横山タカ子の「信州・四季の手遊び」・1
春の訪れ。庭の檀香梅と木苺に、菜の花を添えて
春の訪れ。庭の檀香梅と木苺に、菜の花を添えて
公開日:2021年01月29日
木の根明く。喜びの黄色
4月とはいえ、雑木林にはまだ雪が残る信州。その中に根元だけまあるく雪解けした立ち木が。「木の根明く」――。春の季語であるこの景色を見つけると、春が来た喜びに一気に包まれます。
信州で春を告げる花といえば、菜の花。秋に葉を収穫した野沢菜の株は、冬の間、大抵畑にそのままになっています。雪解けとともにその古株から芽が出て、新たに黄色くみずみずしい菜の花を咲かせます。
我が家では、食用の菜の花をたくさん買ってくると、まず大鉢に生けます。
生けた菜の花を、 ちょっと摘んでは味噌汁に入れ、またちょっと摘んでは茹でてごま和えにし……と、愛めでつつ食べるのが恒例。たくあんを漬けた残りの糠(ぬか)で、糠漬けも楽しみます。
春は瞬く間に過ぎていきます。生命力と喜びに満ちた春の色を、「もったいない」とばかりに、目で、舌で、味わい尽くすのです。
今月のお茶うけ:リンゴの甘糀(あまこうじ)がけ

長野県はリンゴの生産量全国2位。秋から春先にかけて、次々と違う品種が店頭に並びます。時には出荷ラインからはじかれたリンゴをたくさんいただくことも。
そんなときは、皮をむいてひと口大にカットして鍋に入れ、リンゴの肩がつかるくらいの水を加えてコトコト煮ます。コンポートにした甘酸っぱいリンゴに甘糀※をかければ、さっぱりとしたスイーツのできあがり。
むいた皮は110℃のオーブンで1時間焼くと、美しい紅色の飾りになります。
【甘糀の作り方】
糀(300g)を電気炊飯器の内釜に入れ、水(500mL)を注ぎ、保温スイッチを入れて2時間置けば完成。煮沸消毒した密閉容器に入れて、冷蔵庫で1週間ほど保存できます。
■執筆者プロフィール
横山タカ子さん

よこやま・たかこ 1948(昭和23)年、長野県大町市生まれ。長野の郷土食の知恵を生かした家庭料理や保存食を提案。NHK「きょうの料理」などテレビ・ラジオで活躍。年に300日は着物で暮らし、古きよき生活の知恵を取り入れたライフスタイルも人気を集めている。著書に『四季に寄り添い 暮らしかさねて』(信濃毎日新聞社刊)など。
撮影=小林キユウ、安部まゆみ(人物) 構成=小林美香(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2018年5月号に掲載したものを再編集しています。
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