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認知症予備軍チェックリスト付き!
今すぐできる認知症予防習慣!食事で取りたい成分3つ
ブレインケアクリニック名誉院長
今野裕之
公開日:2022.12.19
更新日:2023.08.06
最近、人や物の名前がすぐ出てこない……。もしかして認知症?高齢者の約5人に1人が認知症になると言われている今、予防するには早めの対策がカギ! ブレインケア専門医の今野先生に、注目の新治療や、今すぐできる予防習慣について教えてもらいました。
気になったら!「アルツハイマー予備軍」チェックリスト
新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり生活の影響で、運動やコミュニケーションの機会が減り、認知症になりやすい状況になっています。実際、2020年には認知症患者の4割に認知機能の悪化が見られたという調査報告が発表されています。
また2025年には、高齢者の約5人に1人が認知症になると言われています。
認知症にはいくつか種類がありますが、その約6割を占めているのがアルツハイマー病。ブレインケアクリニック名誉院長・今野先生によると、アルツハイマー予備軍の人には、共通して見られる傾向があるそうです。
さっそく、以下のアルツハイマー予備軍チェックリストで確認してみましょう。
アルツハイマー予備軍チェックリスト
□人や物の名前がすぐ出てこない
□忘れ物が増えた
□集中力が落ちた
□「いつも同じことを聞く」と言われる
□以前に比べて気力が落ちた
□匂いや味がわからなくなってきた
一つでも当てはまる項目があるとドキッとするかもしれませんが、今野先生によると、これらの症状も生活習慣を見直すことで治る可能性があるとのこと。今回紹介する内容を参考に、早めの対策を心掛けましょう。
9割の改善率!新しい治療法「リコード法」って?
アルツハイマー病において最近注目を集めているのが、米国のデール・ブレデセン博士により開発された「リコード法」と呼ばれる新しい治療法です。
アルツハイマー病は、「アミロイドβ」という物質が脳に蓄積することで発症すると考えられています。
これまでの治療法では、この物質の蓄積を防ぐことや、取り除くことに焦点を当てていましたが、リコード法ではアミロイドβが増えるそもそもの原因に着目。生活習慣の改善などからアプローチします。
従来の治療法と大きく違うのは、「症状の進行を遅らせる」のではなく、認知症を「根本的に治す」ことを目指している点。アメリカでは、リコード法による治療で初期のアルツハイマー患者の9割に改善が見られたそうです。
治療の中心になるのは、食事や運動、睡眠といった生活習慣の改善です。そこで今野先生に、リコード法をベースにした認知症予防習慣について教えてもらいました。
今すぐできる!5つの認知症予防習慣
今野先生によると、リコード法に基づく認知症予防習慣は大きく5つあります。
認知症予防習慣1:ケトフレックス12/3食事法
「ケトフレックス12/3食事法」とは、以下の3つをルールにした食事法です。
【ルール1】ケトン体を作る食べ物を取り入れる
1つ目は、脳のエネルギー源になるケトン体を作るために必要な食べ物を取り入れることです。アルツハイマー病の脳はブドウ糖をうまく使えないため、代わりにケトン体を使って脳のエネルギー不足を解消します。
ケトン体を作り出すのに特に重要なのは、良質な脂質。ナッツや卵、青魚、オリーブオイル、エゴマ油、亜麻仁油などを積極的に取り入れましょう。なお、砂糖やブドウ糖などの糖質はケトン体を作りにくくするので、できるだけ控えるのがポイントです。
【ルール2】食事は野菜を中心に組み立てる
2つ目は、「フレックス=緩やかな菜食主義」を意識することです。野菜に含まれる食物繊維には血糖値の上昇を緩やかにする働きがありますし、野菜が持つ様々な栄養素は、脳の炎症や、老化の原因になる酸化を抑えてくれます。野菜は葉物野菜を中心に、海藻やキノコ類も取り入れましょう。
【ルール3】12時間のプチ断食
3つ目は、「夕飯は寝る3時間前までに済ませ、朝ごはんまで12時間空ける」という時間のルールです。
食事を取らない時間を作ると、その間に細胞内をきれいにして老化を遅らせる「オートファジー」というメカニズムが働きます。また、空腹になると、老化を遅らせ寿命を伸ばす「長寿遺伝子」が働き出し、食事がない状態でも生命を維持できるように体のメンテナンスが始まります。さらに、ケトン体を増やすのにも役立ちます。
