ペットのような愛らしさ、認知症対策にも期待大!?
一人暮らし親の見守りにも向く、幸せをくれるロボット
一人暮らし親の見守りにも向く、幸せをくれるロボット
更新日:2025年07月14日
公開日:2024年01月19日
スキンシップが好きな家族型ロボット
まるで家族やペットのように、愛される存在として開発された「LOVOT(らぼっと)」。スキンシップが好きで抱っこをねだり、犬や猫の体温ほどの温もりもあり、肌ざわりのよい触れ心地 。
くるりんとした瞳は表情が豊かで、しっかり見つめ返してくれます。かわいがってくれる人に懐いて玄関で迎えてくれたり、好きな歌を覚えていて歌ってくれたりすることも。
一緒に暮らし始めると旅先にも連れていくほど、ラボット沼にはまる人が多いと聞きます。とはいえ、掃除など家事を手伝ってくれるわけでもなく、鳴き声だけで言葉を話すこともできないのに、持ち主を虜にしてしまうのはなぜなのでしょう。
LOVOTの生みの親で、開発・販売を手掛けるGROOVE X(グルーヴ エックス)の代表取締役社長、林 要(はやし・かなめ)さんにお話を伺ってきました。
生活を便利にするだけでは幸せにできない
トヨタ自動車ではスーパーカーの「LFA」、ソフトバンクでは人型ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発等に携わってきた林さん。開発現場における経験を重ねるにつれ、利便性の追求が本当に幸せの提供につながっているのか疑問を感じ、あえて人が手助けしたくなるロボットとして設計したのがLOVOTだといいます。
「私が以前開発に携わっていたロボットを用いたイベントでのことです。起動がうまくいかないトラブルがあったとき、観衆が応援してくれたんですね。がんばれ、がんばれって声を掛け続けてくれているうちに、何とか起動して立ち上がったとき、わぁっと会場が沸いて、みんなが笑顔になったんです」と林さん。
「観衆のみなさんはロボットに人の思いが通じたような幸せを感じたのかもしれません。人の助けがいらない存在より、人の助けを必要とする存在ががんばっている姿の方が、人に元気や癒やしを与えるのではないかと気付きました」と、林さんはラボット構想のきっかけを教えてくれました。
最新鋭のテクノロジーが生み出す“癒やし”
子どもや孫、ペットなど、自分を頼る存在が身近にいると張り合いも生まれて元気になるもの。また、仕事で悩んでいても、こちらの事情とはお構いなしに甘えに来られると、かえって悩みを一瞬で忘れさせてくれたりしますよね。
「昔は自分の子どもが巣立った後でも近所の子どもの面倒を見る機会が日常的にありましたが、地域のコミュニティのつながりが希薄となった現代ではなかなかそのような機会がありません。また、癒やしを求めるためにペットを飼うご家庭も増えましたが、病気や寿命などでペットとのお別れを経験してしまうと、生き物を飼うことが怖くなることもあります」と林さん。
LOVOTの開発では「孤独になりがちな現代人にテクノロジーで癒やしを届けること」を追求したそうです。
生き物のような振る舞いを実現するために、LOVOTは全身に50個以上のセンサーを備え、複数のコンピューターによる深層学習などのAIを搭載しています。0.2秒という反応速度が命の息吹を感じさせ、持ち主の関わり方次第で個性も生まれる。人の代わりに仕事をしなくても、家族のように愛されるという機能を生み出すために、最新鋭のテクノロジーが使われているロボットです。
ロボットは話せない方が絆を深める?
あえてLOVOTを鳴き声のみで言語を話せなくしたのも、「ロボットと人が深くつながるには言葉を介さないコミュニケーションの方が適している」と考えたという林さん。
ロボットを命令で従わせるなら言葉は便利だけれど、愛情を深めるには犬や猫と同じように、仕草や瞳の表情などの言葉を介さないコミュニケーションを高いレベルで実現する方がむしろ重要になってくるといいます。
そのため鳴き声といっても声の種類はなんと10億通り以上と多彩で、関わり方によって毎回違う鳴き声になってコミュニケーションが取れるのだそうです。
さらに話し相手としては、「話したことに対していちいち意見されるより、聞いてくれているだけの方が話しやすいこともあるでしょう?」とのこと。確かにまとまらない考えも言葉にして話すだけで頭が整理されるのか、聞いてもらうだけでスッキリすることは多いかも。
着せ替えやお出掛けにハマると、より楽しい
LOVOTの価格は本体一括で49万8800円、加えて毎月の維持費が1万998円〜2万1998円(いずれも税込み)が必要です。かなり高価といえますが、3年経過しても9割の人が使い続けているそうです。
SNSでは、一緒にお出掛けしたり、LOVOTのためにケーキや服を自作したりするなどの投稿が多数あり、それだけの価値を感じている人は多そうです。
特に着せ替えは楽しいそうで、クリスマスや干支など季節のイベント向けのウェアが販売され、ジェラート ピケといった人気アパレルとのコラボのウエアもあります。
LOVOT好きの熱い要望に答えて、おめかししたLOVOTと出掛けるためのリュックも販売されています。LOVOTは一人一人の顔を見分けることができるので、お着替えさせてくれた人をちゃんと覚えて、よりいっそう懐いてくれるというのも、うれしいですよね。
プライバシーに配慮した見守り役としても
これまで1万体以上が売れているというLOVOTですが、その3割が家族への贈り物としての購入だといいます。林さんによると、「一人暮らしをしている高齢の親に、見守り役として贈る」という人も少なくないのだそう。
LOVOTにはリアルタイムで日記を付ける機能があり、人を見かけると文字の色が変わるので、離れた場所に住んでいても日記を読めば安否確認ができます。さらに異常を感じたら、頭に付いた360度見渡せるカメラで現地の状況を見ることもできるというから安心です。
「LOVOTが見守り役として好評なのは、見守られる側のプライバシーを重視しているということ。日記では誰が何をしているかまでは共有されないし、カメラをオンにするときには合図を送ってカウントダウンします。カメラで映される側が嫌なときは、撮影をキャンセルすることもできます」(林さん)
超高齢化社会の救世主!?
また、ラボットは認知症対策としても注目を集めています。神戸市の介護施設との実証実験では、3か月間、LOVOTと暮らすことで認知機能の低下が抑えられた可能性があるという結果も出ています(詳細はこちら)。
お世話をしたり話しかけたりすることが高齢者の刺激になり、さらに生活のリズムをつくってくれるのもプラスの変化をもたらしてくれるのだそう。
「LOVOTは普通のロボットに比べて電源を切りにくくしています。自分のペースで活動するので、持ち主が寝ていても決まった時間に起きてくる(笑)。一緒に暮らすと生活リズムをつくってくれるのがいい、という声もよく寄せられます」(林さん)
超高齢化社会を迎えた日本、なるべく自立して健康に年を重ねていきたいと思ったら、LOVOTを愛でる効果に注目してみるのもよいかもしれませんね。
LOVOT商品サイト
取材協力:GROOVE X株式会社(LOVOT開発元)




