50代婚活奮闘記26・最終話
【26】 50代婚活…3人の出した答えは?それぞれの幸せを目指して
【26】 50代婚活…3人の出した答えは?それぞれの幸せを目指して
公開日:2025年07月23日
短期決戦を目指した!シングルマザーC恵の婚活は……

離婚して10年間、派遣社員として働きながら、ひとり息子を育ててきた52歳シングルマザーのC恵。子どもの成人・独立を機にこれから先の人生に不安を抱くようになり、婚活を決意した。
C恵が抱いていたのは、老後の経済的な不安と、孤独死への不安。正直、これまでは生活と子育てで精一杯だったので、老後資金と呼べるような貯金はほとんどない。この先、今より収入アップを目指せる仕事に巡り合える気もしない。
だから結婚相手に望む条件は、定年退職まで安定した収入があり、浪費癖がなく、これまで堅実に貯金をしてきた男性で、元夫のようにモラハラをしない相手……これだけ。
マッチングアプリをやめて結婚相談所に替えたC恵は、お見合い1人目とは仮交際に進み、最低1日置きで会っていると言っていたが、その後どうしたのだろうか?
C恵に久々に連絡を取ると、驚きの返事が返ってきた。入会から2か月の間に5人とお見合いをして仮交際に進み、その中で真剣交際に進めることになったのは最初にお見合いをした男性。そして、その男性から、出会ってから4か月経った先日、プロポーズがあったという!
相性は、会話の楽しさだけで計るものじゃない
結婚相談所Tの婚活アドバイザーMさんのアドバイス通り、“短期決戦”を実現したC恵。
「私は最初から結婚したい理由を隠さずに伝えていたの。そのせいか、彼は、収入や貯金、財産などの話しにくいだろうことも、自分からしてくれた。そのことで私は信頼されていると思ったし、私との結婚を真剣に考えてくれているって思えた。
好かれようと取り繕うような会話をするより、ストレートに本音を話していく方がお互いの距離をスピーディに近づけられるし、相手をちゃんと知ろう、私のことも知ってもらおうとしたからこそ不安も抱かずに済んだの」
C恵が彼に決めた理由は何だったのだろうか
「ほかの4人たちも条件には合っていたし、みんないい人だったのよ。正直、彼が一番よかったというわけじゃない。でも、ほかの人は仮交際デートのときにこちらが具体的な話をしたり聞いたりしても、なかなか自分の話をあまりしないとか、私の話を聞いてもハッキリとモノを言わないとか、距離感を縮めるのに時間がかかった。いつになったら距離が縮められるのか?縮められても意見が合わなかったら?って考えちゃって。だったら最初から意見を言い合えてスピーディに距離が縮められた彼だなって思っただけよ(笑)」
「私の話を真剣に聞いてくれたし、質問にもちゃんと答えてくれた。会話が楽しいかどうかも相性だけど、こういう真剣に向き合える関係性も相性って言うのかもね!」。将来の不安が消滅したC恵の声は、明るく軽やかだった。
結婚にこだわるのをやめた、バリキャリB美は……

クールでかっこいいキャリア女性の56歳B美は、私が連載を執筆しているファッション雑誌の編集長。29歳で誰もがうらやむ“三高男性”と結婚したが3年で離婚。その後「恋愛も人と暮らすのも面倒くさいからパートナーなんていらない!」と言ってはいたが、彼女の本音は別にあった。
「たまの休日や定年後に一緒に旅行したり飲みに行ったりできる相手が欲しい!」B美の婚活は、4年後に迎える定年後の生活を見据えたことで、突如始められたのだった。
気軽に始めたものの、50代からの婚活はそう簡単にはいかない。条件に合う人に出会えても、他の部分で「ん?」と居心地悪く感じてしまう男性も少なくない。「何かを一緒に楽しむどころか、毎日が苦痛に感じてしまう相手ばかりで……」とB美。それはお見合いでも仮交際に進んでも同じだった。
そうこうしていたらお見合いすら、なかなか決まらなくなった……。
「誰からも望まれない自分って何?って自己肯定感がだだ下がりして、自分の人生を嘆いたこともあったわねー」とB美。今だからこそ笑いながら言うが、当時のB美は自分らしさを失うほど落ち込み、仕事のペースも大きく乱されていた。
一緒に楽しむ相手が欲しい、「結婚」の形じゃなくても…
本来のB美を取り戻したのは数か月後。「落ち込んだとき、自分の将来についてじっくりと考えたのね。それで気付いたの。大人になって一人で何でもできる今、いろいろ我慢してまで誰かと一緒にいる必要があるのか?って。老後を楽しむ相手を確保しておこうと思って婚活を始めたけれど、いろんなことを我慢する相手と結婚して、人生の最後がそれでいいの!?って思っちゃったのよね」。
B美が出した決断は「婚活終了」だった。ただし「絶対に結婚をしない」と決めたわけではない。退職してからの楽しみは、本当に楽しめる相手がいれば一緒にすればいいし、いなければ一人で楽しめばいいと割り切ったのだ。「楽しむ相手に伴侶としての役割も望んだから、難しかったの。一緒に楽しめる相手は男性でも女性でもいいし、一緒に暮らさなくてもいいのよね」
少なくとも彼女にとって“今”重要なことは、伴侶探しよりも、定年まで仕事をがんばれる環境の確保。心を乱してまで婚活をし続けることは本意ではなかったのだ。
「自分自身がどうしたいかをここまで真剣に考えたのって、実は人生で初めてだったのよ。だから、たった6か月だったけれど婚活をしたことは無駄じゃなかった。以前の私のように自分の本音を自分で気付いていない人って多いんじゃないかしら? 身軽な独身こそシフトチェンジはしやすいのだから、人生と本気で向き合うキッカケとして婚活をおすすめしたい((笑)」。そんな特集を作ろうかしら?と笑いながらB美は言った。転んでもただでは起きないところがB美らしい。
結婚を諦めたくない、50歳A子は……

