がんとの向き合い方インタビュー#1

「33年、5度のがん闘病で得た気付き」加藤玲子さん

「33年、5度のがん闘病で得た気付き」加藤玲子さん

更新日:2024年01月23日

公開日:2023年02月08日

「33年、5度のがん闘病で得た気付き」加藤玲子さん

46歳でがんを告知されたら、どう生きますか? 「がん傾聴ボランティアのスペシャリスト」として多くのがん患者に慕われている加藤玲子さんは、46歳で胃がんを患い、5度のがんを経験。33年の闘病生活で得た、がんとともに生きる知恵を伺います。

加藤玲子さん プロフィールとがん闘病歴

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1941(昭和16)年生まれ。5度がんを罹患した経験を生かし、がん患者と家族の会「たんぽぽの会」の会長を務める他、がん電話相談や緩和ケア病棟での傾聴活動に取り組む。著書に『がんと仲良く死ぬまで生きる』(アートセンターサカモト刊)。

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自身のがん経験を語る講演で学生にもらった感想レポート。「子どもたちへのがん教育を普及させたいです」と加藤さん。

<加藤さんのがん病歴>
46歳    検診で胃がんが発覚。胃の5分の4を切除。
47歳     乳房(右)にがん発覚。全摘出、リンパ節切除。抗がん剤治療を行う。
62歳     乳がんからの転移で肺がんが発覚。胸腔鏡手術。
71歳     再度、肺に発覚。開胸手術で切除。
77歳     肺、胸膜、縦隔リンパ節への転移が発覚。ホルモン療法中。 

46歳のがん告知「健康な私がなぜ?」

最初のがんが発覚したとき、夫は単身赴任中で義父と子どもの世話を一人で担っていた加藤さん。「健康な私がなぜ? 家のことはどうしたら?」とやるせない気持ちだったと言います。

現実逃避するように家事に明け暮れていた日々。気持ちが切り替わったのは、ある気付きがきっかけでした。

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「スーパーの帰り道に信号を待ちながら、ふと『がんになったのは変えられない事実なんだ』と気付いたのです。がんである自分を受け入れられた瞬間でした。

『それならできることをやろう』と気持ちが切り替わり、翌日には夫と病院に連絡を入れて手術日を決めました」

がんは特別なことじゃない

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その後も転移や再発で計5度のがんを経験しますが、このときの気付きが、がんとの付き合い方を変えたといいます。

「なってしまったものはしょうがないですから。治療で対処をしつつですが、『あまり暴れないでね』とがんの部位をなでながら仲良く付き合っていく。そんな気持ちでもいいのではと思うようになりました」

がんは特別なことじゃない。そう気付いてから、心がフッと軽くなれたと当時を振り返ります。

「最初は子どもたちに心配をかけまいとしていましたが、実際はとても頼りになり、入院中はたくさん助けられました。私一人ではなく、家族や主治医も一緒にがんと向き合ってくれているのですよね」

闘病を支えた「日日薬」という言葉

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がん患者への傾聴ボランティア活動を始めて30年目。闘病生活の中で「ずっと前向きでいるのは難しく、体調の変化とともに心は浮き沈みします」と加藤さん。それでも「人には生きる強い力が備わっていると身をもって感じます」と話します。

がん患者への傾聴ボランティアでは、そのような状態の方に「日日薬(ひにちぐすり)」という言葉を伝えるのだそう。

「時が薬になるという意味です。手術や治療を終えて日が経つにつれ体調がよくなれば、気持ちも自然と前を向けるようになる。だから焦らずに自分の体の変化を受け入れて、あるがままでいればいいと思うんです」

どんなにつらくても心と体は少しずつ癒えていく。だから、あるがままの自分を受け入れ、時に身を任す。がん闘病の中でそういう生き方を身に付けていったと言います。

普通の時間こそが”癒やし”になる

長期戦になりやすいがんと付き合っていくためには、自分の気持ちを少しでも楽にしてあげる工夫も必要だと加藤さん。

入院中は趣味の水彩画を描いて過ごしたのだそう。「思ったままにチャカチャカって描くだけです。それが楽しいの」と微笑みます。

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「趣味を思い切り楽しんだり、面白い番組を見て『わっはっは』と笑ったり。そういう普通の時間こそが癒やしとなり、がんとともに生きる私たちの日々を幸せに彩ってくれると思うのです」

「傾聴ボランティア」とは?

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傾聴ボランティアとは「相手の話を聴く」というボランティア活動です。傾聴とは言葉の通り「耳を傾けて、熱心に聴くこと」。

傾聴ボランティアを依頼したいときは、病院や社会福祉協議会(社協)で情報を見つけましょう。社会福祉協議会ではボランティアセンターを運営しているので、そこでさまざまな情報を公開しています。

傾聴ボランティアになりたい場合は、養成講座に参加して、スキルを身に付けてから始めるのがおすすめです。社協が「傾聴ボランティア養成講座」や「傾聴ボランティア講習会」などを開いているので、お近くの社協で探してみましょう。

取材・文=塚本由香(編集部) 撮影=中川まり子 
※この記事は雑誌「ハルメク」2020年12月号を再編集し、掲載しています。 


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