震災後、みんなの思いを乗せて、全線開通!

8年越しの夢。人と夢と故郷をつなぐ、喜びの一本道

公開日:2023.03.06

震災後、津波で甚大な被害を受け、一部不通となっていた三陸鉄道がようやく全線開通し、再び列車が走ることになった2019年。岩手県釜石市が故郷の編集部員・野田が、地元のみなさんの喜びをこの目で見ようと現地取材した当時のレポートです。

鉄道が走る、当たり前ではない幸せ。三陸鉄道再開物語
鵜住居駅で。釜石東中の生徒たちが復興支援に感謝を込めてデザインした列車を迎えた(写真=中井精也)

三陸鉄道のこれまで

1981(昭和56)年
11月……三陸鉄道株式会社が設立。

1984(昭和59)年
4月1日……三陸鉄道旧北リアス線、旧南リアス線開業。

2011(平成23)年
3月11日……東日本大震災発生。津波により三陸鉄道も甚大な被害を受ける。
3月16日……震災5日後、旧北リアス線久慈~陸中野田間が運転再開。3月31日まで運賃無料で運行。
3月20日……旧北リアス線宮古~田老間が運転再開。
3月29日……旧北リアス線田老~小本間が運転再開。

2012(平成24)年
4月1日……旧北リアス線陸中野田~田野畑間が運転再開。
5月30日……旧南リアス線復旧工事着工。

2013(平成25)年
4月1日……NHK朝ドラ「あまちゃん」放送開始。三陸鉄道をモデルにした「北三陸鉄道」が登場、注目を集める。
4月3日……旧南リアス線盛~吉浜間が運転再開。

2014(平成26)年
4月5日……旧南リアス線全線運転再開。
4月6日……旧北リアス線全線運転再開。

2019(平成27)年
3月23日……旧リアス線全線開通。
不通となっていたJR山田線の宮古~釜石間を三陸鉄道に移管。旧北リアス線(久慈~宮古)と旧南リアス線(釜石~盛)が1本につながった。

走り出した列車に手を振る人、人、人

東日本大震災 取材
織笠(おりかさ)駅で小雪が舞う中、大漁旗を振って大歓迎。
駅は、津波で家を流された住民が移転した高台近くに完成(写真=中井精也)

※この記事は2019年3~5月の取材をもとに構成しています。

2019年3月25日、午前11時40分。釜石発宮古行き。ピーッという発車音とともに列車が走り出しました。大漁旗を振る人、手を振る人、人、人、人。

8年ぶりに走り出した列車に乗っていた三陸鉄道社員の三河和貴子さんは、この日の光景が忘れられないと言います。「駅のホームの端から端まで人で埋まっていたり、沿道を一緒に走ってくれたり、自宅の庭から手を振ってくれたり。会社の前で仕事中だろうなという人たちも(笑)迎えてくれました」

東日本大震災 取材

三陸鉄道の広報担当、三河さん。宮古駅で。高校時代は磯鶏駅から列車通学。今も通勤は"三鉄"で(写真=hana)

三河さんの住む町にも、この日開通した駅の一つの磯鶏(そけい)駅があります。「町内で回覧板が回ってきて、列車に手を振ってくださいと。多くの町でそうして盛り上げてくださいました」

この日、さまざまな駅でカメラを構えていた人の中には、1984年から三陸鉄道を撮り続けてきた鉄道写真家・中井精也さんの姿もありました。

中井さんは、「みんなが始発列車に旗を振る様子を見ていたら、泣いてしまいました。織笠(おりかさ)駅で旗を振って迎えていた方たちは、津波で家を流され、...

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