50代・リタイア生活の前に考えておくこと#3

5年後の変化に戸惑わない!リタイア生活の始め方と柔軟に生きる5つのコツ

5年後の変化に戸惑わない!リタイア生活の始め方と柔軟に生きる5つのコツ

更新日:2025年10月08日

公開日:2025年09月21日

5年後の変化に戸惑わない!リタイア生活の始め方と柔軟に生きる5つのコツ

50代から始めるリタイア準備。リタイア後の生活は、変化の連続でもあります。ストレスや不安を乗り切り、リタイア後の生活を充実させる柔軟に生きるための5つのヒントを、2人の資産管理の専門家に教わります。

将来の不安を減らすには、向き合い方を変える

将来の不安を減らすには、向き合い方を変える

50代になると、リタイアは「まだ先のこと」とは言えず、5年後、10年後の生活に具体的に備える必要性が増してきます。変化に対応し、安心してリタイア生活を楽しむには、単なるお金の備えだけでなく、「柔軟性」を持った生き方が欠かせません。これは、日本でもアメリカでも共通の課題です。

第1回、第2回では、老後の生活を具体的にイメージする方法や、自分を幸せにするお金との付き合い方のヒントを紹介しました。

リタイアに備えた資産管理の専門家で、アメリカ公認ファイナンシャル・プランナーのジェイミー・ホプキンズは、リタイア計画を「風に舞う標的を狙うようなもの」と例えます。

何歳まで生きるのか? 投資リターンはどうなるか? 今、目標にしていることや興味があることも、いつどのように変わるかはわかりません。だからこそ柔軟に対応することが大事。その覚悟さえできていれば、変化に対するストレスを緩和できるのです。

資産管理の専門家、クリスティン・ベンツさんも、リタイア後に起こる変化に戸惑わず、自分らしく生きるためには「柔軟性」が重要だと説きます。

第3回では、書籍『How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』から、リタイア生活を始めることで起こる変化と、将来に対する不安を減らす「柔軟に生きる5つのコツ」を紹介していきます。

【この記事の読みどころ】

  • リタイア生活に段階的・柔軟に移行する方法
  • 情熱を注げる活動で生活の充実度を高めるコツ
  • お金の使い方と成功の定義を見直す考え方

※本記事は書籍『How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』(KADOKAWA刊)より一部抜粋して構成しています。

【コツ1】リタイア生活には“段階的”に移行する

【コツ1】リタイア生活には“段階的”に移行する
78create / PIXTA

クリスティン・ベンツ(以下クリスティン):リタイア生活を充実させるためには、柔軟性が大事だとおっしゃるのはどうしてですか? 

ジェイミー・ホプキンズ(以下ジェイミー):リタイア生活には、思っていた通りにならないことがたくさんあるからです。

また、リタイア生活には段階的に移行したほうがいい。具体的には「あと数年で退職という時期から、勤務時間を少しずつ減らして休暇を増やしていく」というやり方です。大抵のことと同じように、お試し期間があったほうがうまくいくし、不具合があったときに調整もしやすいですからね。

【コツ2】情熱を注げるものを見つけておく

【コツ2】情熱を注げるものを見つけておく
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ジェイミー:リタイア生活へ移行する前に、まず「自分にとって、リタイアとはどういうことか」を考えてみてください。実際のリタイア生活は、個人個人で全然違います。 仕事を続けてもいいし、転職してもいい。ビジネスを始めるとかボランティア活動に時間を使ってもいいのです。

学術的な調査でも、熱中できることを見つけられた人ほど、幸せを実感しやすいことがわかっています。熱中できることは、必ずしもお金のための仕事でなくてもいいのです。

クリスティン:他の方たちも言っていたのは、「朝、ベッドから出る理由が必要だ」ということ。仕事でなくても構わないけれど、何かしらの動機づけがいると。

ジェイミー:仕事を辞めると人間関係が希薄になり、帰属意識や存在意義を見失いがちになります。現役時代と大きく変わった新しい生活に順応できない人も多く、リタイアした人のほうが「うつ病」にかかりやすいという事実もあります。

そうならないために提案したいのは、“理想的なリタイア生活”のカレンダーづくりです。「水曜はこれをする」「木曜はあれをする」というように、できるだけ具体的なスケジュールを考え、書き込んでいくのです。何もすることが思いつかなかったら、ジムや習い事など、何か新しい挑戦を見つけてください。

1日ごとの支出も書き出します。これを1か月分やってください。それから一歩引いて全体を眺め、自問します。「この生活は楽しいだろうか? 支出は無理のない範囲に収まっているだろうか」と。こうすることで、実際の生活がイメージしやすくなります。

リタイア生活は、現役時代と同じように充実したものであるべきです。情熱を注げることがないまま、ふらふら過ごすのはもったいない。何かに情熱を傾けることで存在意義も生まれます。充実した生活が送れるように、「リタイアしたら何をするか」をじっくりと考えておきましょう。

【コツ3】「貯蓄マインド」を捨てる

【コツ3】「貯蓄マインド」を捨てる
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クリスティン:リタイア前の数年間は貯蓄をやめる、もしくは控えるといった提案も聞いたことがあります。所得が一番高くなる時期に貯金しないのは、普通と逆行するやり方です。

ジェイミー:これには「もう貯蓄マインドは捨てていいのだ」と自分にわからせる目的があります。退職前に新車を買うとか旅行に行くとか、自分のため、生活を豊かにするためにお金を使うことを学んでもらうのです。

