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- 私のC型肝炎治療記 その1
40代でC型肝炎を発症、インターフェロンでの治療を進める。病と共存していく覚悟を決め、その後新薬で完治。22年間の闘病と完治の過程、家族との歩みを振り返ります。今回はC型肝炎発覚当時の状況と、病と共存を覚悟するまでのお話です。
C型肝炎と診断されるまで
1994年、44歳の秋、例年通り夏に受けていた人間ドックの結果が届きました。そこには、予期しないことが書かれていました。「C型慢性肝炎の疑い有り。要精検」
C型慢性肝炎?? 聞いたことがあるような……肝硬変から肝がんへと進行していく死に至る病だと。
本屋さんへ行き、C型慢性肝炎について書かれた本を2冊買い求めました。(まだネットで調べるという時代ではなかったのです)。
本を読んで分かったことは、
① 血液を介してのみ感染するC型肝炎ウィルスによって起こる病気であること。
② 自覚症状がほとんどないいままに長年の経過の中で肝硬変へと進む可能性が高いこと。
③ 日本の肝がんの原因の80%を占めていること。
放置をしておける病気ではないことが分かったものの、翌年には次女の大学受験と長男の小学校入学が控えていました。仕事も年度途中。闘病生活に入るわけにはいきません。とりあえず、職場近くのクリニックを受診して相談することにしました。
精密な血液検査の結果、C型慢性肝炎、ウィルスの活動性は中程度との診断が下されました。仕事帰りに週3回、肝庇護剤の点滴に通いながら、ウィルス排除の治療ができる時期を待つことにしました。
インターフェロンによる1回目の治療
半年をかけて仕事を長期に休める体制を整え、娘の大学入学に伴う引っ越しをすませ、息子の小学校生活が順調に滑り出すのも確かめた後、1995年5月、自宅に最も近い病院に入院しました。
ウィルスを排除するための治療が始まりました。副作用による熱発に備え、前以て解熱用の座薬を入れてから、インターフェロンの点滴をします。点滴を始めたらすぐに震えがきて高熱におそわれるのだろうかと不安でたまらず、初めて投与を受ける日は、姉に付き添ってもらいました。副作用が強いと説明を受けていたので、覚悟ができていたからか、思っていたよりは楽に毎日が進んでいきました。
ただ、点滴の針を刺すのに何度も失敗されたのには参りました。左右腕失敗、左右手首失敗、やむを得ず、手や足の甲に針を刺して点滴。そんなことが何回か続いた後、「患者は、体だけではなく心も弱っています。お願いですから、御免なさいで済まさないでください。もっと慎重にしてください」と、泣きながら訴えました。
家に最も近い病院を選んだのは、息子に毎日会うためでした。例え10分でも、学校での話を聞き、まだ十分には文字が読めない息子に、本を読み聞かせてやりたい。夫は、仕事を早目に切り上げて学童保育に迎えに行き、毎日息子を連れて病室に足を運んでくれました。
夫と息子の二人での生活、食事はどうしていたのか、洗濯は? ……今となっては覚えていません。家族のことを第一に考えていたつもりだったけれど、自分の事でいっぱいいっぱいになっていたのかもしれません。
薬効虚しく、C型肝炎との共生を決意
3か月の治療を終えて退院。その後の通院による経過観察から、薬効なしと診断されました。その結果に、そんなに落胆することはありませんでした。著効率は40%ぐらいと聞いていたし、何よりも、毎日の検査や点滴から解放されて家族のもとに帰れることにホッとしていました。
勝てる見込みが少ない戦いに、家族を残して行くのはもうやめよう。C型肝炎と戦うのではなく、共生できる道を模索しようとこの時決意しました。運よくこの年から、1回目に限って、この治療に保険が適用されるようになっていたのは幸いでした。
次は2回目のインターフェロン治療の話です。C型肝炎との共生を決意しながらも、何故2回目のインターフェロン治療を受けることになったのか、そしてその結果は?
■harumatiさんの闘病記一覧はこちら
第1回 私のC型肝炎治療記 その1
第2回 私のC型肝炎治療記 その2
第3回 私のC型肝炎治療記 その3
第4回 人生の設計図を書き直す日 その1
第5回 人生の設計図を書き直す日 その2
第6回 人生の設計図を書き直す日 その3
第10回 脳出血 目覚ましい回復 そして一時帰宅へ
第11回 いよいよ退院へ~維持期のリハビリは自宅でしたい!~
第13回 退院後の紆余曲折を経て、生み出した自分流
第14回 1本の電話から始まった新しい歩み
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