認知症予防習慣2:1回約30分、週2~3回の有酸素運動
ウォーキングなどの有酸素運動には記憶力を高める効果があります。1回あたり30分程度、週に2~3回程度の有酸素運動を生活習慣に取り入れましょう。
さらに、運動をしながら、同時に頭も使うとより効果的!ウォーキングをしながら100から3を引き続けたり、2~3人でしりとりをしながら歩いたりすれば、脳と体の機能を効果的に向上させられます。
認知症予防習慣3:ストレスケアを意識する
ストレスによって分泌されるストレスホルモンは、全身の血流を悪くして、神経細胞の活動を妨げます。また、記憶を司る海馬という脳の部位は、ストレスを感じると萎縮しやすいため、ストレスは認知症のリスクを高めるといわれています。
ストレスの管理は、認知症予防において大切な要素の一つ。瞑想(マインドフルネス)や、ものの見方を変えて気持ちを楽にする「認知行動療法」など、ストレスケアにもさまざまな方法がありますので、自分に合ったやり方を見つけておくと安心です。
認知症予防習慣4:脳を刺激する知的活動
新聞や雑誌を読む、日記を書く、歌うなどの頭を使う活動は、脳を刺激して老化予防をサポートします。
また、人との交流も脳を刺激する知的活動の一つ。外に出て日光を浴びれば、認知症発症を抑えるのに役立つビタミンDも体内で合成されるので、習い事を始めてみる、友人や家族と定期的に会うなどして、意識的に脳に刺激を与えましょう。
認知症予防習慣5:1日7時間を目安に十分な睡眠を
短時間睡眠は認知症リスクを高めるといわれています。1日7時間を目安に、しっかりと睡眠をとりましょう。
一般的に年をとるにつれて眠りが浅くなり、睡眠時間も短くなります。「よく眠れない」という人は、寝室の環境や寝具を整えるなどの工夫を。睡眠が足りないときは、午後3時までに30分以内のお昼寝を試してみましょう。
毎日の食事で積極的に取りたい3つの成分と食べ物
5つの認知症予防習慣をご紹介しましたが、リコード法において特に重要とされているのが毎日の食事です。
中でも、積極的に取りたい成分と食べ物は次の3つです。
1.オメガ3脂肪酸
DHA、EPA、αリノレン酸などのオメガ3脂肪酸には、慢性炎症を抑えて、認知症の予防・改善に役立つ効果があります。食品では、まぐろ、さば、さんま、ぶり、いわし、エゴマ油、亜麻仁油などに多く含まれています。
2.たんぱく質
たんぱく質は、神経細胞や神経伝達物質を作る原料になります。肉や魚、卵、大豆製品などから、体重1kgあたり1g以上を目安に毎日取りましょう。
3.プロポリス
プロポリスには、脳の神経細胞を傷つける原因である慢性炎症を抑え、認知機能の低下を防ぐ可能性があることがわかってきています。さらに、プロポリスを24週間飲用した試験では、もの忘れを自覚する人たちの記憶力が改善したというデータもあります。
またプロポリスは、さまざまな健康効果が認められてきている注目の素材でもあります。
食が細い人や、食生活が偏りがちな人は、サプリメントなどもうまく活用しながら、認知症予防につながる栄養素を積極的に取り入れていきましょう。
かつては「予防できない」「治らない」と言われていた認知症ですが、食事などの生活習慣を早めに見直せば、発症リスクを下げたり、症状を改善できることがわかってきています。
今回ご紹介した5つの予防習慣は、どれもすぐに取り入れられる簡単なものばかり。イキイキとした将来のために、できることからぜひ始めてみましょう!
監修者プロフィール:今野裕之さん
こんの・ひろゆき 医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、医学博士。順天堂大学大学院卒。老化予防・認知症予防を専門とする。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニックを開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、患者一人ひとりに合わせた診療にあたる。著書に『最新栄養学でわかった!ボケない人の最強の食事術』(青春出版社刊)などがある。
取材協力:山田養蜂場健康科学研究所
※この記事は2022年12月の記事を再編集をして掲載しています。
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