50代、はじめてのスキマバイト体験記 #2

52歳、スキマバイトの天国と地獄。同僚の“タイミーおじさん”に絶句

52歳、スキマバイトの天国と地獄。同僚の“タイミーおじさん”に絶句

公開日:2026年04月17日

52歳、スキマバイトの天国と地獄。同僚の“タイミーおじさん”に絶句

52歳女性が「タイミー」で始めたスキマバイト。ラーメン屋の次は快適なオフィス清掃。そこから一転、チーム作業の現場で出会った強烈な“タイミーおじさん”に絶句……。人間関係ガチャのリアルと、50代だからこそ感じた働き方の気付きを描きます。

朝2時間、大企業のオフィスで働く心地よさ

ラーメン店での、怒涛の初バイトで音を上げた私(52歳)が、次に挑んだのはオフィス清掃。誰もが知る大企業のオフィスで、社員さんが出社する前にデスクを拭くだけ、という何とも魅力的な仕事です。朝7~9時までの2時間勤務で、時給は1200円。

朝のすがすがしい空気の中、窓から見える大都会の景色を眺めながら、クロスを滑らせる時間は、想像以上に気持ちのよいもの。やがて社員さんが次々出社してくると、すれ違いざまに「おはようございます」「いつもありがとうございます」と笑顔で声をかけてくれるように。

日々の家事をこなしても感謝されることが少なくなっていた私にとって、この何気ない「ありがとう」の言葉は素直にうれしいものでした。

朝2時間、大企業のオフィスで働く心地よさ
ある日のバイト帰りにて。働いた充実感を味わいながら、街を闊歩するのが楽しい

52歳、まさかのスカウトで芽生えた謎の万能感

そんなふうに楽しみながら机を拭いていたからでしょうか。ある朝、清掃チームのリーダーから思わぬ言葉をかけられました。

 「あなたの仕事ぶり、とても丁寧で助かっているの。もしよかったら、タイミー経由じゃなくて、ウチの直雇用として定期的に働きに来てくれない?」

まさかのスカウトです。「あなたが必要だ」と名指しで求められることなぞ、滅多にないので、ちょいと有頂天です。タイミーをきっかけに正式採用へと繋がるケースがあることは知っていましたが、まさか自分がその対象になるとは思ってもみませんでした。

ただ、私の今の優先順位は「好きなときに、好きなペースで働く」というスキマバイトならではの自由さ。せっかくのお誘いでしたが、丁重にお断りしました。

それでも、このスカウト体験は52歳の自分にほんのり自信を与えてくれました。「私、意外とどこに行っても通用するのかなぁ」「これからはいろんな仕事を掛け持ちする、マルチプルワーカーとして働くのもいいな」などと、謎の万能感すら芽生え始めていたのです。

天国から地獄へ。タイミーおじさんの行動に絶句

次もきっと余裕でこなせるはず……。そんな軽い気持ちで応募した次の現場は、「会議室の清掃バイト」。前回のオフィス清掃の延長線上にあるような、一人で黙々と取り組む仕事だと勝手にイメージしていました。

ところが、現場に到着してすぐに、その甘い見通しは打ち砕かれました。そこは単独で取り組む仕事ではなく、タイミーで集められた初対面の複数人とチームを組んで行う仕事だったのです。 

しかも、ただの会議室清掃ではありません。その日は数百人規模の立食パーティが行われた直後で、私たちのミッションは大量のゴミの仕分けと片付け。食べ残しやお酒の空き缶が散乱する中、慌ただしく作業が始まりました。

さらに私の心をへし折ったのが、たまたま一緒に組むことになった50代とおぼしき“タイミーおじさん”の存在です(かくいう私もタイミーおばさんですが)。

彼はスキマバイトのベテランなのか、やたらと先輩ヅラで「ここはこうしたほうがいいよ!」とアドバイスの連続。さらに「旦那さんはいるの?」「年齢は?」などと、このご時世NGな質問が次から次へと。

それだけならまだしも、このあと衝撃の光景を目の当たりにすることに。

おじさんの話し声が水中を潜っているかのように、やたらとくぐもっているなぁと後ろを振り返ると、オードブルの残り物をヒョイとつまみ、モグモグと食べていたのです! 「もったいないよねぇ……」と言いながら。

衛生観念もモラルもへったくれないモグモグ事件に、私は完全にドン引き。さっきまでの万能感はどこへやら、一秒でも早くこの場から逃げ出したい、「速攻で帰りたい!」という衝動を抑えつつ、無心でゴミ袋の口を縛り続けました。

人生経験豊富50代以降だからこそ楽しめるかも

私はこの想定外の出来事から、身をもって学びました。募集項目に仕事内容が書いてあるとはいえ、具体的に何を任されるのか、どんな属性の人とどのぐらいの人数で働くことになるのかは、当日行ってみないとわからないということを。

それはまるで、楽譜のない即興音楽を奏でるようなものです。何が起きても受け止める「臨機応変さ」が強烈に求められます。

そう考えると、酸いも甘いも噛み分けた、人生経験豊富な50代以降だからこそ、この予測不能なセッションを切り抜けられるのかもしれません。

もっとも、オードブルを頬張るおじさんを前にドン引きした私には、まだまだ修行が足りないようですが。

それでも、「職場や人間関係が合わなければ、次に行けばいい」と割り切れる自由さが、スキマバイト最大のメリットです。

今回のような思わぬハズレ現場に当たっても、「その場限りの関係だから」という気楽さが大きな救いに。たとえ残念な目に遭っても、「世の中にはいろんな人がいるもんだ」と人間観察のつもりで割り切れば、それすらもエンターテイメントの一つとして楽しめる日が来る、のかもしれません。

週に2回程度、こうして外に出て働くことで、少しずつ体力・筋力もついてきました。何より、バイト代として月に2~3万円台の副収入が入るようになったのはうれしい変化です。

おかげで、「ちょっといい化粧水」や「美容と健康にききそうなサプリ」を買えるように。バイト代はすべて重力に逆らうためのアンチエイジング代として、はかなく消えていく運命です……。

人生経験豊富50代以降だからこそ楽しめるかも
バイトの副収入があるせいか、ついつい財布の紐がゆるんで、美と健康グッズに手が伸びてしまう 

続く第3回では、タイミーで口コミ大絶賛の職場で直面した、まさかのパワハラ的対応や、スーパーの品出し業務で突きつけられた「老化の壁」についてお伝えします!(4月24日公開予定)

伯耆原良子
伯耆原良子

ほうきばら・りょうこ 人材業界の営業を経て、日経ホーム出版社(現・日経BP)で編集記者に。独立後は2000人超の企業トップや芸能人、アスリートなどの人生哲学をインタビュー。現在は「50代からの生き方・働き方をアップデートする」をテーマに、毎日を軽やかに、面白く更新していくヒントを届けている。