僕らは若いうちから、リタイアに向けて蓄財を奨励されます。口座残高が増えるのはいいことで、浪費は悪いことだとすりこまれます。

ところが退職すると、毎月、口座残高が減っていく。それを見るのは、本来はいいことなのでしょうが、なかなかそう思えない。なぜなら、お金の上手な使い方の基礎知識が身についていないからです。

リタイアしたからといって、すぐにお金の使い方が変わるわけではありません。現役時代とは違う状況を受け入れ、発想の転換をするには、それなりの時間が必要です。

貯蓄マインドを捨てるメリットはもう一つあります。自分にお金を使うことを学んだからこそ、あと半年、あるいは1年、「余分に働こうかな」という気になる人もいるのです。

2年間で2万ドルを貯蓄にまわすより、半年長く働いたほうがずっと経済効果が高いんです。研究によれば、半年長く働くと、30年間の給与の1%を貯蓄にまわすのと同じだけの経済効果があるといわれています。

人生もこの段階になると、もはや貯蓄よりお金を使って生活の質を上げたり、思い出を増やしたりするほうが有意義です。生活と仕事の両方を楽しむためにお金を使えるようになると、数か月あるいは、あと数年、リタイアが伸びるかもしれません。

【コツ4】妥協できるもの、譲れないものを見極める

【コツ4】妥協できるもの、譲れないものを見極める
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クリスティン:状況に合わせて柔軟な資産管理計画を立てることも大事と助言されていますね。

ジェイミー:リタイア生活の資産管理計画は、時間の経過とともにいくらでも変わります。いわば「風に舞う標的を狙うようなもの」です。

リタイア生活で何を“標的”にするかは人それぞれです。毎年どのくらいお金を使いたいですか? それで何をしたいですか? 子どもに財産を遺したいですか? そうした問いの答えによって標的の大きさが決まります。

ところが、“標的”は一か所に留まってくれません。そもそもリタイア生活の期間=寿命はリタイア後の資産管理における最大の変数です。あと5日かもしれないし、3年かもしれない。今日の確実性を基盤に、明日の不確実性を考慮しながら計画を立てないといけません。

そして“風”も変わります。税法が変わり、インフレが起こり、マクロ経済や戦争やパンデミックの影響を受けて、風向きも強さもくるくると変わります。あなた自身や家族の健康状態も影響します。そうした変化があるたび、計画を調整しなくてはなりません。

だから、資産を使い果たすことを恐れるのではなく、支出を調整することを覚えてください。リタイア生活における資金不足の大半は、支出を柔軟に調整することで解決できます。

クリスティン:つまり妥協できるものと、譲れないものを見極めるということですね。

ジェイミー:買わずに済むものや、安価な代替で我慢できるものはありませんか? 今住んでいる家を売って、小さな家に引っ越しても大丈夫ですか? 旅行をあきらめられますか? これは個人のライフスタイルや楽しみに関する話なので、一人一人答えが違います。

どれほど裕福な人も、お金に関しては妥協しなければならないことがあります。未来は常に不確実性をはらんでいるので、支出の調整が必要になったからといってリタイア生活に失敗したなどと考えることはありません。

いずれ調整が必要になることを知っていて、自分がどこで妥協できるかを理解していれば、それだけで将来に対する不安は大幅に減るでしょう。

【コツ5】「成功の定義」を数年おきに見直す

【コツ5】「成功の定義」を数年おきに見直す
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ジェイミー:リタイア生活の成功や失敗は、数学モデルのようにはいきません。例えば死ぬ間際に10ドル足りなくても、それまでの30年はこの上なく幸せだったとしたら、多くの人にとっては成功でしょう。ところが数学的には、10ドル足りなかったので失敗なのです。

極端にいえば数学的モデルにおける成功したリタイア生活とは、5千万ドルを手に入れて、それを全然使わないケースです。しかし、現実社会で人はそれを失敗と呼ぶでしょう。

クリスティン:でも大金を遺して亡くなるのは、必ずしも失敗といえないのでは?

ジェイミー:そうですね。ほかの多くのことと同じように、リタイア生活はその人が何を望むかによって、目指すところが変わってきますから。

ただ、途中で夢や目標をあきらめてしまい、お金だけが残る人も多い。「自分がいつまで生きるかわからなくて不安だから」とか「長期介護費用を管理していないから」という理由で、怖くてお金を使えないのです。そうならないために、長期介護保険や生命保険といった各種商品があるのに。

あなたはこの世に何を遺したいですか? 僕らのようなファイナンシャル・プランナーは、その答えを引き出し、一人一人に合った資産管理計画を立てます。その計画から逸脱しなければ、どのくらい支出しているかを気に病む必要がなくなります。

クリスティン:リタイアする前に、「自分にとって何をリタイアの成功とするか」がわかっていないとだめなんですね。

ジェイミー:リタイア直後はたくさんお金を使って、年を重ねるにつれてミニマルな生活に移行することが成功と思う人もいれば、できるだけ長く自立して生活することを成功だと思う人もいるでしょう。

成功の定義は数年おきに調整しても構いません。むしろリタイア後は人生の節目ごとに、自分にとっての成功を再定義したほうがよいでしょう。一般的に、人は5年単位で人生に望むものが変わるといわれています。リタイア生活においてもそれは同じです。


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HALMEK up編集部
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