50代婚活奮闘記5・A子の場合

【5】結婚相談所探しで瀕死!「独身歴50年のA子」50代で未婚独身は変なこと?

【5】結婚相談所探しで瀕死!「独身歴50年のA子」50代で未婚独身は変なこと?

公開日:2025年02月05日

【5】結婚相談所探しで瀕死!「独身歴50年のA子」50代で未婚独身は変なこと?

恋愛・婚活ジャーナリストの清葉アキコが出会った婚活女子の第5話。A子は50歳を機に本格的に婚活を決意。「結婚相談所」を探すのだが……A子に突きつけられた「結婚相談所」探しの現実。満身創痍で帰還した瀕死の容態は!?

初めて行った「結婚相談所」にショックを受けて

kou / PIXTA

前回の話はコチラから。「婚活」に希望を抱き、まずは説明を受けるだけ……と気軽に訪れた「結婚相談所X」で思わぬ銃撃に合い、瀕死状態にさらされたA子。“緊急招集”したA子は、私の家に着くや否や、最後の力を振り絞ったかのように一気に話し出し、終えた瞬間、クッションに沈没した。

ソファと一体化したように微動だにしなくなったA子の前に、温かいハーブティーを置いた。気持ちを落ち着かせるというカモミールの香りがやさしく漂う。A子とともにこの部屋に訪れたザワザワとしていた姿のないものが、少しずつ薄れていくのを感じた。

A子がゆっくりと浮上したのは、窓から入る光がだいぶやわらかくなり、カモミールティーがほどよい温度に落ち着いた頃だった。眉間に寄っていたしわも薄くなったように見える。

「結婚相談所」って“最後の砦”じゃなかったの!?

「正直な話、結婚相談所に入会すればすぐに結婚できるって思っていたんだよね……。50歳という年齢もあるし高望みをしちゃいけないって思ってはいたけれど、心のどこかでそれなりのレベルの男性と結婚できちゃうかもしれないな、って思っていたの」

両手で包むように持ったカップの中を見ながらA子は語り始めた。静かに静かに……。

「それなのに、たった4つ…しかも超基本的なスペックだけ、それもだいぶ譲歩した条件を挙げただけで『該当者はいません』って言われちゃうなんて。そんなことある!? 

そもそも『結婚相談所』って、条件に合う人を見つけてくれるところじゃないの? よほどのダメ人間じゃない限り結婚相手を見つけてもらえる“最後の砦”じゃないの? 入会しても結婚できないなんてことあるの!?」

あぁ、婚活の現実を知ってしまったのか。結婚相談所に入会したからと言って、必ず理想の相手が見つかるわけでも絶対に結婚できるというわけでもないことを!

お金を払っても、いい条件の相手と結婚できるとは限らない

世間の多くの人は「結婚相談所」ってところを「モテない人がお金を払ってでも何とかして相手を探してもらう”最後の砦“」とか、「ハイスペックな異性を紹介してもらいたい強欲な人が集まる場所 」とかいう先入観を持っている。

お金を払うからこそ「結婚ができる・できない」ではなく、より理想的な相手と結婚することができるという認識だ。

A子の中にもそういう先入観があった。

まったくモテない人生を生きてきたわけでもないし、50歳の今、収入や家柄が素晴らしい王子様と結婚しようなどとは思っていない。そんな自分なのだから、「そこそこ(中の上くらい?)の結婚相手は見つかるはずだ」という自信があったのだ。決して口にはしなかったけれど……。

“なんてことない男”さえ…もう残っていないのか?

戦場とは知らずリゾート気分で訪れた地で、ハチの巣状態に撃ち抜かれ、瀕死状態になっていたA子を、なんとかこの世に呼び戻そうと「結婚相談所X」の婚活アドバイザーはこれまでより高い声でA子に声をかけ続けたという。

『大丈夫! 対象年齢を5歳上まで広げて、希望年収を100万円下げてー、身長の希望をあと5㎝下げたらー、ほら、5人もいましたよ~!さらにご希望の条件を広げていけばいろんな人と会えますから!』と。

ご…5人……。

自分の思う“普通の男性”は、ほとんどいないという現実を突きつけられて、A子は、もはや失笑するしかなかった。

“なんてことはない男”と思っていた友人の旦那さんのような男性も、過去に付き合ってきた彼氏レベルの男性も、自分にはもう残されていない……。そう思うとA子は息が苦しくなった。

とにかくこの現実という銃弾が飛び交う銃撃戦の地と、笑いながら射撃を続ける婚活アドバイザーから離れたい……。A子は挨拶もそこそこにしてその場をあとにしたのだった。

そもそも50代で独身は“普通”じゃない!?

「でもね、A子。生涯未婚だけでなく離婚経験者も含め、50代で“独身”の男女は全体のたった3割程度しかいないのは事実なのよ。パイが少ないのだから、A子の考える“普通”も、当然少なくもなるわよね。

それに、一般的であることや並みレベルであることを“普通”というなら、これまでいろいろがんばってきた“独身組”のA子は普通じゃなくて“特別”な人でしょ?」。すっかり冷めたハーブティを飲み干して、私はA子に言った。

「仮に普通の人が見つかっても、“特別”なA子が、その“普通の人”で本当に満足するのか?って思っちゃう。

それより、A子が結婚生活で一番求めていることを叶えてくれる相手として、絶対に譲れないポイントは何かって考えてみたら? A子にとっての“特別”を見つけるの。そっちの方がよっぽど幸せな選択だと思わない?」

結局この日、A子の考える結婚相手への条件を聞くことはできなかったが、次の日に「別の結婚相談所の予約を取ったよ」というメッセージが来たから、あの日に受けた銃創は少しは癒やされたのかもしれない。

婚活初心者専門コンサルタント・三島光世さん

三島さんからのひと言
「若くないから結婚できない……」と諦めないで! 今の自分をいいと思ってくれる人はいますから、自信をもって婚活を。

婚活業界歴19年。20代・30代向けの結婚相談所「ganmi(眼深)」と50歳以上の結婚相談所「とわ婚」(https://towakon.net/)を展開する株式会社ヒカルヨの代表をつとめる。メディア出演多数。著書に『「普通」の結婚がなぜできないの?』(WAVE出版)、『婚活は「がんばらないほうが」うまくいく』(秀和システム)があ

清葉アキコ
清葉アキコ

雑誌編集部に在職していた20年間、「恋愛」「婚活」など女性の生き方に関する企画を多く担当。編集者として25年以上、年間1000人以上の声を聞いてきた取材・分析力や多くの専門家への取材で得た人脈や知識を活かし、恋愛・婚活ジャーナリスト/コラムニストとして独立。女性たちのインサイトに訴えかける恋愛関連記事の制作・アドバイスや、自身の「婚活」経験をもとにした婚活コラムの執筆などを行っている。