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- 自分が不幸だと思っている母親にイライラしてしまう…
毎日のイライラや不安、シニア世代の心にたまったモヤモヤに、人生経験豊かな医師、僧侶、生活研究家の3人がアドバイス!今回は、90代の母親の悪口と愚痴にイライラしてしまう…という60代の女性と、定年後の夫との生活に悩む60代の女性の相談です。
回答してくれるのは3人の識者
阿部絢子(あべ・あやこ)さん
生活研究家。1945(昭和20)年生まれ。共立薬科大学卒業。薬剤師の資格を持ち、メーカー勤務後、現在に至る。環境問題に深く関心を持ち、これからの低炭素暮らしの追求に努めている。『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社刊)他、著書多数。
玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)さん
看護師・僧侶。1964(昭和39)年生まれ。自宅で夫を“自然死”で看取ったことをきっかけに、出家。「一般社団法人大慈学苑」代表として、“親の介護と看取り”についての講座などを開催している。『前を向くために』(扶桑社刊)他、著書多数。
鎌田 實(かまた・みのる)さん
医師。1948(昭和23)年生まれ。諏訪中央病院名誉院長。東京医科歯科大学卒業後、諏訪中央病院へ赴任。地域包括ケアの先駆けをつくった。国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。「60代からの鎌田式ズボラ筋トレ」(エクスナレッジ)が10万部越のベストセラー中。最新刊は「奇跡の鎌田式ウォーキング」(家の光協会)。体と心の健康づくりのため、全国講演中。『鎌田實の人生図書館』(マガジンハウス刊)他、著書多数。
相談1:91歳の実母とうまく付き合えません
91歳の実母は、毎日のように人の悪口や愚痴ばかり。この世で自分が一番不幸なような振る舞いで、もううんざりです。
それに、私になんでもさせようとして、優しく接することができません。そんな実母に優しく接することができない自分が嫌になります。(神奈川県、66歳)
生活研究家・阿部絢子さんの回答:「母」と思わないで客観的に接して
生活研究家の私がお答えします。お母さんもあなたも、「母親」と「娘」という型にハマり過ぎていませんか? 型にハマれば、その通りにやっていればいいから、実はラクなもの。
優しい「娘」はやめて、もっとお母さんと闘ってみたらいかが? そうでないと、あなただって、いずれお母さんと一緒のことを子どもにするようになってしまうかもしれませんよ。
私の場合、90歳を過ぎた母に「自立しなさい!」って叱咤激励し続けてきたものです。
「お互いに暮らしがある。それぞれが自立してなかったら生きる意味がないし、共倒れになる」と若いときから表明して、闘い続けてきたのよ(笑)。
お母さんのことを「母親」だと思うのではなく、「先輩の女性」として見たらどうかしら。そうしたら、その人とどんな関係性を築きたいのかを考えられるようになるはずです。
今の関係がやっぱり嫌なら、呼ばれても、知らんぷりすればいい。料理だって、「自分で作れば」って言ったりして。できなきゃ、お母さんが自分で考えるだけですから。
なんでも肩代わりしてあげることが、優しくするということではないはずですよ。お母さんの人生と、あなたの人生、別々のものなのですから。
鎌田 實さんからのひと言
いっそ、母親を褒めてみて。態度が変化するかも。
玉置妙憂さんからのひと言
物理的に距離を置きましょう。少しでも長く、1日に10分でも離れることです。
相談2:定年退職した夫と対面しない生活…このままでいい?
夫が定年退職して、3年たちます。生活のリズムはできてきましたが、なるべく対面しないように生活している気がします。
けんかもせず波立つことはないけれど、この状態を続けていて、今後楽しんでいけるのでしょうか。(静岡県、65歳)
僧侶・玉置妙憂さんの回答:「老後は仲良く一緒に」という夫婦像が理想ですか?
僧侶の私が回答します。今、対面しないでうまくいっているのなら、それでいいようにも思います。「老後は仲良く一緒に」という夫婦像は、本当にあなたがしたいことか、よく考えてみてください。
最終的には人間は一人です。途中で伴侶ができると、一蓮托生の気分になるけれど、人間は一人で生まれて、一人で死んでいくという、徹底的に孤独なもの。
それを忘れてしまうと、何でも一緒にできないことが悪いことのように思えてくる。もし相手はそんなふうに思っていないとしたら、二人の気持ちはすれ違います。
まず大事なのは、あなた自身がどうしたいのかをはっきり言葉にすること。そして、夫はどう思っているのかを、自分から確認することです。
心のモヤモヤが日々たまってしまう方のために、心理カウンセラーの下園壮太さんに、どんな悩みでも解決へ導く最初の対策を2つも教えてもらいました。
取材・文=井口桂介(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年1月号を再編集しています。
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