺った。

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あなたの“リスタートのヒント”が、きっと見つかるはず。
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杉田美和さんのリスタート・ストーリー

厳しい母のもとに育ち、結婚後は3人の娘の育児、家事、仕事に大忙しで、自分に興味を持つヒマがなかった……と40代を振り返る杉田さん。

転機になったのは、高校生だった娘の摂食障害。42歳に差し掛かっていた杉田さんは、この状況を改善するには自分自身が自立する必要があると決意。

たくさんの習い事を通して、自分らしい生き方、スタイルを探っていたと言います。

36年勤めた会社を辞め、現在はコアフェイスインストラクター、そしてグレイヘアモデルとして活躍。50代から、人生をステップアップする秘訣を伺いました。

これが自分?たった8日間で二重あごが消えた!

これが自分?たった8日間で二重あごが消えた!
本格的に表情筋トレを始めた2018年。左から3月~5月か6月頃の変化(杉田さんのブログより)

――表情筋トレーニングを始めたきっかけは?

52歳のとき、英会話を学びたい!と都内にある大学の社会人講座を申し込みに行ったら満席で。当時、子育ても落ち着いて「何でも学びたい」と向学心に燃えていたので、すぐに入れる他の講座を探したら、4日間の顔ヨガ講座があったんです。

「じゃあ、それで」と(笑)学んでみたら、思いのほか楽しくて。

もっと知りたいと講師に伝えたら、より深く学べるとインストラクター講座をすすめられました。参加してみると、たった4日間でフェイスラインが別人級にきれいになって、もたついていた二重あごが一気にスッキリ!

雑誌やSNSで見てはいたけれど、本当にこんなに効果があるの?と心底驚きました。
 

――インストラクターになろうと思った理由は?

インストラクターを養成する講座は、朝から晩まで、集中して学び実践するプログラム。それに、教えられたように動かすのではなく、「何をどう動かして鍛えるから効果が出るのか」から学べるので身に付き方が違います。

講座の受講前と受講後で、写真を撮って比較してみるとその変化は一目瞭然!

受け身で習うことと、学ぶことの違いを感じた瞬間でした。

ちょうどグレイヘアに移行していた時期で、NHKのグレイヘア特集の取材を受けたときに、ビフォーアフターの写真を見せたんです。するとカメラマンさんが髪より顔の変化を面白がって、私のフェイスラインの激変ぶりが放送されて(笑)

これが、周囲に大反響!

インストラクターとして活動しようとは当時は思ってもいませんでしたが、グレイヘアつながりの友人からもぜひ教えてほしいと請われて、友人たちに答えるかたちで、自宅やオンラインで教えるようになりました。

娘の摂食障害…40代やっと始まった「自分探し」 

娘の摂食障害…40代やっと始まった「自分探し」

――この経験があるから今があると思うことは?

高校生だった次女が摂食障害になったことです。

三姉妹の娘たちには、幼い頃からできる限りの愛情で教育や習い事をしてきたつもりでした。なのに、どうしてこうなってしまったんだろう……と思い悩みながら、少しでも食べやすいものをと工夫する日々が続きました。

次女の苦しさに寄り添っていたつもりだけれど、手料理を吐かれてしまうと「私はこんなにがんばっているのに」と怒り、悲しみ……本心では受け入れられていなかったんでしょうね。

あの頃は、自分もストレスが限界にきていることもわからず、過呼吸(過換気症候群)になることが度々ありました。でも、家族に迷惑をかけられないと救急車も呼べなくて。

3~4年ほどそんな状態が続き、家庭崩壊しそうなほど追い詰められて、 ようやく自分と向き合うようになったんです。

そうすると、これまで自分が母の決めた通りに生きてきたこと、自己肯定感が低く、親の言いつけを守るだけで40代半ばにもなるのに自分がいないことに気付きました。

そして、同じことを娘にしていたのかもしれない、と。
これではいけない、自分と娘は別人格。私はまずは自分自身を取り戻さなければいけない。
それで、40代半ばからの「自分探し」が始まりました。
 

――自分のやりたいことはすぐ見つかった?

いえいえ。今でも探している最中です(笑)

最初の頃は、今まで自分がやりたいことなんて考えてもいなかったので、とにかく何でもチャレンジしてみようと、ポスチュアウォーキングやバイオリンなど、さまざまな習い事に通いました。

そんなとき、断捨離(R) の講座で実践ワークをしたときに、「あれ、何を捨てるか捨てないかを自分で決めていいんだ」って。私、母の意に沿うように生きてきて、ずっと支配下にあったことに気付いたんです。

そこからは、40代半ばにして反抗期(笑)。お母さんはそういうけれど、家族のことは大切だけれど、「私はこうしたい」を大事にしてみようと。

母と私、そして私と娘たち。お互いを一人の人間として尊重するようになってから、母娘関係はずっと良くなりました。

次女はその後、「重ね煮」の料理をきっかけのひとつに 摂食障害を克服。重ね煮料理研究家・山室実咲(@kasaneni_gohan)として活動中

――講座の参加費用はどう工面しましたか?

