老後に高齢者自身での世話ができない不安も
60代でもペットを飼いたいと思ったときの注意点
60代でもペットを飼いたいと思ったときの注意点
公開日:2021年01月03日
ペットとの暮らしは「健康寿命」を伸ばす

動物の癒やしの力は「アニマルセラピー」としても有名です。家庭で暮らすペットも、家族の心身の健康に役立っています。例えば、犬を飼っている方は散歩に出掛けるので運動の習慣が身に付き、ご近所との交流も活発になります。
室内飼育が推奨されている猫も、触ったりなでたりすることで人間がリラックスできることがわかっています。「人生100年時代」ともいわれている今、ペットを迎えることは「健康寿命」を伸ばすことにもつながります。
一方、ペットの寿命も、実は人間と同じように伸びています。犬の平均寿命は14歳以上、猫は15歳以上で、20歳を超えることも少なくありません。その生涯に責任をもって世話をすることが、ペットを迎える最重要の条件です。飼うための環境整備、動物の健康に関する知識、食費や医療費を補える経済状況も見直してみましょう。
「もしも」を考えてペットを飼う準備を

まずはじめに、ペットを飼う場合、世話ができなくなったときのことを想定しておく必要があります。例えば自分や家族の病気、入院、引っ越し、災害などで、一時的でもペットと離れる可能性は誰にでもあるはずです。
60代を超えると体調面でのリスクはどうしても高くなりますが、本来はシニア世代に限らず何歳であっても事前に対応策を考えておくことが大切です。不安を解消するためにも備えておきましょう。
しつけに困ったときはどうする?
しつけは、犬が人間社会で暮らしていくために必要です。自力では難しいと思ったら、「褒めるしつけ」を提唱しているドッグトレーナーに相談しましょう。猫やその他の動物のしつけに関しては、専門の動物病院や獣医動物行動学に詳しい獣医師に相談します。
旅行時や入院時の一時的預け先は?
飼い主が不在になる間、ペットが安心・安全に過ごせるような預け先を考えておきましょう。「犬は人につき、猫は家につく」ともいわれ、犬は家族の不在、猫は環境の変化が特に苦手です。
犬の場合、散歩で会う飼い主(犬友達)と連絡先を交換しておき、親しい相手に預けるのもよい方法です。ペットホテルや、ペットシッターを利用する方法もあります。猫は自宅で留守番させ、信頼できる友人やペットシッターに世話のために通ってもらいましょう。
万が一、自分に何かあったら?
自分が亡くなった後、ペットの世話を引き受けてくれる人を決めておきましょう。家族、親族、友人、老犬・老猫ホームなどが候補になります。事前に「ペット信託」などで、相手に渡す飼育費用を確保しておくのもよい方法です。「ペットの世話をする相手に遺贈する」という遺言書を作成する方法もあります。
初めて飼う人、久しぶりの人は、まずは相談を

また、初めてペットを飼う方は、自分に合うペットの種類や性格を専門家に相談するのがおすすめです。ロマンチックな「一目惚れ」よりも、じっくり考える「お見合い」のほうが事前に自分との相性を確認できます。
この10年でペットに関する法律や自治体が制定する条例が厳しくなり、飼い主の責任が明確になっています。ペットを飼った経験のある方も久しぶりに迎える場合は専門家に相談しましょう。
ペットを初めて飼うため、勝手がわからない
自治体で配布されているペットに関するパンフレットや、書店で販売されている飼いたいペットの飼育書(獣医師や専門家の監修)を読み、知識を身に付けることです。地域の動物愛護相談センターや動物病院などに相談したり、そのペットを飼っている友人やご近所に世話の方法や注意を聞いたりしておきましょう。
ペットと出合えるのは譲渡会、ブリーダー、ペットショップ
ペットの代表格は犬と猫です。飼う準備が整ったら、ペットと出合えるところに行きましょう。ペットショップ、ブリーダー、友人、自分で保護、飼い主募集サイト、譲渡会などが主な入手先です。
いわゆる純血種の犬猫は、ペットショップやブリーダーから入手するケースが大半。ペットショップはさまざまな種類に出合えるのが特徴です。飼いたい種類が決まっている場合、特定の種類を専門に育成しているブリーダーから選ぶのも一案です。
近年注目されているのは、保護された犬猫の譲渡会。保健所に収容されたり放浪したりしていた犬猫と新たな飼い主さんが出合う場で、自治体や民間の動物愛護団体が開催しています。主催者によって譲渡の条件が変わり、自治体では譲渡前講習会への参加を必須としているケースが大半です。
動物愛護団体では、単身者や60歳以上の方への譲渡を不可としている場合もあります。ペットの世話ができなくなった高齢者が手放すこともあるからです。子犬・子猫は不可でも、成犬・成猫、老犬・老猫は年齢に応じて可能なこともあるので、気になる犬猫がいたら団体に問い合わせてみましょう。
また、インターネットの飼い主募集サイトでは、個人のボランティアや動物愛護団体が新たな飼い主を探しているペットを掲載しています。譲渡会と似た仕組みですが、実際にペットを見られないことでトラブルに発展しないように、気になることはしっかり確認しましょう。
ペットを飼わずに、動物と触れ合う機会を持つという選択

調べているうちに、もしペットの終生飼育が難しいと思ったら飼うのをやめ、動物に関わるボランティア活動を始めるのはいかがでしょうか?地域の動物愛護推進委員に応募したり、動物愛護団体のボランティアとして世話をしたりすることで、犬猫と触れ合う機会を持てるでしょう。動物園や自然の多い場所へ出掛けることも動物を身近に感じられる機会になります。
近年は、動物に関わるボランティアを募集している自治体や団体が増えているため、社会貢献の一つとしても選択肢に入れましょう。

金子志緒(かねこ・しお)
愛玩動物飼養管理士1級、防災士、ヒトと動物の関係学会会員、いけばな草月流師範。雑誌や書籍を発行する出版社を経て、フリーランスのライター・編集者に。飼い主さんと動物たちの暮らしに役立つしつけや防災の記事を手掛ける。HP:https://www.shimashimaoffice.work/




