50代、はじめてのスキマバイト体験記 #4

52歳の「無理しない働き方」スキマバイトで見えた向き・不向きと選び方

52歳の「無理しない働き方」スキマバイトで見えた向き・不向きと選び方

公開日:2026年04月24日

52歳の「無理しない働き方」スキマバイトで見えた向き・不向きと選び方

「ラクに稼げる」は本当?スキマバイトを通して見えてきたのは、自由さの裏にあるリアルでした。52歳の「タイミー」体験の成功と失敗、たどり着いた「無理しない働き方」。50代が後悔しないための選び方と、自分らしく続けるヒントをまとめます。

セレブ主婦に株損男性。多様なタイミーさんたち

病をきっかけに、生活改善と運動不足解消を兼ねてスキマバイトアプリ「タイミー」を始めてから、1年ちょっと。

この間、本当にいろんな仕事を経験させてもらいました。新商品を試して評価するモニターの仕事や、研修会場で受講者の案内をする仕事など、その内容は実にさまざま。

時には、東京ビッグサイトでのブースのお手伝いや、誰も通らない「裏口」でひたすらお客様を誘導するという仕事もありました。裏口の案内では人っ子一人通らないため、こっそりイナバウアーや欽ちゃん走りをして時間をつぶしたことも。日々、自分の知らない新しい世界に触れられることは、想像以上の楽しさでした。 

職場で出会う「タイミーさん」との交流も魅力です。出勤前の2時間だけ副業をしているというバイタリティあふれる会社員や、どう見てもお金に困っていなさそうな港区在住のセレブ主婦。さらには「株で大損こいたんだよね」と苦笑いする定年男性や、スキマバイトをいくつも掛け持ちする同世代“タイミーおじさん”もたくさんいて、その背景の多様さに驚かされます。

なぜかよく出くわすのは、「タイミーはあくまで副業で、本業は別にあるんです!」と、聞いてもいないのにアピールしてくる方。「スキマバイトをしている自分が恥ずかしい」と捉えている人が意外と多いのだな、という印象です。

セレブ主婦に株損男性。多様なタイミーさんたち
研修会場の案内の仕事ではスーツ着用必須のところも。黒いパンプスを持っていなかったため、新調するハメに。4000円程度の歩きやすいパンプスをゲットできたが、1回のバイト代がすべて吹っ飛ぶ

肩書きも年齢を脱ぎ捨てて働く心地よさ

タイミーという場の最大の特徴は、これまでの肩書きも年齢も一切関係ない、「ただの一人の作業者」になれる自由さです。そこには、普段の生活圏にいたら交わることのなかった多様な人々が交差し、フラットに働ける面白さが。そして職場から職場へと転々と移動する、「渡り鳥」のような身軽さが心地いいのです。 

このスキマバイト生活を通して、私が得たものは少なくありません。当初の目的だった体力アップはもちろんのこと、何より脳が若返ったような刺激を受けました。

50代ともなると、日常生活で誰かから指示されたり、怒られたりすることはめっきり減りますが、新しい職場に一歩足を踏み入れれば、右も左もわからないただの新人です。毎回新しい職場で、自分の子ども世代とも言える20代の社員やバイトリーダーから仕事を教わり、一からやり方を学ぶ経験はとても新鮮。年齢とともに凝り固まっていた頭が、少しずつほぐれていくようです。

さらに大きな収穫は、自分の「得手不得手」を改めて発見できたことです。個人事業主として在宅ワークが長かった私は、店舗での品出しのような、一人黙々と行う作業が向いていると思い込んでいましたが、実際に経験してみると全くの大間違い。

人と関わり、人と触れ合う仕事のほうがずっと好きだし、向いているのだと気付かされました。特にお祭りイベントのサポートや、セミナーの司会のような仕事があると、自然と胸が躍ります。

肩書きも年齢を脱ぎ捨てて働く心地よさ
バイトのおかげで虚弱体質だった体が激変。朝から晩まで、都内の5つの不動尊をめぐる「五不動巡り」ができるほど体力がついた(合計23000歩)

眠っていた経験が思わぬ形でよみがえる

また、これまで培ってきた「経験」が活かせる仕事との思いがけない出会いもありました。

例えば、長年のライターとしての執筆経験が、商品モニターの感想やレポートを書く仕事に展開できたり。かつての会社員時代の営業経験が、イベントでの販促の仕事に活かせたりと、自分の中に眠っていた「過去の経験の幅」を広げられることも、スキマバイトのメリットです。

過去のどんな仕事経験も宝となって、輝き出す面白さがあります。 

スキマバイトの求人には、介護士、看護師、保育士、美容師などの資格を活かせる仕事から、かつての事務経験や接客経験も活かせる仕事もたくさんあります。未経験歓迎のところも多いので、「ちょっとやってみたいな」と興味を惹かれた仕事にチャレンジするのも、大人の社会科見学のようで楽しいかもしれません。

何しろ履歴書や面接のために重い腰を上げる必要もなく、「小さく試せる」のが利点。しかも、うれしいことにお小遣いという実益まで得ながら、です。

働いて見えた、社会への感謝と50代の小さな希望

普段、何気なく通っている近所のスーパーや小売店の店員を経験させてもらい、その仕事の裏にある大変さも思い知りました。

後日、客としてスーパーに行くと、レジや品出しをしている店員さんに「いつもありがとう」と言いたくなるし、買い物カゴが散乱していればそっと片づけたくなる。どれだけの人が自分たちの生活を陰で支えてくれているのか、ほんの少しですが、その一端を見られた気がするのです。自分の中に社会への“感謝の種”が芽生えたことで、より幸せ感が増した気がします。 

50代。人生の折り返し地点を過ぎて、自分の枠や限界はこんなものだろうと、無意識のうちに決めてしまっていました。でも、一歩外の世界へ踏み出してみれば、この歳になっても、まだまだ自分の可能性や成長は広がる――。そう、心から思えたことがスキマバイトを通じて得た一番の財産です。

最後にこれまでの約1年で得た報酬金額をご紹介。全部で80日働いて(1日2、3時間程度)、合計金額は、27万193円です。

ラーメン店の皿洗いでリーダーから叱られたり、清掃の仕事で正式バイトにスカウトされて有頂天になったり、小売店の品出しでパワハラチックな出来事に遭って心折れそうになったりと、たくさんの汗と涙が詰まった27万円。得られたものはそれ以上の価値があります。

これからも新たな仕事、新たな自分との出会いを求めて、ちょこちょこチャレンジしていきたいと思います!

働いて見えた、社会への感謝と50代の小さな希望

 

伯耆原良子
伯耆原良子

ほうきばら・りょうこ 人材業界の営業を経て、日経ホーム出版社(現・日経BP)で編集記者に。独立後は2000人超の企業トップや芸能人、アスリートなどの人生哲学をインタビュー。現在は「50代からの生き方・働き方をアップデートする」をテーマに、毎日を軽やかに、面白く更新していくヒントを届けている。