顔ヨガ講座は4日コースで10,000円 、インストラクター講座は4日間で15万円くらいだったと思います。

自分に興味がなく、どうでもよいと思っていたので、美容にもまったく関心がなくて。昨年まで36年間、フルタイムで働いていたので自分のお金がないわけではありませんでしたが、自分の服や美容にかけるのはもったいないと思っていました。

でも、自分探しを始めるうちに、真剣にやれば費用以上に得られるものがあるんだとわかりました。

――グレイヘアに移行し始めたのもこの頃から?

50代になった頃からです。

それまでは月1回くらいの頻度で自宅染めをしていました。手伝ってくれていた娘たちからも面倒だと嫌がられちゃって(笑)。あと何年白髪を染め続けなきゃいけないんだろう……と疲れてしまったんです。

美容師さんに相談したら、「白髪染めは髪にも肌にも負担だし、面倒くさいのならやめちゃえば?」と。グレイヘアの移行期も白黒のプリンにならないカットをしてくれました。

いい感じになるまで1年ほどかかりましたが、当時まだグレイヘアという言葉が広がり始めた矢先だったので注目されました。
 

――モデル活動を始めたきっかけは?

立ち寄ったえがお美容室(東京・巣鴨)でスカウトされたんです。

翌日にCM撮影が予定されていた方がキャンセルになったからと、偶然来店した私がピンチヒッターを務めることに。そこから、グレイヘアモデルとしての活動も始まりました。
 

――家族や周囲の反応はどうでしたか?

先日、私がモデルをした広告が新聞の4分の1くらいに掲載されたのを、たまたま夫が見つけて「大きいな、すごいね」と(笑)

私がやりたいことに反対はしないけれど、照れくさいのか褒めたりもしないのですが、いつも読んでいる新聞に私の顔がバンと出ていたので、ちょっとうれしそうでしたね。

娘たちにはせがまれて、コアフェイストレーニングを教えています。次女の夫も格好よく年を重ねていきたいからと、生徒の仲間入りをしました。

自宅では三女がシュガーリングの脱毛サロンを開いているので、一緒にイベントをしたりすることもあります。

なんとなく会社に居づらい?58歳で退職を決意

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――「チャレンジするなら今だ」と思ったタイミングは?

インストラクターも、グレイヘアモデルも、自分の大きな決断というより、人とのご縁や運にまずはのってみたら道が開けていった……という感じかもしれません。

自分で決断したのは、36年間、経理や総務をフルタイム勤務で手伝ってきた家業を、58歳での退職したこと。

そろそろ、次のステップに進んでもいいのかな?と思ったタイミングでした。

人生100年時代ですし、年金開始の65歳まで働く人も多いし、退職は迷ったし不安もありましたが、家族経営の会社で父の代から弟に代替わりして、なんとなく周囲からも「いつまで勤め続けるの?」という空気を感じて(笑)

60歳でいきなり辞めるより、自分の体力も考えると今後に向けて準備するのに今がいいタイミングかもしれない、副業だったコアフェイスインストラクターとモデルの仕事に集中してみようと決意しました。
 

――退職後、生活や収入はどう変化しましたか?

実際に辞めてみたら、驚くほど気持ちが軽くて!

1年ほど、ちょっと休みすぎ?というくらい、リフレッシュしてしまいました(笑)

家事育児と仕事、子どもが手を離れてからは趣味や副業と仕事を回すのに手一杯でしたが、今は、自分のトレーニングにも時間がかけられるし、今後やりたいことなど、アイデアも続々と湧いてきて、毎日がとても有意義です。

コアフェイストレーニングの教室も、始めたばかりの頃は友人以外に人が集まらなったり、コロナ禍でオンライン主体になったりと試行錯誤しましたが、今はオンライン教室で20名くらいの生徒さんがいて、会社員の頃には及びませんが収入があります。

グレイヘアモデルの仕事も、ヘアカタログや雑誌、広告など月1、2本ほど依頼があります。モデル事務所に登録したことはなくて、インスタグラムのDMからがほとんど。掲載された誌面の一部をアップしているので、それが宣伝になっているのかもしれません。

今年は再スタートを切って、働き方と生きがいを一緒に楽しめるようなかたちを模索していこうと思います。

目指すは生涯現役!心から幸せな人生後半のために

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表情筋トレを始めて6年。スッキリしたフェイスラインをキープし続けている

――インストラクターを続けるために努力していることは?

