今日から実践!専門医が教える栄養学テクニック#2
いつものコンビニおにぎりが危ない?健康リスクを減らす簡単な食生活のコツ
いつものコンビニおにぎりが危ない?健康リスクを減らす簡単な食生活のコツ
更新日:2025年10月28日
公開日:2025年09月08日
教えてくれるのは、牧田 善二(まきた・ぜんじ)さん

AGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。AGEの研究を約5年間行い、血中AGEの測定法を世界で初めて開発。2003年より、生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。雑誌、テレビにも出演多数。最新著に『すぐに実践したくなる すごく使える栄養学テクニック』(日本実業出版社刊)
※本記事は、書籍『すぐに実践したくなる すごく使える栄養学テクニック』より一部抜粋して構成しています。
更年期前後の女性が積極的にとるべき大豆製品と健康効果
前回は「甘いものでストレス解消は逆効果? 3つの間違い」を紹介しました。今回は「健康リスクを減らす食生活のヒント」を解説していきます。
豆腐や納豆などの大豆製品はコレステロール値を下げることもわかっており、そのことからも積極的に摂って欲しい食材の代表格です。
また、大豆製品には「イソフラボン」というファイトケミカルが豊富です。イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、倦怠感や抑うつなど、女性の更年期症状を和らげることで知られています。
さらに、国立がん研究センターの調査で明らかになった、大豆製品で乳がんの予防効果が期待できるという結果も、大豆を積極的に摂取する意識につながっているのではと考えられます。
大豆製品でおすすめなのは?豆乳の選び方・飲み方
ただし、厚揚げや薄揚げ、がんもどきなども豆腐を使った大豆製品は、時間が経つと揚げ油が酸化することから、風味を損なうばかりか食中毒につながる場合もあります。毎日食べる食材としては、製造に油を用いていない、豆腐と納豆がおすすめです。
できるだけ調理をせずに大豆を摂取するなら、豆乳がおすすめです。豆乳は栄養価が高く、牛乳代わりに飲むことも、スープやスムージーにすることもできます。1日200mlほどを飲むことで、イソフラボンも摂れます。
ただし、きなこやココアなどの味つけがされたものは、糖質も加えられている可能性が高いので避け、ぜひプレーンタイプを選んでください。
私はプレーンタイプの豆乳に、抹茶の粉末を加えて飲んでいます。「味変」も楽しめますし、イソフラボンとカテキンというダブルのファイトケミカル効果が期待できるからです。
ハンバーガーもおにぎりも?身近に潜む「超加工食品」
食品の加工度合いについて、4つの分類が世界で広く取り入れられています。
- 非加工ないし最小限加工食品群:肉、魚、卵、精白米、小麦粉、果物など
- 加工調味料:バター、オリーブオイル、砂糖、しょうゆ、食塩、酢、みりんなど
- 被加工食品と加工調味料の組み合わせ:パン、燻製肉、豆腐、プロセスチーズ、漬物など
- 超加工食品:スナック菓子、冷凍ピザ、アイスクリーム、菓子パン、ドレッシング類、市販の弁当など
最も問題の大きい「超加工食品」とは、「台所で、まったくもしくはほとんど使われない原材料。あるいはでき上がった製品を食べやすく、もっとおいしそうに見せるための各種添加物を含む食品」のこと。
そのまがまがしい響きから、「そんな危ないものは摂っていない」と感じるかもしれませんが、とんでもない。ファストフード店のハンバーガーやフライドポテト、コンビニのサンドイッチやおにぎりも立派な超加工食品です。
現代人が口にしているものの多くが、実は超加工食品なのです。
がん・うつ病・認知症……「超加工食品」の健康リスク
そして、世界中で行なわれている数々の研究から、超加工食品のネガティブな側面が次々と明らかになっています。
例えば、超加工食品を過剰に摂取すると、大腸がんや直腸がんが発症しやすくなります。その他にもすい臓がん、卵巣がん、乳がんなどのがんとの関連も注目されています。
アメリカの調査では、人工甘味料の摂取が、うつ病のリスクを高めることがわかっています。ブラジルの調査では、超加工食品が認知機能にも影響することが報告されています。
そのほか、肥満、腸内環境の悪化など、超加工食品が健康に与える害は多々あります。
とはいえ、忙しい現代人に「超加工食品を摂ってはいけない」などと言うつもりはありません。できる限り、その害から遠ざかる工夫をしましょう。
まずは
- ファストフードの利用回数を減らすこと
- でき合いのものを買うときには、貼ってあるラベルをしっかり見て、添加物の少ないものを選ぶこと
私たち一人一人が自分を守るための「食を見極める目」を持たなければなりません。
冷やして食べると太りにくい!? 冷凍ご飯の秘密
米飯や芋類などは糖質が多い食品であり、血糖値を上げやすいので多食は避けたいところです。ただし、良い栄養を摂るための簡単なコツがあります。
そのコツは、米飯や芋類を食べるときに1回冷やすこと。それによって「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」という、良い成分が増えることがわかっているからです。
レジスタントスターチは、消化酵素が働きにくいため小腸で吸収されずに大腸まで届くデンプンです。大腸まで届くことで、血糖値が上がりにくくなるだけでなく、腸内細菌のエサとなり腸内環境を整え、大腸がんのリスクも低下させると言われています。
宮城教育大学が行なった実験では、炊きたての白米100g中に0.37gしかなかったレジスタントスターチは、冷蔵庫で24時間冷やすと0.68gに増えました。
さつまいもはもともとレジスタントスターチが多い食材です。茹でたてでは100g中に6.17gだったレジスタントスターチが、冷蔵24時間後には7.32gに増え、その後レンジで再加熱しても7.16gを保っていました。
つまり、1回冷却すれば、温め直してもレジスタントスターチはさほど減らないということがわかります。
炊きたての白いご飯が大好きな人は多いでしょうが、たくさん炊いておいて冷凍庫に小分けで保存し、その都度レンジで温めて食べるほうが栄養には良いのです。
サツマイモなども、ふかしたり茹でたりしたものを冷まして冷蔵庫に保存し、小腹が空いたときに温め直して食べるのがおすすめですよ。
次回の記事では、「本当に健康にいい食品・効果のない食品」を紹介していきます。
※本記事は、書籍『すぐに実践したくなる すごく使える栄養学テクニック』より一部抜粋して構成しています。
※HALMEK upの人気記事を再編集したものです。
■「すぐ実践したくなる!使える栄養学テクニック」をもっと読む■
#1:甘いものでストレス解消は逆効果?「3つの間違い」
#2:「健康リスク」を減らす食生活のヒント
#3:本当に「健康にいい食品」「効果のない食品」
もっと詳しく知りたい人は、牧田さんの書籍をチェック!
「健康に良い」と信じて実践していることが、実は健康に良くなかったり、なんとなく習慣化していることが健康を損なう結果につながっていたりします。健康の悩みを解決するには「栄養学の正しい知識」が必要。「最新の医療データ」を統合した栄養学をもとに健康になるための食事の習慣を77のテクニックで紹介します。




