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- 私のC型肝炎治療記 その3
40代でC型肝炎が発覚。病と共存していく覚悟を決めその後新薬で完治。22年間の闘病と完治の過程、家族との歩みを振り返ります。今回は家族のイベントに向き合う様子や3回目の治療についてです。
長く続くかもしれない人生を、豊かなものに!
再びC型肝炎との共生を決意して、ふっと大切なことに気づきました。―悔いなく人生を終えることばかりに気を取られていたのではないか、肝硬変、肝がんと決まったわけではない、これからの人生を豊かなものにするという気持ちを見失っていたのではないか―。
通院していたクリニックの紹介で自宅近くのクリニックに変わり、点滴を静脈注射に変えてもらいました。希望して通勤時間の短い職場に転勤しました。こうして3回目の治療を受けることになるまでの約9年間、家族のイベントにきちんと向き合い、新しいことにもチャレンジする生活へとシフトしました。
充実の9年間
小学1年生だった息子は、受験勉強を経て高校生になりました。大学生だった娘二人は就職。長女は学生時代に知り合ったポーランド人の彼と結婚しました。
ポーランドでの結婚式は何もかもが珍しく、素晴らしい異文化体験ができました。結婚式前後を彼の家でご両親とともに過ごし、国は違っても子を思う親の心は同じだと分かり安心もしました。
日本で仕事を続けていた二人は、その後希望に合った就職先をアメリカに見つけ、移住しました。ある日、「妊娠した。出産の時は手伝いに来てね」と、娘から電話がありました。自分の親がそうしてくれたように、私も出産に立ち会い、手伝いをしたい。娘にすすめられながらも後回しになっていた英会話の勉強を53歳でスタートさせました。
出産時のアメリカ滞在は、息子の高校受験と重なっていました。またしても、家庭生活は夫に委ねられ、受験生の健康とやる気をサポートしてくれました。毎日小論文練習のメールがきて、就寝前のひと時を添削に費やしました。文を書くのが大好きな私にとって、それは、息子のやる気を感じることができる至福の時間になっていました。
次女は、アメリカ人の彼がシンガーポール転勤となり、結婚を前提に仕事を辞めて一緒に行きました。結婚式は京都で挙げたいとの二人の希望を受け、土日毎に神社やホテルの下見。料理や引き出物は勿論、テーブルクロス、ナプキンの色、折り方に至るまで、娘とメールでやり取りしながら準備を進めていきました。
そんな家族のイベントが目白押しの中、夫は念願だった自力でのログハウス建設を、ふるさとの町で始めていました。
3回目の治療―飲み薬+インターフェロン―
この9年間でC型肝炎の研究も飛躍的に進歩していました。世はインターネット時代。長女からは1歩先を行くアメリカでの治療情報がもたらされ、私は、その情報を元に日本での新しい治療について調べ、日本でもインターフェロンだけに頼らない新しい治療法の研究が日進月歩の勢いで進んでいることを知りました。
100%完治の治療法が確立されたら、その時は、その治療を受けようと考えるようになっていた私は、夫と共に紹介状を持って、C型肝炎専門医に会いに行きました。腹部エコーを見ながら先生は、「長年の経過にもかかわらず(長女出産時使われた止血剤による感染ではないかと考えていた)、驚くほど肝臓が傷んでいない、これまでの治療は決して無駄だったのではなく、肝臓の傷みを遅らせる効果はあったと思う、飲み薬+インターフェロンの新しい治療法があるので、チャレンジしてみましょう」とおっしゃいました。その言葉は、かつてない説得力を持って私に響きました。
そうしてみたび、長期休業に入るための準備を進め、2007年4月、美しく桜の花が咲き乱れる京都岡崎で次女の結婚式を済ませると、治療に入りました。
しかし、その副作用は強く、体重は減り、髪の毛も抜けました。副作用として懸念されていた鬱病の気配に慄きながら、しんどい心と体を引きずって気分転換に外出していました。
短期間で結論は出ました―あなたにこの治療は合っていない―。
3回にわたる「私のC型肝炎治療記」にお付き合いいただきありがとうございました。それから9年後、C型肝炎との共生を静かに受け止めていた私に思いがけない展開が! 次回から何回かに分けてそのことを書いていきます。
■harumatiさんの闘病記一覧はこちら
第1回 私のC型肝炎治療記 その1
第2回 私のC型肝炎治療記 その2
第3回 私のC型肝炎治療記 その3
第4回 人生の設計図を書き直す日 その1
第5回 人生の設計図を書き直す日 その2
第6回 人生の設計図を書き直す日 その3
第10回 脳出血 目覚ましい回復 そして一時帰宅へ
第11回 いよいよ退院へ~維持期のリハビリは自宅でしたい!~
第13回 退院後の紆余曲折を経て、生み出した自分流
第14回 1本の電話から始まった新しい歩み
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