50代・リタイア生活の前に考えておくこと#2
貯金が減っても不安にならない「自分を幸せにするお金との付き合い方」
貯金が減っても不安にならない「自分を幸せにするお金との付き合い方」
更新日:2025年10月01日
公開日:2025年09月21日
リタイア後の経済不安は誰でも抱えている問題

50代になると、リタイアは「まだまだ先のこと」ではなく、少しずつ現実味を帯びてきます。そして気づくのは、老後に必要なのは単なるお金の備えだけではないということです。これは、日本でもアメリカでも変わらない共通の課題です。
第1回では、老後の生活をイメージするコツを紹介しました。
資産管理の専門家、クリスティン・ベンツさんは、「リタイア後も幸せに暮らすためには、お金の管理だけでなく、お金との付き合い方そのものを見直すことが大切」と説いています。
彼女は、起業家のラミット・セティが書いた『トゥー・ビー・リッチ 経済的な不安がなくなる賢いお金の増やし方』に出合い、その考え方は長年の悩みを解決してくれたと言います。ラミットは、「周囲の人と歩調を合わせるためだけに消費するのをやめ、自分にとって価値あるものだけにお金を使い、それ以外は切り捨てろ」と。
では、リタイア生活における支出の判断基準はどう決めたらよいのでしょうか。
第2回では、書籍『How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』からクリスティン・ベンツさんの考えとラミットの教えをもとに、貯金が減っても不安にならず、自分に喜びをもたらす“お金との付き合い方”を解説します。
【この記事の読みどころ】
- リタイア後も安心してお金を使う考え方
- 日常の小さな支出で幸せを感じるコツ
- リタイア生活を豊かにする長期的プランの作り方
※本記事は書籍『How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』(KADOKAWA刊)より一部抜粋して構成しています。
誰も教えてくれない「自分を幸せにするお金の使い方」
クリスティン・ベンツ(以下クリスティン):「マインドフル・スペンディング」はあなたにとって大きなテーマですね。「周りの人が買うから買うのではなく、自分に喜びをもたらすものにお金を使おう」という教えですが、年をとったら自然とできるようになりますか?
ラミット・セティ(以下ラミット):年をとっても下手な人は下手ですよ。誰もやり方を教えてくれないし、現代社会はマインドフル・スペンディングとは真逆のメッセージであふれていますから。
成長の過程で僕らは「節約こそ美徳だ」と教わります。ラテを飲むな。旅行に行くな。贅沢は敵だという具合に。「一時の快楽にかける金を投資にまわせば、56歳になる頃には4倍になるぞ」と言われて育つんです。ある種の消費行動は軽薄だと戒められる。
つまり僕らは、マインドフル・スペンディングどころか、その真逆を教えられてきたわけです。とにかく節約が第一で、そうすれば「いつか自分のために、ちょっとくらいならお金を使えるようになるかもしれない」と。
「心配無用の数字」を知ればお金を使うストレスが減る!
クリスティン:それまで節約、節約でやってきた人が、リタイア生活に入って急にマインドフル・スペンディングができるでしょうか?
ラミット:むしろリタイア生活に入ったときこそチャンスなんです。...




