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気を付けて!「ふるさと納税」を年末に駆け込みでする場合の注意点

気を付けて!「ふるさと納税」を年末に駆け込みでする場合の注意点

公開日:2025年12月12日

気を付けて!「ふるさと納税」を年末に駆け込みでする場合の注意点

テレビCMでもよく見かける「ふるさと納税」、利用している方も多いのでは?年末までに申し込もうと思っているなら、ちょっと待って。落とし穴があるのです。ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに詳しく教えてもらいます。

ふるさと納税には落とし穴がある!

12月になると、「今年の分のふるさと納税の枠を使い切らなくては」と駆け込み寄付をする人が急増します。

ふるさと納税に限ったことではありませんが、締め切り直前に慌てて行うことはミスが発生しやすいものです。

今回は、「駆け込み寄付でハマりやすい、ふるさと納税の落とし穴」について見てみましょう。

自分の「寄付上限額」に収める

ふるさと納税の落とし穴とは、自分の寄付上限を超えて「寄付をやりすぎてしまうこと」です。

税金は「1~12月」の所得により決まる仕組みです。ふるさと納税の寄附金控除の上限は、原則住民税額の2割までで、1~12月の間に自治体に寄付した額のうち、2000円を超えた部分について、所得税や住民税の寄附金控除が受けられます。

寄付のお礼として、その土地の名産品などをもらえる特典があるというのがふるさと納税の制度です。

shige hattori  PIXTA

実は「ふるさと納税をすることは節税効果がある」と考えている人が少なくないのですが、これは間違いです。あくまで「寄付」の制度なのですよ。

例えば、5万円をある自治体に寄付をすると、2000円を引いた4万8000円、住民税が安くなります。住民税は安くなっても、先に寄付をしているわけですから、節税の制度ではないことを知っておきましょう。

寄付のお礼として、自治体からその土地の名産品などの「返礼品」が送られてくるわけです。

つまり、自分の寄付の上限額を超えて寄付をしても、軽減される住民税は上限額までなので、超過分で「返礼品を買った」となってしまうのです。

昨年と同じ金額で寄付、はNG

ふるさと納税の駆け込み寄付は、例年12月に入ってから発生します。12月にボーナスが出るとおおよその年収が確定し、所得から差し引ける各種控除の額も目途が立つので、「自分にとっての寄付金控除の上限額」の目安を算出できるからでしょう。

「寄付をやり過ぎてしまう」落とし穴にハマりやすいのは、次の3つに該当したときです。

  • 今年の収入を多めに見積もる
  • 所得控除額を少なく見積もる
  • 寄付額を昨年と同額とする

収入を多く見積もると住民税額は多くなります(寄附金控除の上限が多くなる)。反対に、控除額とは「所得から引けるもの」なので、少なく見積もると、やはり、住民税額は多くなりますね。

本来より多めの住民税額から寄附金控除額の上限を算出すると、「寄附のやり過ぎ」になってしまうわけです。

また、多くの人は、「昨年並みの収入」と「昨年と同じ所得控除を受ける」として寄附金控除額を試算してしまいがちですが、それはやや危険。

収入や所得控除額に変化があるかもしれないので、「今年の収入」と「所得控除」をあらためて確認しましょう。

「寄付のやり過ぎ」につながるケースをまとめてみました。

「寄付のやり過ぎ落とし穴」にハマるのはこんなケース

siro46/PIXTA

【収入の見込み】    
□残業代や営業手当などにより月給に変動がよくある    
□今年のボーナスは昨年よりも少なくなりそう    
    
【ヒトの控除】    
□今年、子どもが高校生、大学生になった(扶養控除が増える)    
□今年、親を扶養に入れた    
□妻が出産、産休・育休で給与が出ていないので配偶者控除を受ける    
    
【医療費控除】    
□医療費が10万円を超えそうなので、来年3月の確定申告で医療費控除を受けるつもり
□不妊治療費・出産費用で医療費控除を受けるつもり    
    
【iDeCoやDCのマッチング拠出の掛金控除】    
□iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を増額した    
□勤務先のDC(確定拠出年金)のマッチング拠出の掛金を増額した    
    
【社会保険料控除】    
□今年、家族の国民年金保険料を支払ったので社会保険料控除が増える    
    
【住宅ローン控除】    
□今年、マイホームを購入して住宅ローン控除を受ける予定    

 

中でも、医療費控除には注意。12月に駆け込みでふるさと納税をした後に、急な入院などで医療費がかさむ可能性はゼロではありません。

私事ですが、数年前、治療済みの前歯のインプラントが突然、取れてしまい、慌ててかかりつけの歯科医院に駆け込んだところ、再度治療が必要となり、治療費は30万円程度かかることになりました。それは11月の末のこと。

ふるさと納税の駆け込み寄付をする前だったのでセーフでしたが、治療費が12月末の支払いなら、医療費控除の金額は大幅に増え、「寄付のやり過ぎ」になっていたかもしれません。

試算するならポータルサイトの「詳細版シミュレーション」

Ushico / PIXTA

ふるさと納税の控除額の計算はとても複雑です。ですから、みなさん、ポータルサイトの早見表やシミュレーションを使っているでしょう。

ふるさと納税の寄付上限額を試算するなら、「簡易版シミュレーション」ではなく「詳細版シミュレーション」を利用しましょう。面倒かもしれませんが、所得控除の入力項目が多いほど、実態に近い控除額上限を算出できるからです。

複数のポータルサイトのシミュレーションを利用してみましたが、同じ条件で入力しても各サイトでわずかに試算結果が異なりました。理由はわからないのですが、社会保険料の金額によっても試算結果は変わってくるようです。

ですから、ふるさと納税での寄付は「試算結果よりも少な目にする」ことが肝心だと覚えておいてください。

文=深田晶恵

※記事中の情報・金額は2025年12月時点のものです。
 

深田晶恵
深田晶恵

1967年生まれ。(株)生活設計塾クルー取締役、ファイナンシャルプランナー、CFP認定者、1級FP技能士。 外資系電機メーカーを退職後FP資格を取得。98年にファイナンシャルプランナーとして独立。現在は個人向けコンサルティングを中心に、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信中。モットーは「すぐに実行できるアドバイスをする」ことを心がけること。

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