定年女子は、どこへ行く?
声を出さない生活に気づいて。定年女子が「一人カラオケ」を始めた理由
声を出さない生活に気づいて。定年女子が「一人カラオケ」を始めた理由
公開日:2025年12月28日
※定年女子=定年が気になる、定年をきっかけに自身の生き方働き方を考えたい働き続けてきた女性たちのこと
気づくと一日誰とも話していなかった
昔々の飲み会の二次会はカラオケが定番でした。
友だち同士でも、会社の仲間や社外の取引先ともカラオケに行くのが定番で、歌がうまい人はヒーローかヒロイン。音楽が好きだけど歌うのが下手な私は、いいところを見せられなくて残念なんだけど、楽しかった。
それって何年前のことだろう?カラオケなんて、もう10年、いや20年以上行っていない気がします。
在宅で仕事する定年女子、Pさん
長年フリーランスでライターの仕事をしているPさんの仕事環境は在宅。資料を読み込んだり、PCに向かったりで、誰とも話をしないまま1日が終わることが多いそうです。
「気づくと、今日一日ほとんど声を出していなかった」
こんなことが続いていいのかしら――そんなふうに思ったのがきっかけで、Pさんは初めて一人カラオケに行ってみたのだそう。
歌うこと自体があまりに久しぶりで、最初は全然声も出ないし歌えない。ところが、だんだん歌っているうちに声が出るようになってきて、気づけば楽しくなっちゃって、1時間のつもりが2時間3時間に延びることも。
週に1度のつもりが2回、3回と増え、そこで初めて、「最近、声が出やすいかも?」と自分の変化に気づいたそうです。
喉のまわりの筋肉をよく動かしたからなのかもしれない。それだけでなく、夜の睡眠の質まで良くなったような気がする——
え?!本当に?
カラオケボックスで楽器練習をする定年女子、Qさん
趣味を持ちたいと、数年前からアルトサックスを習い始めた定年女子、Qさん。管楽器は音が大きいので、自主練習はカラオケボックスを利用するのが定番です。
せっかくきたから少し歌っちゃおうかなと思って1~2曲歌ってから楽器を吹き始めることもあるそう。すると、歌わずにすぐ吹き始める時よりも音がよく出るのだとか。
「きっと口の中の筋肉がほぐれるんじゃないか」とQさん。
なるほど、どうやら歌うことには”準備運動”効果がありそうです。
それって、オーラルフレイルの入口かも?
団塊世代より年上の人と話してると、「え~」とか「あ~」とか言うのが気になることがありませんか?人にもよるのですが、話がなかなか前に進まなくて、私はじれったくなってしまうことも……。
年をとるってそういうものだよねと思っていたけれど、最近、自分自身も言葉がすっと出てこない気がします。
思うように口が回らない。
言葉が咄嗟に出てこない。
「ヤバッ!」「勘弁してよ!」と、思わず自分にツッコミを入れてしまいます。
私自身がまさに今そこに向かって行っているんじゃないの?!
それだけじゃない。最近、実は昔よりむせることが多くなってきました。定年女子のなかでもたまにそんな話題が出ることもあります。
高齢者向けの講座ではしばしば話題にのぼる「オーラルフレイル」。
これってそこに向かっていくプロセスかも……と、内心びくびくしているのです。
口やのどの周りを鍛えなくちゃ!
歌うこともいいらしいとは、薄々思ってはいたのです。これはもう、人生初の一人カラオケに行くしかない。
いざカラオケに出陣。イマドキの曲に挑戦
どうせ一人で行くなら、懐かしい歌なんかじゃなくてイマドキの歌を歌ってみたい。
でもイマドキの曲はそもそも知らないし、リズムの取り方も、歌詞の乗せ方も、音の高低も、昔の曲とは全然違う。全然歌えそうな気がしません。
そこで私は行く前にYouTubeでイマドキの曲をいろいろ聞いてみました。たとえば、ヒゲダンとかYOASOBIとかミセスとかオモタケとか……。
そして、いざ出陣(笑)。
初めての私の一人カラオケは1時間。ひたすらイマドキの同じ曲を7回連続で歌い、最後に竹内まりやの好きな曲を2曲歌って終了!となりました。
定年女子が「エクササイズ効果アリ」と感じたポイント
体験してみて、これは定年女子にぴったりのエクササイズなことがよくわかりました。そのポイントは、イマドキの歌を無理して歌うこと。
寒い日だったのにどんどん汗びっしょりに。リズムはとりにくいし口は回らないし、アタフタ歌うから、きっと汗をかくのでしょう。唾液の分泌量も半端ない。正直全然ついていけなくて、まともに歌えてなんかいません。
ところが、最後に竹内まりやを歌ってみたら、これが全然違うのです。汗も引いて、唾液分泌が増えることもないし、気持ちも体も余裕をもって歌える(上手く歌えるかどうかは別、念のため)。
たぶん定年女子にとっては、懐かしの曲よりもイマドキの曲の方がしっかり効くエクササイズになる——そう感じました。
オーラルフレイルの予防に『歌うこと』がいいと話には聞いていたけれど、一人カラオケは想像以上に効果的みたい。私のように、オーラルフレイルの入口かしらと内心びくびくしている定年女子は、今こそ!これからこそ!一人カラオケに行くべきなのかもしれません。
みんなでカラオケに行ってもいいのだけれど、気兼ねなく歌える一人カラオケがおすすめ。歌えそうにない曲を、恥ずかしがらず、カッコつけず、大きな声で堂々と歌うことこそが、鍛えるためのエクササイズになりそうだから。
なお、若者ばかりのカラオケボックスに一人で行く勇気がないという人へ。一人で来ている同世代も意外にいます。堂々と行っても大丈夫です。




