「え?」その聞き返し、脳の老化の始まりかも

認知症リスクを遠ざける50代からの「耳活」のススメ

認知症リスクを遠ざける50代からの「耳活」のススメ

公開日:2026年04月28日

認知症リスクを遠ざける50代からの耳活のススメ

「え?」と聞き返すことが増えた…。そんな変化を感じていませんか?その聞こえにくさは耳の老化サインかもしれません。耳の衰えは会話のしづらさだけでなく、認知症とも関係があります。50代から始めたい耳のケアについて医学博士の福島忍さんに伺います。

福島忍
監修者
福島忍
監修者 福島忍 医学博士

耳の老化は40代からゆっくりと進んでいる

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「最近、話を聞き返すことが増えた」「周囲が騒がしいと、言葉が聞き取りにくい」など、耳の聞こえの悪さが気になることはありませんか?

「耳が遠くなる」のは高齢になってからと思われがちですが、医学博士の福島さんによると、聴力の老化は40代からゆっくりと始まるそうです。

「年齢とともに聴力が低下することを『加齢性難聴』といいます。加齢性難聴は、加齢による内耳や聴神経の機能低下によって起こる難聴で、特に高い音が聞き取りづらくなる傾向にあります」

「一般的に子どもは20000Hz、成人だと16000Hzまでの高音を聞き取れますが、50代になると4000Hz以上の高音が聞き取りにくくなります。そして60代に突入すると、通常の人の話し声である500~2000Hzの高音の聞き取り能力が大きく低下します」(福島さん)

また、50代では聴力の低下に加え、耳鳴りを自覚する人も増えてきます。音や会話が聞こえづらくなると、人との会話が難しくなり、社会的な孤立を感じやすくなりますし、車の接近音や警告音なども聞こえにくくなり、事故のリスクも高まります。

まずは以下のセルフチェックリストで、自分の聴力状態を確認してみましょう。

bee / PIXTA

<聴力チェックリスト>

□会話をしているときに聞き返すことがよくある
□後ろから呼びかけられると気づかないことがある
□聞き間違いが増えた
□話し声が大きいと言われる
□家族や周囲の人から「テレビの音量が大きすぎる」と言われる
□見えないところからの車の接近に気づかないことがある
□電子レンジの「チン」という音や、ドアのチャイムの音が聞こえにくい
□耳鳴りがある
□「カ行」「サ行」「タ行」「パ行」が聞き取りづらい

1つでも当てはまる項目があった人は、耳の老化が始まっている可能性があります。老化を遅らせる「耳ケア」を始めていきましょう。

難聴が認知症につながるって本当?

shimi / PIXTA

加齢性難聴は、コミュニケーションや安全面のリスクだけでなく、認知症発症リスクとの関連性も指摘されています。

「世界的な医学誌『The Lancet』が設置した国際専門委員会は、生活習慣や環境など、見直すことができる認知症リスク要因12個(※1)の中で、難聴が最もリスクが高いと発表しています。そして、これら12個のリスク要因への対策によって、認知症の約40%を予防、または遅らせることができると言われています」(福島さん)

難聴が認知機能に影響を与えるメカニズムとしては、以下のような仮説が考えられています。

  • 感覚遮断仮説……耳から入ってくる情報が減ることで脳への刺激も減り、脳の活動が低下する。
  • 認知負荷仮説……聞き取りは、脳の多くの認知資源(容量)を使うため、耳の聞こえが悪くなると、本来なら記憶や判断などに使われるはずの脳のエネルギーが聞き取ることに割かれてしまい、その他の認知機能が低下する。
  • カスケード仮説……難聴で人とコミュニケーションをとるのが難しくなると、社会的活動が減って認知機能低下につながる。

「いずれにしても、聞こえにくさをそのままにしておくと認知症になりやすい傾向があることは間違いありません。聞こえに不安を感じ始めたなら、早めのケアをおすすめします」(福島さん)

50代からの「耳活」5つの対策

 Graphs / PIXTA

加齢性難聴は病気ではなく老化現象の一つ。だからこそ生活習慣の工夫で、進行を緩やかにすることが大切です。

耳の老化を緩やかにする対策を、福島さんに教えてもらいました。

1.  大音量やイヤホンの長時間使用に注意
大きな音を聞くと、耳の中にある音を感じる細胞が傷つき、減少してしまう恐れがあります。ヘッドホンやイヤホンなどで大音量の音を長時間聞くのは控えるようにしましょう。

なお、騒音下など、周囲が賑やかだとイヤホンのボリュームを上げてしまいがちですが、ノイズキャンセリング機能をうまく使うなどすれば、音量を上げなくても聞き取りやすくなります。

「大音量に限らず、イヤホンの長時間使用は耳の負担になりますから、1時間着けたら10分休むなど、耳の休息を入れながら使うようにしましょう」(福島さん)

