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- 夫が亡くなり生きがいがない…これからどうしたら?
シニア世代が、日々の暮らしの中でたまった心もモヤモヤを、人生経験豊かな医師、僧侶、生活研究家の3人がアドバイス!今回は、夫の死後、生きがいがなくなってしまった…という70代女性と、コロナ禍の仏事はやるべき?という60代女性のお悩みです。
回答してくれるのは3人の識者
玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)さん
看護師・僧侶。1964(昭和39)年生まれ。自宅で夫を“自然死”で看取ったことをきっかけに、出家。「一般社団法人大慈学苑」代表として、“親の介護と看取り”についての講座などを開催している。『前を向くために』(扶桑社刊)他、著書多数。
鎌田 實(かまた・みのる)さん
医師。1948(昭和23)年生まれ。諏訪中央病院名誉院長。東京医科歯科大学卒業後、諏訪中央病院へ赴任。地域包括ケアの先駆けをつくった。国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。「60代からの鎌田式ズボラ筋トレ」(エクスナレッジ)が10万部越のベストセラー中。最新刊は「奇跡の鎌田式ウォーキング」(家の光協会)。体と心の健康づくりのため、全国講演中。『鎌田實の人生図書館』(マガジンハウス刊)他、著書多数。
阿部絢子(あべ・あやこ)さん
生活研究家。1945(昭和20)年生まれ。共立薬科大学卒業。薬剤師の資格を持ち、メーカー勤務後、現在に至る。環境問題に深く関心を持ち、これからの低炭素暮らしの追求に努めている。『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社刊)他、著書多数。
相談1:夫を亡くして半年…平常心に戻れません
夫を亡くして半年がたちました。なかなか悲しみから抜けられません。
ぼーっとしている時間が多く、平常心に戻ることができません。毎日毎日、宙を舞っているようです。今にして思えば、争いやけんかの絶えない日々こそが生きがいだったのだと思います。これからどう生きればいいのでしょうか……。(茨城県、78歳)
僧侶・玉置妙憂さんの回答:今は悲しみの底まで沈んでいい時期
今回は、僧侶の私が回答しましょう。仏教では人が亡くなると、三回忌まで、つまり2年間は、身内が頻繁に集まって法事をします。そうして遺族を支えてきたんですね。2年という期間は、それだけ遺された人の心の空白が埋まらないということです。だから半年で平常心に戻れないのは、正常なこと。
無理に平常心に戻ろうとする必要はありません。2年間は、悲しむため、懐かしむための時間です。少しでもラクなこと、うれしいことを積極的にして、ご自分を甘やかしてください。
ところが、周囲の人からすると2年は長いもの。ご遺族も毎日泣き続けているのではなく生活をしますから、周りはその姿を見て、もう大丈夫と思うわけです。当人は、本当は回復できていないのに。
そうすると、私たちは大人なので、他人に無理に合わせようとして、心が苦しくなってしまいます。そういうときは、一人になる時間を持って、悲しみ切ることです。
悲しみは、沈み切らないと、底を蹴って上がってくることができません。沈み切る前にもがいていると、いつまでも悲しさが続いてしまうし、心をこじらせてしまいます。だから今は、とにかくスーッと沈んでください。この悲しみは、時間がたてば絶対に癒えていきますから。
鎌田 實さんからのひと言
人にとって宝物は、「好きな人がいること、いたこと」「思い出」「友達」「好きな本、絵本、映画」「趣味」「旅」「筋肉」。このうち4つを持っていたら人生が豊かになる。なければ、これから増やしていけばいい。4勝3敗を目指して。
阿部絢子さんからのひと言
人は死ぬものです。そして過去は戻らないものなんです。そう思うとラクになれます。
相談2:コロナ禍の仏事、どうしたら……
先日、母が亡くなり、四十九日・納骨をどうしようかと迷っています。お墓は九州にあり、そこまでの移動や、親戚が集まって密になってしまうことなど、この時期にはどうなのでしょう……。難しい時代です。(宮城県、68歳)
僧侶・玉置妙憂さんからの回答:やめればいいと思います
こちらも僧侶の私がお答えしましょう。仏様は、人が集まったかどうかは気にしません。どう思って送ってくれているか、その気持ちを見ています。
この状況でも「やりたい」のなら、やったらいい。「コロナが心配」と迷うなら、やめればいい。あの人がこう言うし……と迷いながら開くと、コロナにかかったとき、責任のなすり合いになりかねません。
バーチャルでの葬儀が増えました。難点もあるけれど、ラクで便利なので、この流れが加速するでしょう。多様化して選択肢が増えたということは、「何をしたら満足できるの?」と仏様に問われているようなもの。
形が決まっていたこれまでよりも、ずっと難しい。あなたが大切にしていることを考えてみてください。
心のモヤモヤが日々たまってしまう方のために、心理カウンセラーの下園壮太さんに、どんな悩みでも解決へ導く最初の対策を2つも教えてもらいました。
取材・文=井口桂介(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年1月号を再編集しています。
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