1本の電話から始まった新しい歩み
ボランティアで受け入れた大学生の靴がずらり!

公開日:2019年03月18日

ボランティアを再開

1本の電話から始まった新しい歩み

1本の電話から始まった新しい歩み

40代でC型肝炎が発覚。22年間の闘病と新薬での完治後、明るい未来へ心を弾ませていた私に脳出血という次なる病がー。その時の体の状況や家族の支えなどを振り返ります。今回はボランティア活動再開までを語ります。

退院から1か月もたたずに舞い込んだボランティア依頼

退院から1か月もたたない2017年2月下旬、1本の電話がありました。「5月に新入生の体験を受け入れてもらえないだろうか」と。

夫と私は、2014年から夫のふるさとに建てたログハウスを拠点に、地域活性化のお役に立てるなら……と、大学生の漁業体験のお手伝いをしていました。2016年も、脳出血に襲われる半月前まで、私たちはボランティアで体験コーディネーターとしての活動をしていました。

――学校からの要望を元に、宿泊施設、タクシー会社、漁業者等と打ち合わせをして、見積額を出し、スケジュール表を作成する。体験当日には学生と共に行動し、私たちが考える夫のふるさとの3つの宝≪海の恵み・海の男たち・海≫を味わい、共に作業し、親しんでもらえるように仲立ちをする―

3年続けていると、それはもう、地元の人たちにとって秋の恒例行事となっていたし、子育ても仕事も終わり、ログハウスも完成させた私たちにとっての生きがいともなっていたのです。そのうち、学生の希望で夫が建てたログハウスも見学コースとなり、2016年には、夫が大学から依頼を受けて、ログハウスについての講義をするようにもなっていました。

今回の希望は電話から2か月半後の5月中旬。

電話を受けた頃の私は、どのように回復し、何がどこまでできるようになるのか、全く見通しが持てない……というよりも、見通しを持とうという気持ちさえも芽生えていない状態でした。人の手を借りずに着替え、顔を洗い、髪を梳く……何とか身辺自立し、通院リハビリのない日は夫に付き添われて家の近くを歩く……そんな要介護2の生活を、一日、また一日と過ごすのが精いっぱいでした。

けれども、心のどこかに(例年続けてきたことを飛ばさずにやれたらどんなに幸せだろう)という気持ちがあったことも確かでした。

もし受け入れるとするならば、当日までの打ち合わせとスケジュール表作りは私の役割。電話で話をするのは未だ難しいけれど、メールでのやり取りなら何とかできるかもしれない、と考えた私は、夫とも相談しながら揺れる右手人差し指でスマホをツンツンつついて、関係者とのやり取りを始めました。

パソコンを使えるようになる見通しが!

何度も打ち間違いをしては訂正しながら、打ち合わせを進め、何とか5月13日、14日の土・日に受け入れる段取りができました。

幸い、これまでの取り組みは、すべてパソコンのフォルダーに残していました。早速、前年秋のフォルダーを開いて……ア~ッ!! 一瞬にしてパソコンの画面は滅茶苦茶になり、出したかったファイルは、どこかに消えてしまいました。指を1本1本動かすことはおろか、右手首を支えておくことすらできず、パソコンに向かった途端、むやみやたらにキーボードを押してしまったのです。

ア~ッ!! という私の叫び声を聞いて、パソコンルームに駆けつけた息子は、「お母さん、パソコンは滅多に壊れることはないし、『削除』してしまわない限りなくなることもない。落ち着いて」と私をなだめ、「どんなファイルをどこに持ってきたいのか」優しく尋ねながら、驚くほどの速さで元通りに回復してくれたのでした。

いかにパソコンを扱えなくなっているかを自覚した私は、翌日から気を取り直して、ゆっくりとパソコンに向かい、(これは、指と脳のリハビリなのだ)と自分に言い聞かせながら、長い時間をかけてスケジュール表を作り上げると、「この内容でよろしければ、新入生の体験をお受けします」と、先生に返事のメールを出しました。

いざ受け入れ! ログハウスに手摺を付けなれば!

