「33年、5度のがん闘病で得た気付き」加藤玲子さん
2024.01.232024年02月05日
がんとの向き合い方インタビュー#2
がん患者と家族寄り添う医師「心を前に動かすために」
もし、自分が突然「がん」と診断されたら……。「悲しみや怒りなどの感情にふたをしないことが、がんと向き合って生きていくためには必要」とがん専門の心のケアを行う腫瘍精神科の医師清水研さん。闘病生活での心の持ち方について伺いました。
がん告知直後「感情」とどう向き合うか
がんを告知されると、多くの患者さんは「喪失」を経験します。
例えば健康で当たり前だった日常を失うことや人生計画が変わってしまうことです。がんによる喪失感は非常に大きく、受け入れがたいと感じるでしょう。
そして「なぜ自分がなってしまったのか」と悲しみや怒りの感情が湧き上がってきます。
この悲しみや怒りといった感情にふたをしないことが、がんと向き合って生きていくためには必要だと考えています。思い切り悲しみ、怒る感情を受け入れているうちに、徐々に心は整理され、前に進み出すのです。
人はみな「レジリエンス」を持っている
多くの患者さんと向き合う中で、人には悩みと向き合う力「レジリエンス」があると実感しています。
レジリエンスは心理学的に訳すと「元に戻る」力のことで、イメージで言うと「柳の木」です。堅い木は、強い風が吹くとボキッと折れてしまいますが、一方で柳は風に吹かれると形を変え、風がやむと元に戻ります。
がんという強い衝撃を受けても、時間とともにゆったり立ち上がる柳のようなしなやかさを、人は元来持っていると思うのです。
がん闘病を「想像」で怖がらない
もし突然がんを宣告されたら、頭が真っ白になるかもしれません。ですが、ほとんどの場合は...