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- 俳優・阿部寛!美しい皺を刻みながら年齢を重ねたい
映画「異動辞令は音楽隊!」に主演している阿部寛さん。2022年ニューヨーク・アジアン映画祭で日本人初のスター・アジア賞を受賞するなど、第一線で活躍している阿部さんに、健康の秘訣や俳優業への向き合い方などインタビューしました。
若い頃から変わらず、常にこだわりを持って役と向き合う
――阿部さんは、俳優として年齢を重ねて、仕事への向き合い方に変化はありますか?
阿部寛さん(以下、阿部寛)
あまり変化を持たないようにしたいです。年を重ねると、自然と見た目にも変化は表れますし、依頼される役も変わってくるし、要求されることにも変化があると思います。でも、自分の気持ちとしては、常に新しいことにもチャレンジしていきたい。それは若作りするとかではなく、自分のこだわりを持って、柔軟にかつ貪欲に役と向き合い続けるという意味です。
――こだわりとはどういうことでしょうか?
阿部寛
例えばドラマだったら、みなさんが楽しんでくれる、幸せな気持ちになってくれる、見てよかった!と言ってくれる芝居をしたい。ただ舞台はまた違いますね。自分の限界を超えるような、できるだけ難しいテーマや内容に挑みたい。舞台は、ほぼ毎日幕が開くので、緊張感を持続させるためにも、自分を追い込むくらいの役に挑戦したい気持ちがあります。
そして映画ですが、ドラマよりも自由度は高いので、キャラクターのさまざまな側面を見せていきたい。そのためには今回のドラムのように、習い事も全力で取り組みます。いずれにしても自分は現場が大好きだし、集中して仕事をしている時間も好きなので、常に全力疾走をする気持ちで臨んでいます。
健康維持は定期的な検査、ストレス発散はジム通い!
――俳優の仕事は体力も必要ですが、健康を維持するためにしていることはありますか?
阿部寛
40代に入った頃から、撮影が終わって「今回はハードだったな」とか「無理したな」と思ったら、すぐに病院で検査してもらいます。具合が悪くなくても、健康管理として、定期的に健康診断することは大切ですから。俳優の仕事は、突然ハードな状況になったりするので、肉体的に無理をしがちなんです。だからこそ体を気遣ってあげないといけないですね。
――スポーツは何かされていますか?
阿部寛
ジムにはよく行きます。体を動かすのが好きだし、体力、筋力が上がっていくと精神的にも上がっていくんですよ。トレーニング内容は、筋トレ、ランニング、水泳ですね。ジムは自分にとって栄養剤みたいなもの。ストレスを発散し、元気をくれる場所です。
人生が表現される「皺(しわ)の美しさ」に気付いてほしい
――50代を迎えると、将来への漠然とした不安を感じたりする世代でもありますが、そんな人たちにメッセージはありますか?
阿部寛
僕は、年齢を重ねてできた皺(しわ)というのは、すごく美しいと思うんです。人生経験が表れていますし、とても魅力的だと思います。50代は、そういう素敵な皺を刻んでいく世代じゃないですかね。
先日見た黒柳徹子さんの「徹子の部屋」(テレビ朝日)に、美容家の小林照子・ひろ美さん親子が出演していたんですが、87歳と58歳で、とてもポジティブで美しい! どういう状況であっても、気持ちの転換、意識の転換を少しでも変えれば、美しくなっていくもので、老化を恐れる必要はないんだと思いました。
――気持ちの持って行き方なのですね。
阿部寛
そうですね。あと、大阪で、年齢を重ねた70、80歳の方の写真を撮影しているカメラマンさんがいまして、その方の写真にも衝撃を受けました。刻まれたsi皺の深さに人生を感じて、もはや存在が芸術的。人間のいちばん美しい姿がそこにあったのです。皺に刻まれる人生は深くて美しいなとつくづく思いました。
年をとることを恐れたり、やることがなくてつまらないと思ったりしたら、年齢を重ねることの素晴らしさを感じてほしい。50代は、まだ中間地点。これからいろいろなことに挑戦したりして、素敵な美しい皺を刻んでいただきたいです。
阿部寛(あべ・ひろし)
1964年、神奈川県生まれ。大学在学中にファッション雑誌のモデルからキャリアをスタート。映画「はいからさんが通る」(1987)で映画デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台と多方面で活躍中。主な出演作は「テルマエ・ロマエ」(2012/第36回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞)「ふしぎな岬の物語」(2014)/第38回日本アカデミー賞優秀主演男優賞)など。2022年の主演映画は「とんび」。ドラマは「すべて忘れてしまうから」(ディズニープラス配信:9月)、「続・遙かなる山の呼び声」(9月17日/BSプレミアム)。2023年は大河ドラマ「どうする家康」(NHK)への出演が決まっている。
「異動辞令は音楽隊」
(2022年8月26日公開)
原案・脚本・監督:内田英治
出演:阿部 寛
清野菜名 磯村勇斗
高杉真宙 板橋駿谷 モトーラ世理奈 見上 愛
岡部たかし 渋川清彦 酒向 芳 六平直政 光石 研 / 倍賞美津子
(C)2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会
取材・文=斎藤香 写真=泉三郎 ヘアメイク=AZUMA(M-rep MONDO-artist) スタイリング=土屋シドウ 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
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