2. 生活習慣病を改善する
老化現象の一つである加齢性難聴は、生活習慣病の影響を受けやすいとされます。

「内耳(耳の奥)にはたくさんの毛細血管が集まっていて、音を感じる細胞に酸素や栄養を運んでいます。そのため、血流が悪くなると、必要なものが細胞に届きにくくなり、音を感じにくくなってしまいます。動脈硬化や高血圧、糖尿病などがあると内耳や脳の血流が悪くなり、加齢性難聴が悪化しやすいと言われています」(福島さん)

生活習慣病がある、またはその兆候がある人は適切に管理し、病気を悪化させないように気をつけましょう。

3.  血流を良くする食べ物を取る

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耳の血液の流れが悪くなると、脳への神経伝達が十分にできず、難聴を進行させてしまう可能性があります。血流を良くするために、ビタミンを含む食べ物を積極的に取るようにしましょう。

「ビタミンの中でも特に意識して取りたいのが、葉酸とビタミンB12です。葉酸は血を造る役割があるビタミンで、積極的に取ることで血流改善効果が期待できます。一方のビタミンB12は、難聴を引き起こす傷ついた末梢神経を修復させる働きがあると言われています」(福島さん)

  • 葉酸を多く含む食べ物……焼きのり、わかめ、青のり、枝豆、ほうれん草、アスパラガスなど。
  • ビタミンB12を多く含む食べ物……レバー、あさり、シジミ、さんま、卵など。

なお、葉酸もビタミンB12も、ビタミンCと一緒に取ることで吸収率がアップします。ビタミンCは抗酸化作用があり、体の老化予防にも役立つ栄養素。イチゴやキウイなどの果物に豊富に含まれているので、食後の一品などで補うのもおすすめ。これらの栄養素を食事で摂取するのが難しいなら、サプリメントなどで補うのも一手です。

4. マッサージやツボ押しで血流を良くする

shige hattori / PIXTA

毛細血管が集まる耳には多くのツボがあるので、マッサージなどで刺激すると耳周りの血流が良くなり、自律神経も整いやすくなります。

<おすすめの耳マッサージ>

  • 耳ぐるぐるマッサージ……手のひらで耳全体を包み込むようにしてぐるぐる動かします。右回りでも左回りでもやりやすい方でOK。ひと回り1秒で、5回くらい回しましょう。
  • 耳を引っ張るマッサージ……親指と人差し指で耳をつまみながら、上・下・横それぞれの方向に3秒ずつ軽く引っ張ります。これを3回くらい繰り返します。

朝の洗顔時や、夜お風呂に入りながらなど、毎日の習慣にするといいですね。

「認知機能的には、『歌いながら』『しゃべりながら』のように、他の何かをしながらマッサージするのがおすすめです。2つ以上のことを同時に行うことで、脳のいろいろな部位が刺激されますよ」(福島さん)

5. ミツバチ産品「蜂の子」「ローヤルゼリー」の効果にも注目

mizutama / PIXTA

加齢性難聴の対策では、昔から「耳にいい」とされている健康食品を取り入れるのもおすすめです。中でも福島さんが注目しているのは、ミツバチ産品の「蜂の子」と「ローヤルゼリー」なのだとか。

「『蜂の子』はその名の通り蜂の子どもで、タンパク質、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、脂肪酸などの栄養素を多く含んでおり、古くから元気の源として重宝されてきました」

「そんな蜂の子の健康効果の中でも特に注目されているのが、『耳の聞こえ』や『耳鳴り』への効果です。蜂の子の成分を摂取することで、加齢によって高い音が聞こえにくくなるのを防いだという報告がある他、難聴と併発することの多い『耳鳴り』が改善したという発表もあります」(福島さん)

一方の『ローヤルゼリー』は良質なアミノ酸をはじめ、タンパク質、糖分、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をすべて含むことから、完全栄養食とも呼ばれる素材です。

「ローヤルゼリーもまた、肌の老化や更年期の不調改善、糖尿病の予防につながるなどさまざまな健康効果が報告されていますが、耳鳴りを改善する作用も確認されているんですよ」(福島さん)

昔から重宝されてきた自然由来の成分も、耳の健康維持に役立ってくれそう。蜂の子もローヤルゼリーも、飲みやすいサプリメントタイプなら気軽に取り入れられます。

いかがでしたか?

耳の聞こえは、人とつながり、脳を刺激し、毎日を安全に過ごすための大切な力です。「最近、聞き間違いが多いかも……」などの変化を感じたら、それは耳活の始めどき。耳を労わる習慣で、10年後、20年後の「聞こえる暮らし」を守っていきましょう。

■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
 

■監修者プロフィール:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん

山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。医学博士。

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