ログハウスは、夫が52歳から60歳までの9年間、休日ごとに、自宅から高速を使っても2時間半かかるふるさとに通って、自力で建てたものです。手作りログハウスは、完成ということがなく、進化し続けるのが自慢。

体験当日、夫が学生と行動を共にするためには、私が一人でログハウスに残れるようにしておかなければなりません。問題は、玄関への階段。木が長持ちするようにと高床式に造っているログハウスの玄関には4段の階段が付いています。年をとった時のことを考えて、緩やかに造ってはいたものの、さすがに半身麻痺となった体では、手摺なしには1段も上がることができません。

そこで3月、ログハウスの庭の木蓮が蕾を付ける頃、発症以来4か月ぶりにログハウスを訪れ、夫と息子の共同作業で玄関の階段に手摺を付けました。そうして5月、無事、大学生を受け入れることができたのでした。
 

3月中旬にはログハウスの玄関に手摺を付ける準備が着々と
ログハウスの玄関の階段に手摺を付ける夫と息子
もうこれで、階段への上り下りも一人でできる!
2017年5月、早速学生さん受け入れのボランティアを実施

 

この経験が、私のリハビリに向かう姿勢を大きく変えることになります。次回は、維持期を緩やかな回復期に変えた考え方、過ごし方について書いていきます。

■harumatiさんの闘病記一覧はこちら

第1回 私のC型肝炎治療記 その1

第2回 私のC型肝炎治療記 その2

第3回 私のC型肝炎治療記 その3

第4回 人生の設計図を書き直す日 その1

第5回 人生の設計図を書き直す日 その2

第6回 人生の設計図を書き直す日 その3

第7回 C型肝炎完治から21日後、脳出血に襲われ

第8回 「かむい、かむい」-。脳出血急性期の入院生活

第9回 歩くことが難しい! 回復期のリハビリテーション

第10回 脳出血 目覚ましい回復 そして一時帰宅へ

第11回 いよいよ退院へ~維持期のリハビリは自宅でしたい!~

第12回 発症から3か月、維持期に入る頃退院へ。しかし……

第13回 退院後の紆余曲折を経て、生み出した自分流

harumati
harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

驚きの軽さ&使いやすさ!

1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール
1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール

【PR】巻き爪や外反母趾などの足悩み解消を目指せる「正しい歩き方」

巻き爪解消を目指せる「正しい歩き方」

間違った歩き方は足トラブルを招き、健康寿命に影響があることを知ってましたか?正しい歩き方と足トラブル対策を専門家が解説!

2025.05.12
【PR】税公金を簡単にお得に支払うには?

税公金をスマホで払うと…

税公金の支払いはスマホからが圧倒的にラク&お得!「ゆうちょ銀行」では抽選で毎月1万名様に1,000円が当たるキャンペーン実施中!

2025.04.21
【PR】災害のために今備えたいのはポータブル電源!

便利すぎ!大容量ポータブル電源

地震・台風などの災害時に心強い「大容量ポータブル電源」は、普段使いで電気代の節約にも大きく貢献します!知らなきゃ損!

2025.04.16
【PR】部分入れ歯のウソホント!?正しいケアって?

部分入れ歯のウソ・ホント!?

部分入れ歯が不安定・外れそうで怖い…そんなお悩みは「ケアの仕方」に原因が!?間違えている人が意外に多い、部分入れ歯の「正しい使い方」を専門家が紹介します!

2025.03.12
認知症のご本人の財産や権利をどう守るか?

認知症のご本人の財産や権利をどう守る?

認知機能が低下した場合、財産管理はどうするべきか?法律面からの支援をご紹介!

2025.05.13
ご家族の認知症介護の進め方、向き合い方

ご家族が認知症になったら……

ご家族が認知症で介護が必要な状況になったらどうする?進め方・向き合い方を解説していきます

2025.05.13
【PR】ニオイ、シミ、周りにバレる……?安心できない! 運動中の尿モレ悩み

周りにバレたらピンチ!運動中の尿モレ悩み

運動中にヒヤリとしてしまう方必見!尿モレは体操で改善しよう

2025.05.12
【PR】飽き症でも、ゼロから英語が話せるようになったワケ

ゼロから英語が話せる!

飽き症さんでもOK!たった60日で英語が苦手な人でも英会話ができるようになると話題の「インド式英会話」をご存知ですか?無料体験セミナー実施中です!

2025.02.05
物価高の今こそ考えたい!インフレ時代に「資産運用」ってどうして必要なの?

本当に必要な「お金の準備」

物価が急激に上昇している今こそ、将来に向けて「お金の準備」が必要です!年金や退職金に頼らない、資産形成を進めるには?

2025.04.18
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10
おひとりさま女性のソロライフに備えよう!「おひとりさま老後」の資産運用

老後資金、こんなに要るの?

未婚に限らず、離婚・死別などで誰しも「おひとり様」になる可能性が。一人で生きていくための「お金の準備」は出来ていますか?

2025.03.18
「ひょっとして認知症かも」と心配になったらどうすればいい?(後編)

認知症の分かれ道!41%が…

認知症1歩手前「MCI(軽度認知障害)」と診断された場合、最大41%の方が健常な状態に戻ることが分かっています!認知症を「発症させない」ためにすべき事とは…?

2025.04.14

ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

「奇跡の60代!木村友泉 大人のリンパケアLesson」横隔膜をゆるめる動き