定年女子は、どこへ行く?
もらわないと損?これがあるからがんばれる?定年女子の「退職金」問題
もらわないと損?これがあるからがんばれる?定年女子の「退職金」問題
更新日:2025年10月28日
公開日:2025年09月30日
退職金をもらうまでは意地でも辞めない、と言った定年女子Nさん
退職金っていくら出るんだろう?退職金がある人はいいよね……。定年女子がこれからのお金を考えるとき、気になってしまうのが「退職金」。でも人によって退職金事情はさまざまです。
「定年退職まであと少し。せっかくここまでがんばったんだもの。退職金は100%もらわなくちゃ。ここまで来たらどんなにイヤなことがあっても辞められない」
5年前、定年女子Nさんはそう言っていました。彼女は定年退職の日を指折り数えて待ったそうです。
待ちに待った定年退職の日、「今日から自由人!」と、晴れ晴れとした気持ちでその日を迎え、翌日には髪を金髪に染め、趣味三昧の楽しい日々が始まりました。
今でも彼女はよく言います。「みんながんばろうよ!もらえるものもらわないともったいない!」と。
たしかに、花束をもらい、満額の退職金をもらってお疲れ様でした!と送られるのが「定年退職」のイメージですが、みなさんのまわりでは、今、どんな感じでしょうか。
私の退職金は、いつ辞めたらいくらになる?
私自身は、新卒で入社した会社に25年以上勤務しましたが、会社を辞めたのは50歳直前。辞めると決めたとき、退職金の額は知りませんでした。
会社を辞めてずいぶん経ってから、定年退職した人の退職金の額を知り、私がもらった金額とのあまりの違いに愕然としました。私はこのお金を棒に振ったのか!と思い、なんで辞める前にお金のことを会社にちゃんと聞いておかなかったんだろう……と、どんなに後悔したかわかりません。
当時の会社の退職金は確定給付型。会社に長くいればいるほど退職金はどんどん増える制度でしたが、無頓着な私はそういうことを知ろうとしなかったんです。それに、そういうことは聞いてはいけないものだと思い込んでいた節もありました。
大事なお金のこと、聞きにくいなどと思わず、もっと事前に聞いておけばよかったと思います。
退職金制度は会社によって事情はいろいろ
時代の変化とともに退職金制度も変化しています。勤務先によって、制度は本当にいろいろ。
企業が従業員に払う金額が決まっている確定給付型にも、退職一時金制度(社内積立)や確定給付企業年金制度(DB)があるし、企業が決まった掛金を拠出して従業員各自が運用する確定拠出型には、確定拠出年金制度(企業型DC)があります。
また、中小企業退職金共済制度のような外部の積立制度など、いろいろ。
中には生命保険を活用した福利厚生プランを組み合わせている会社もあります。
そもそも退職金制度がない会社も増えているし、あっても退職金制度が適用されるのは正規雇用者だけ、という場合も少なくありません。
大切なことは、自分の場合はどうなのか?ということ。私の会社はどうなっているの?私には退職金が出るの?……自分のことは自分でしっかり知ろうとしなくっちゃ!
一般論や他社の話を聞いて一喜一憂するのではなく、自分のことをきちんと知ることを心がけましょう。
潤沢な退職金がなかったから、得られたもの
Nさんのように退職金のためにがんばる!という定年女子もいるでしょうが、退職金がない人や、潤沢な老後資金の用意もできずどうしよう⁉と不安に思う定年女子も、きっと少なくないはず。
定年を待たずに早くに辞めた私が受け取ったのも、一般的な定年時の退職金とは比較にならないような額だったので、これからどうしよう⁉と不安になったのも事実。
中には、退職金がないと自分のゴールをどう設定すればいいのかわからない、という定年女子もいます。
お金の事情、お金への気持ちは、人によって本当にいろいろ。
たしかにお金は少ないよりたくさんあった方がいいけれど、今でも私が働き続けているのは、潤沢な退職金をもらわなかったからかもしれません。
退職金のためにがんばる?退職金がないからこそがんばる?
満額の退職金を目指して働き続ける人がいるという反面、退職金がないからこそ、がんばって働き続けようとする人もいるのではないでしょうか。
「退職金をもらう」という明確なゴールが定められないからこそ、今の仕事・働き方に自分が納得できるかどうかについて真摯に向き合わざるを得なくなる、あるいは、向き合う自由を手に入れられるとも言えそうです。
退職金としてもらうお金は、額も大きいしうれしいけれど、お金のもらい方はそれだけじゃない。定年に関係なくこれからも働き続ける対価としてのお金のもらい方は、小さな金額を少しずつコツコツ長く積み上げる形。大きな金額を一度にもらうのとは全然違うけれど、さて合計してみるとどうなるかな……⁉
早めに辞めてしまった私は満額の退職金をもらい損ねたので、「退職金のためにがんばる」という選択が消え、自分がどうしたいのかを考えざるを得なくなったわけで(苦笑)。やせ我慢の負け惜しみかもしれないけれど、今、私はいかに楽しく働いてお金をもらうかを考え、少しでも面白がれるような働き方をし続けようと模索しているところです。
※定年女子=定年が気になる、定年をきっかけに自身の生き方働き方を考えたい働き続けてきた女性たちのこと。
※HALMEK upの人気記事を再編集したものです。




