地震、豪雨、台風…中高年が命を守る災害への備え23
2023.03.082023年03月11日
東日本大震災、熊本地震、豪雨を体験して
大震災・豪雨、被災してわかった本当に必要な防災対策
大地震や、台風による水害といった災害が起きたら、いざというときに自分の命を守る行動が取らないといけません。地震や豪雨に被災した女性たちが考える、本当に必要だった災害への備えと防災の知恵を集めました。非常食や用意しておくべき物もわかります。
2011年東日本大震災被災者の防災・避難所対策
災害時の防寒対策は万全に。薬は多めに持って避難すると安心
Aさん (75歳・福島県南相馬市)
2011年3月13日、原発の影響で96歳の義父と夫の3人で市内の避難所に2泊、次に相馬市の避難所に2泊。車で長座布団を持ち込みダンボールを敷き、寒さをしのぎました。
おにぎりは1人1個。ストーブでお湯を沸かし、持参していたフリーズドライのみそ汁が活躍しました。知らない人ばかりで義父の元気がなくなり、その後、岩手の姉の家で約20日、いわき市の娘の家で約1か月、お世話になりました。義父の薬が不足し、家に取りに戻ったこともあったので、薬は多めに持つと安心です。
【私の教訓&役立った物】
- 避難所では、ダンボールを1枚敷くと暖かい
- 避難所で、フリーズドライのみそ汁が活躍
- 車のガソリンは半分になったら入れておく
- 薬は多めに持つ
家具の固定は必須、寝室では上に物を置かないで
Bさん (77歳・宮城県白石市)
3月11日は耐震仕様の家でも大きく揺れ、孫とテーブルの下にもぐり、クッションをかぶって避難しました。観音開きの食器棚から食器が出てきて割れ、オーブンやパン焼き機も落下。水道が止まり、風呂の水の残りをトイレのタンクに入れて使いました。
湯たんぽや、お湯を入れたペットボトルは寝るときの寒さ対策になりました。今は家具や食器棚を固定し、特に寝室では、上の方に物を置かないようにしています。
【私の教訓&役立った物】
- 家具や食器棚の扉を固定する
- 特に寝室には、上の方に物を置かない
- 寒さ対策に湯たんぽ、ペットボトルを常備
人の助けによって津波と火災から命を守れました
Cさん(67歳・宮城県名取市)
大震災の当日、私は外出しており、家に残した母はお隣さんの車で避難所に連れて行ってもらい、無事でした。心から感謝しています。避難所にも津波が襲来。3階で一晩過ごし、おなかがすく余裕もなかったです。2015年に家を新築してからは、家具は減らし、缶詰なども常備しています。
「災害発生時、命を守れるか」を第一に考え防災に取り組んでください。その後私は多くの人に助けられ、公的支援も受け、今があります。再び力が戻ったら次は誰かを支える。そうありたいです。
【私の教訓&役立った物】
- ご近所とのつながりを大切にする
- 家具は減らし、飲み物や缶詰は多めに常備
2016年熊本地震被災者の防災・避難所対策
避難生活で必要だったのは、水を入れるタンクでした
Dさん(68歳・熊本県益城町)
2016年4月14日、益城町は震度7の揺れに遭い、自宅は大規模半壊。約1か月車中で過ごし、ご近所同士で食料を分け合ったり見回りをしたりして乗り越えてきました。自宅のリフォームは翌年末に完了。
この地震で特に困ったのは水です。水を入れるタンクもなく、親戚がダンボールにビニール袋を3重にした即席タンクを作り、運んでくれました。ラップや紙皿、新聞紙なども役立ちました。今は、2Lの水6本入りを2ケース常備しています。車にはタオルなども積んでいます。
【私の教訓&役立った物】
- 水は、2Lの水6本入り2ケースを常備
- ラップや紙皿、新聞紙などを用意しておく
- 日頃からご近所とのつながりを持っておく
2回目の大きな揺れへの準備と心構えが必要
Eさん (74歳・熊本県玉名市)
熊本地震の1回目の揺れ(前震)の後、家を片付けて疲れた翌日の夜中、震度6強の本震が来ました。電気が消え、避難所へと動き始めましたが、すぐ電気がついたのと、夫が退院したばかりだったので避難所で過ごすよりはいいと、家にとどまりました。
電気、ガス、水道が止まっても過ごせるよう、水やカセットコンロの備えは必須と実感。避難用リュックは寝室に1人1個常備。2回目の揺れへの心構えも必要です。
【私の教訓&役立った物】
- 水は、4Lのペットボトル10本常備すると安心
- オール電化の家なら、カセットコンロは必須
- 寝室の押し入れに、11人11個の避難用リュックを常備
豪雨被災者が語る、水害への備えとは?
九州北部豪雨を経験。自主避難のタイミングを逃さないで
Fさん(66歳・福岡県朝倉市)
2017年7月の九州北部豪雨では、家の裏の筑後川だけを気にしていたら、北側の山崩れで小さな川が氾濫。短時間の記録的大雨のため、車道にも濁流が流れ込みました。車を出せず、夫と隣の奥さんとタオルケット持参で歩いて避難所へ。
翌朝、家に帰ると、車庫の車がタイヤ半分ほど泥に埋まっていました。水道はしばらく止まり、水は給水所にもらいに行き、トイレにも困りました。公民館のトイレを使わせてもらったことも。備えは必須です。
【私の教訓&役立った物】
- 大雨の際、どのレベルでどこに避難するか、決めておく
- トイレの備えを忘れない
西日本豪雨を経験。不用な物は片付けておくべきでした
Gさん(68歳・広島県福山市)
2018年7月、西日本豪雨で増水した川の水が我が家の裏にある水路に流れ込み、玄関と庭が浸水。家族は無事だったものの、靴はぷかぷか浮かび、庭に置いていたガラクタ類も水浸しになりました。今までは使えそうな物は取っていましたが、取っておいてもいいことはないというのが最大の教訓でした。
次の非常時にはすぐ必要な物を取り出せるよう、日頃から家の中を片付け、庭には土のうを積んでいます。
【私の教訓&役立った物】
- 災害後の片付けの手間が増えるので、物は少なくする
- 水路が近くにあるなら、土のうを積んでおく
取材・文=野田有香(ハルメク編集部)、撮影=中川まり子、イラストレーション=Yuzuko
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年10月号に掲載した記事を再編集しています。
「苦難を受け入れ今を生きる」気付きがここに
東日本大震災から12年。忘れてほしくない、編集部員が取材してきた「人」と「希望」の記録。
- 2011年:自分の今いる場所で、前に進む力を取り戻したい
- 2011年:親を失った被災地の子どもたちに届け!絵本と想う心
- 2011年:何があっても大丈夫。いつか、そう思える時がくるから
- 2012年:旅館再開。海鮮漬け復活。奥さんパワーで地元を元気に(3/10公開予定)
- 2018年:7年経っても消えない思い、新たに生まれた出会い(3/10公開予定)
- 2019年:8年越しの夢。人と夢と故郷をつなぐ、喜びの一本道
- 2021年:希望の詩「開き直って、もう一度、生きてみるすか」
東日本大震災体験談と役立つ防災情報まとめ
大地震や、台風による水害といった災害が起きたとき、自分と大切な人の命を守るために――。地震や豪雨に被災した女性たちが考える、本当に必要だった災害への備えと防災の知恵を集めました。
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