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- 歩くことが難しい! 回復期のリハビリテーション
40代でC型肝炎が発覚。22年間の闘病と新薬での完治後、明るい未来へ心を弾ませていた私に脳出血という次なる病がー。その時の体の状況や家族の支えなどを振り返ります。今回は回復期のリハビリについて綴ります。
すぐに効果を表した言語療法♪
入院12日目の2016年11月14日にSCUからリハビリテーション科の回復病棟に移り、発症からちょうど3か月目の2017年2月3日に退院するまで、2か月と20日間をそこで過ごしました。
1日3回、言語、理学、作業の3つのリハビテーションが、それぞれの専用スペースで行われました。 その中で、最も早く改善の兆しが見えたのは、言葉と思考でした。
言語聴覚士さんと二人で静かな個室に入り、何気ない日常会話からそれは始まりました。家族のこと、長い間続けてきた仕事のことetc. ひとしきりおしゃべりを楽しんだ後「ちょっとだけ、これをしてみましょうか」と プリントが出されて知能検査や脳トレのようなことを。これが何回も繰り返され、時には「harumatiさんと話をするのがすごく楽しくてプリントをする時間がなくなりましたね」と言うことも。今にして思えば、これらは全て言語聴覚士さんの作戦? 言語療法の手法だったのかもしれません。
昼食時に度々「美味しいですか」と声を掛けてくださっていたのは、嚥下に問題がないかのチェックだったのだということも、今、いろいろ調べる中で分かったことです。
開始から約1月後、簡単なテストを経て、言語療法卒業となりました。「ものすごいスピードで回復しましたね。発症した翌日から、伝えたいという思いが強かったのが良かったのでしょうね。リハビリは生き方に繋がっているのだと学びました」と言語聴覚士さん。まだボンヤリとした頭だったけれど、私の生き方を認め、寄り添い、誠実にリハビリに取り組んで下さった日々のこととともに、夫や息子、兄、姉、そして入院直後から病室を訪れてくれた友人たちの顔が浮かびました。伝えたいことを分かろうとしてくれるこんなにも沢山の人たちがいてくれたからこそ! と、感謝の気持があふれました。
歩けた!!
理学療法士さんによる歩行訓練も早くから毎日行われていました。車椅子から立ち上がる練習。まるでタコになってしまったようにフニャフニャ。どこに力を入れれば良いのかが分からないのです。
次に平行棒の内側に立っての歩行訓練。65年以上あんなに当たり前に歩いていたのに、どう足を踏み出せば良いのか、踏み出した足にどうすれば体重移動できるのか…… いちいち考えないと何もできないのです。療法士さんの掛け声に合わせて、鏡を見ながらの練習が続きました。
並行して、脳からの指令が途絶え、何もかも忘れてしまっている右半身の神経の再教育、筋力増強のためマッサージや、反復運動も続けられました。
やがて、 杖を使っての歩行練習が始まりました。健常側、左手に杖を持って歩くのですが、杖を出すタイミングが難しい!
1、左手……つまり杖
2、右足……おかしい!
1、左手、杖と同時に右足
2、右手を振って左足……
1、2、1、2。
続いて、杖なし自立歩行の練習。理学療法士さんは24歳の元気な男性でした。そんな方が、67歳のおばあさんの脚を抱えて曲げたり伸ばしたり。時には、思わず出てしまう涙が収まるのを静かに待ちながら、気が遠くなるような根気強さで取り組んでくれました。
そして、12月13日。 歩けた!! 初めて杖なしで60メートル歩けたのです。
失った機能を取り戻していった回復期
その間、機能が回復するにつれて、ナースステーションやリハビリテーションルームに近い病室から遠い病室へと移り、車椅子を押してもらっての移動から自分で操作しての移動へ。やがては、車椅子を卒業して、杖歩行から、杖なしの自力歩行へ。
初めて車椅子の横に立てた時の喜び、自分で車椅子を繰ってナースコールなしでトイレへ行けた時の開放感、車椅子にサヨナラし、杖をついてデイルームまで歩いた時の誇らしさ。衰えていくばかりだと思っていた60代後半を、「できるようになっていく」という実感を持って過ごせるなんて! そんな喜びでいっぱいになりました。
この期間は、失われていた機能を次々に取り戻していく、文字通りの回復期でした。
次回は、年末年始一時帰宅にまつわるエピソードと、絶頂期を迎えた回復期のリハビリテーションについて書きたいと思います。
■harumatiさんの闘病記一覧はこちら
第1回 私のC型肝炎治療記 その1
第2回 私のC型肝炎治療記 その2
第3回 私のC型肝炎治療記 その3
第4回 人生の設計図を書き直す日 その1
第5回 人生の設計図を書き直す日 その2
第6回 人生の設計図を書き直す日 その3
第10回 脳出血 目覚ましい回復 そして一時帰宅へ
第11回 いよいよ退院へ~維持期のリハビリは自宅でしたい!~
第13回 退院後の紆余曲折を経て、生み出した自分流
第14回 1本の電話から始まった新しい歩み
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