50歳の誕生日に「私、もう、ずっと独身で生きていかなくちゃいけないのかな……?」とうつむいてつぶやいた大手メーカーの営業職A子。まったくモテないわけではなく彼氏がいることも多かったのだが、なぜか結婚に至らず。誕生日の少し前に、5年以上お付き合いしていた彼に逆プロポーズをしたところ断られたばかりだった。
長年の夢だった結婚を諦め、これからの人生に寂しさを感じていた彼女に、婚活をすすめたのは私だ。「50代にもなってそんな……」と躊躇していた彼女だったが数々の結婚相談所を巡った結果、入会したのが50代以上の婚活を支援する、結婚相談所Tだった。
今までに出会ったことのないタイプの男性と出会えるのが結婚相談所での婚活の良さ。今までうまくいかなかった相手とは違うタイプと出会うことで、新しい人生が切り開けると、前向きにA子は婚活を取り組んでいた。
これまで20人以上とお見合いをしその多くと仮交際に進んだが、お見合いやデートのたびにトークを盛り上げようとがんばり、疲れ切って帰ってきた彼女の愚痴を何度聞いたことか!
もう「ふり」はしない。自分らしさを出していきたい

間もなくA子の51歳の誕生日。婚活を始めて約1年になる。お見合いはそれなりにうまくいき仮交際にはつながるようだが、何度か会ってみるものの彼女が気を使うことなく心地よく話せる相手にはまだ出会えていないそうだ。
「正直、結婚相談所の月会費を支払いはしなくちゃいけないし、年齢だって1歳でも若い方がいい。仕事の調整も大変だからいつまでもこの状態は続けられない。だから短期間で決めなくちゃ!って焦っていたのよね」とA子。
「でもね、最近、焦るのをやめたの。“婚活は短期決戦”というけれど、ゴールを意識して急いだり相手をすぐにジャッジしたりするってことでもないのよね。相手と向き合って理解していくことにこそ意識を向けて、それをスピーディに進めていく必要があるってだけだった」
「あとね、私、これまでの人生、とりあえず好かれてから考えればいいって思っていたの。もちろん好かれるための努力はしてきたわよ、コミュ力とか女子力とか(笑)。でも、全方位に好かれる自分を演じていたから、長く付き合った彼に『思っていたのと違った』って言われて別れることになっちゃっていたのよね。本当の私でいいって思ってくれる人に出会うためには、本来の自分自身でふるまわなくちゃいけないって気付いたの。
自分らしくいて嫌われたらしょうがない!って割り切るようにしたら、気を使わなくなったぶん気持ちがラクになったかも!最近、お見合いでは疲れなくなったわよ~」と笑ったA子には、以前より軽やかさが増しているように感じた。
婚活は結婚したいという思いを叶えるための活動。就職したい人が就活するのと同じこと。自己分析してやりたいことやなりたい将来を明確化し、自分自身の想いが遂げられる相手や場所を見つける活動――。相手とのマッチングがうまくいけばめでたく結婚(就職)。
「結婚=幸せになる」という方程式ではないと知っている人も多いかもしれないが、結婚は自分で自分の人生を変えることができるチャンスであることは確実。
人生100年時代の残りの人生はまだまだ長いのだから、「今さら……」と諦めたり「そんなの……」とバカにしたりせず、これからの人生の楽しみを増やす気持ちで婚活にトライしてみませんか?
婚活初心者専門コンサルタント・三島光世さん
三島さんからのひと言
『多くの人が長生きする現代。厳しい環境の中で、元気で楽しく老後を過ごしていきたいと願う人が増えています。まさに第二の人生をどうしたいか?どうしたら楽しめるか?目の前の忙しさのせいで深く考えることがないまま生きてきた人も多いはず。自分の意志で人生を変えることができる独身という身軽な立場の方にこそ、これからの人生の選択肢はいろいろ選べます。結婚に年齢制限はありません。これからの人生に、新しいパートナーという選択肢をプラスしてみませんか?』
婚活業界歴19年。20代・30代向けの結婚相談所「ganmi(眼深)」と50歳以上の結婚相談所「とわ婚」(https://towakon.net/)を展開する株式会社ヒカルヨの代表をつとめる。メディア出演多数。著書に『「普通」の結婚がなぜできないの?』(WAVE出版)、『婚活は「がんばらないほうが」うまくいく』(秀和システム)がある。




