「ベイクドチーズケーキ」を焼いてみませんか
2024.11.10
公開日:2025年01月27日
2025年も「老いの成長」で小さな暮らしを豊かに
今を楽しむ♪~旬を生かして~Simple Recipe♪
夫の誕生日の朝は、これからも元気印の夫と共に不自由なりに楽しい生活が続くことを象徴するかのような素晴らしい朝焼けでした。そこに突然の「要精検」の知らせ。「組織検査」の結果を聞きに行く3日ぐらい前からは、さすがに不安がこみ上げてきて。
自分独りで生きていく日が来るかも知れない

下 リュックにした江戸紬の風呂敷は母の形見
夫の父母は72歳と61歳で、私の父母は88歳と92歳で、それぞれ亡くなりました。この現実から私には常に、「夫が先に亡くなったらどうしよう」という不安がつきまとっていました。
「夫1人残すのは心配だから、夫を看取るまでは死ねないわ」という女性が多い中で、何と身勝手な私でしょう! 脳出血を発症してからは、そんな身勝手さにも大義名分ができたとばかりに、夫に頼り切っての生活を始めて8年が過ぎました。
せめて自分の足で歩き続けなければと、夫手作りの革ケースに歩数計アプリが入ったスマホを入れて最低1日○○歩と決めて歩いて7年。
左手で杖をつくと麻痺した右手には何も持てないので、江戸紬の風呂敷で夫が作ったリュックに入浴必需品を入れて、片道1000歩の温泉大浴場まで歩くようになって3年。
スマホ入れの革ベルトは切れ、風呂敷リュックには穴が空き、「夫に直してもらおう」となりそうになるのを改め、100円ショップで合成皮革のベルトを、GUで口が大きく開くナイロンの斜めがけバッグを買いました。
平穏な暮らしが戻って、レシピ作り再開
年が変わり2025年1月9日。「組織検査」の結果が出る日です。
疑われていたのは前立腺癌。覚悟を決めて診察室前で待つこと15分。呼ばれて診察室に入ると「18か所の組織を取って調べましたが、何も見つかりませんでした」私は大きな安堵のため、しばらく先生の前を動けませんでした。
「まれに針の間をすり抜けていることがあるので半年後血液検査をしましょう。それでPSAの値が悪くなっていなければ、それで終わりです」
平穏な暮らしに戻れることが分かり、それが殊更ありがたく思えました。さあ、レシピ作りの再開です。
いま生きているということ
故 谷川俊太郎さんの作品に「生きる」という詩があります。若い頃から大好きだった詩ですが、今回の出来事を通して、作品が描いている世界が違って見えてきました。「生きている いま生きているということ」こそが、大切にすべき瞬間であり「いのちということ」なのだと。
検査結果が分かった日の夕食はオムライス。私の大好物です。夫のお祝いのはずなのになぜか私の好物を夫がとびきり綺麗に作ってくれました。「いま生きている」、当たり前の日常が今日も続いている喜びに浸りながら、しみじみと味わいました。

我が家の「魔法の調味料」は「鎌田のだし醤油」。これを使うと何でもおいしくなってくれるのです。料理が得意でテレビ番組まで持っていたことのある母が、生産元のお醤油屋さんまで買いに行き、いつも使っていた物。今や立派な通販サイトもできて、種類も豊富になりました。「貝のだし醤油」もその1つ……ご参考までに。
「いま 生きているということ」に感謝しながら、「命」を育む「食」を楽しむためにレシピ作りを続け、「春~夏」バーションも作りたいと思います。
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