インストラクターを続けるうちに、表情筋にとどまらず、体の構造をトータルに理解した上で顔ヨガを究めたいと考えていたときに出合ったのが、コアフェイストレーニングの本。

顔だけを変えようとしても限界があるのでは……、そう思い始めていた私にとって、顔と体の中心軸(コア)を意識しながら、首の位置、体幹、足の置き方まで整え、左右バランスよく顔の筋トレをするという「コアフェイストレーニング」の考え方がぴったりハマりました。

そこから、間々田さんが主宰するコアフェイストレーニングの指導者養成講座に通っています。

2024年、やっとシニアインストラクターのライセンスを取得しました。

目指すは生涯現役!心から幸せな人生後半のために
間々田さんの講座で学んだ後も、復習、自主練を欠かさない。理由は「楽しいから」

――チャレンジをして得た最大の教訓は?

楽しいから続く。続けるから力になる。

初めての顔ヨガ講座で「この高揚感は何だろう」と不思議に思ったくらい楽しくて、以来6年間、ほぼ毎日、表情筋トレをしています。

笑顔をつくって鍛えるから、脳が錯覚を起こして気持ちも明るくなるのかもしれませんが、とにかく楽しい。ハードなトレーニングもあるけれど、しっかり続ければ周囲が驚くほどの効果あるので、つらさは感じません。

娘を迎えにいく車中や料理中など、隙間時間を見つけてはビシバシ鍛えていましたし、その習慣が今も続いています。

モデルの仕事も、撮影で笑うのはトレーニングになるから一石二鳥。カメラマンさんには「そんなに長く笑顔をつくれるのはすごい」と褒められます(笑)

インストラクターに成り立ての頃はなかなか生徒は集まりませんでしたが、みなさん、NHKの番組の印象は覚えているようで、「放映から6年経って60歳になるのに、あのフェイスラインをキープしている。すごいです」なんていう問い合わせを、今になってもらうことがあるんですよ。

――不安や怒りなど、ネガティブな気持ちになったときの特効薬は?

頭に浮かんだそのままをノートに書きつける「ジャーナリング」

不安や悩み、怒りなどモヤモヤした未消化の感情を可視化することで心を整えてくれるから、書く瞑想とも呼ばれています。

例えば、夫が話を聞いていない、外出先でトラブルにあったなど、嫌な気持ちになったままをノートに書き殴ってみたり。自分と向き合って、そのときの感情を認めてあげると怒りや不安が消えていきますよ。

私はうまく言語化できないときは、ただグルグルと円を描いたり。シールの無駄遣いをしてやる! ってベタベタ貼ったことも(笑)。感情を押し殺さないで、ノートに吐き出すだけで落ち着きます。

もちろん、夢を書き出すことも。しばらくして読み返すと、夢に近づく方法を思いついたりもしますよ。

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――これからチャレンジしたいことは?

1対1でレッスンをしていると、生徒さんの悩みを聞くことも少なくありません。ジャーナリングを教えてあげたら気持ちが軽くなったと喜ばれたことも。

私も母の呪縛に気づいていないときは、「自分はなぜ生きているのか」「お母さんが死んだら自分は何をしてよいかわからない」なんていうメンタル不調を抱えて生きてきました。

経験者だからこそ、表情筋トレーニングだけでなく、さまざまな悩みに寄り添える取り組みをしていきたいと思っています。
 

――あなたの人生の「座右の銘」は?

生涯現役

バリバリ仕事を続けていたいと以前は思っていましたが、今は違う。死ぬまで健康で好きなことをできるのが一番。

だから表情筋トレと合わせて、きくち体操教室にも通っています。

最後まで、日々「楽しいな〜」って感じながら生きていきたい。そういう意味での生涯現役を目指しています。

50代のリスタートに必要な3つの備え

40代半ばとかなり遅めの自分探しを始めてから、好奇心や向学心が旺盛に。人生折り返しだからこそ、自分に素直になって行動しなくてはチャンスをつかみきれません。

1.即行動!を習慣づける

何かに興味をもったら、時間がない自信がないなどと言い訳せずにチャレンジするようにしています。始めてみて、違っていたら、辞めればいいだけのこと。先延ばしにしないで、とにかく行動に移したほうがチャンスを逃さないと思います。

2.自分軸で動く

周囲の考え方や評価に左右されすぎなくて大丈夫。いろいろな挑戦をしているうちに、気付けば本当にやりたいことが見つかったり、いつの間にか未来への道がつながることは何度もありました。自分がやってみたい、やっていて楽しいを最優先にするクセをつけて。

3.時間管理テクニック

50代はひと段落というけれど、実際はまだ忙しいですよね? 子育ては卒業が近いとしても、仕事や家事に自分のやりたいことが加わったら、時間が足りない。短時間で集中すること、ながらで効率よくやること、主婦業で培った時間管理テクニックは大いに役立っています。

 
取材・文=時津木春 写真=日高奈々子 企画・構成=長倉志乃(HALMEK up編集部)


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HALMEK up編集部
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