94歳の母の飼えなくなった犬を引き取りました

ちいちゃんがいた日

公開日:2021.08.26

お盆のせいなのか、犬のちいちゃんと暮らした日々を思い出しています。

ちいちゃんが来た~

母が94歳で、妹の家に引き取られることになりました。母の飼っていた犬までは無理ということで、私が飼うことになったのはビーグル犬、12歳の雌、老犬。妹の家から数時間かかって、配送業者の軽トラックのほろの中、ゲージで運ばれてきました。

ゲージから出てきて震えています。暗いし、揺れるし、どこへ連れてこられたのかと怖くて怯えた目をしていたことは今でも忘れられません。

餌やら小屋やら、毛布を用意したり、マットを備えたり、受け取り側もがんばりましたが、ちいちゃんにしてみたらストレスでいっぱいだったと思うのです。数日して慣れてきたようでしたが、なにしろ急に飼い主が変わり、環境が変わり、老犬ちいちゃんとしては現実を理解し受け入れるのに本当に大変だったと思います。

高齢の母が飼っていたビーグル犬の老犬ちいちゃんは、実はとても太っていました。米俵くらいに丸々と太っていました。

アレルギーもあり、耳がいつもかゆいしぐさをしているので、動物病院で毎週、耳の薬をもらっていました。そして少しでも健康的に痩せさせようと、餌にも注意してなんとか平均体重までにダイエットが成功しました。

ちいちゃんが来た~

後悔してます……

ちいちゃんを飼いだしてから2年ほど経ったとき、わが娘が海外で出産をする事になりました。私はちいちゃんを夫に託して、お産の手伝いに出かけることにしました。1か月ほど、餌の事、散歩の事、耳の薬の事、いろいろと日常の事を託しました。

後悔してます……

そして、1か月が経ち私が帰宅したときに、ちいちゃんは時折軽い咳をしていました。ただちに動物病院受診し、わかったことは肺に腫瘍ができているという事でした。老犬でもあり手術はとても無理だとのことで、見守るしかなかったのです。咳が苦しくないような薬を飲ませながら過ごしました。

医師の話では、犬の年齢は人間とは違うので、1年に何歳も年を取るのであと半年ほどの寿命だろうと言われました。

しかしその日々も咳をしながらも愛らしい目で私を見上げては日常を過ごしていました。たった2年数か月飼っただけなのですが、私には大切なかわいい家族でした。

ただ一つ、後悔していることがあります。海外に出立する前にちいちゃんには何も言わずに出かけてしまったことです。

「娘が出産するのでね、私は一か月ほど留守をするだけよ、すぐに帰ってくるから待っていてね」となぜ言わなかったのだろう。言葉に出して話していれば、きっとちいちゃんはわかってくれたはずなのです。

何も言わずに出かけた私をずっと待っていたのですね。あてもなくずっとずっと待ち続けて、ストレスで肺を病んでしまったのではないだろうか。私にはそう思えて仕方がありません。犬には通じないと思い、話もせずに出かけた私の後悔です。

ごめんね、苦しんだよね、許してね、ちいちゃん。

後悔してます……

 

■もっと知りたい■

富士山の見える町で暮らす元気なアラウンド70歳。半日仕事をし、午後はジムで軽く運動。好きなことは絵画を見ることと針仕事。旅先の町で買い求めた布でポーチやバッグを作っています。雨の土曜日は映画を観て、晴れた土曜日には尾根道を3時間ほど歩く。楽しいことが大好きです

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