夏は血液ドロドロになりやすい?認知症リスクを遠ざける血液サラサラ対策
血管の老化は爪を5秒押すだけでわかる!?
脳梗塞や認知症リスクに備える!ゴースト血管を復活させる5つの方法
40~50代になると気になってくる血管の健康。中でも大切なのが、血管の99%を占める毛細血管の状態です。毛細血管が劣化すると、老け見えや血管系の病気のリスクが高まります。医学博士の福島忍さんに、毛細血管の働きや正しいケアについて伺います。
監修者
福島忍
医学博士
40代以降に増えるゴースト血管
血管に関する病気は、動脈硬化や脳出血、心筋梗塞など多くありますが、それらの対策となると、動脈や静脈といった大きな血管を中心に考えがちです。
でも、実は全身の健康を支えているのは、動脈と静脈をつなぐ「毛細血管」。医学博士の福島さんは、その理由をこう話します。
「毛細血管は直径5〜20μm(マイクロメートル)と、髪の毛の10分の1ほどの細さしかありませんが、全身の血管の約99%を占め、酸素や栄養を細胞に届け、不要な二酸化炭素や老廃物を回収する重要な役割を担っています」(福島さん)
細くて繊細な毛細血管は加齢とともに減少する他、生活習慣の乱れやストレスの影響を受けやすいという特徴があります。
「生活習慣などによって毛細血管が傷つくと、血流が悪くなり、体の隅々まで酸素や栄養が行き届きにくくなって、老廃物も溜まったままになります。そうすると細胞の働きも低下し、様々な臓器の機能低下の原因になります」(福島さん)
さらに、傷んで劣化した毛細血管をそのままにしていると、血流が通わなくなり、「ゴースト血管」へと進んでいくことがあります。
「ゴースト血管とは、血管の“形”はあっても血液(赤血球)が流れていない状態を表す言葉です。正式な医学用語ではありませんが、『人が住まなくなった街(ゴーストタウン)』のように、『血液が通っていない血管』という意味で名づけられました」(福島さん)
人間の体には、体内の状態を一定に保つ「恒常性」という仕組みがあるので、一時的に毛細血管がゴースト化しても、血流を改善すれば元に戻ります。
しかし、ゴースト血管の状態が長く続くと再生が追いつかなくなり、最終的には機能が失われてしまいます。
肌の老化や認知症のリスクに…?ゴースト血管の影響
毛細血管がゴースト化すると、血液(赤血球)が末端まで届きにくくなります。その結果、健康面でも美容面でも不調やトラブルにつながりやすくなります。
1.肌の老化やトラブル
皮膚の末端にまで酸素や栄養素が行き届かなくなると、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)がうまくいかなくなり、シミ・たるみ・くすみなどの肌の老化や、吹き出物・ごわつきといった肌トラブルが起こりやすくなります。
2.手足の冷え
血液は心臓から全身へ送られ、体の熱を運んでいます。しかし、ゴースト血管が増えた部位では血流が滞りやすくなるため、温かい血液が末端まで届きにくくなり、手足の冷えにつながります。
3.むくみ
毛細血管の機能が衰えると、リンパ管が水分や老廃物を回収しきれず、水分や老廃物が血管外に漏れ出てむくみの原因になることがあります。
4.高血圧
血流が悪く、体の末梢で血液が停滞すると、その分心臓が強めに血液を送り出すため、血圧が上昇して高血圧の原因になることがあります。
5.脳梗塞
脳の毛細血管が詰まると、酸素や栄養素が届かなくなって脳梗塞が起こります。脳梗塞で倒れて重篤になる人と、そうでない人がいますが、その違いは毛細血管の量や質に関係していると言われます。量が多く、質がいい人は、健康で長生きできると考えられます。
6.認知症
脳血管性認知症の原因の一つに、「小さな脳梗塞」とも言われるラクナ梗塞があります。
ラクナ梗塞とは、脳の中の穿通枝(せんつうし)という直径200μm(マイクロメートル)程度の非常に細い血管が詰まって起こる病気。こうした小さな脳梗塞が積み重なると脳血管性認知症の原因になります。
また、近年の研究では、ゴースト血管がアルツハイマー型認知症に関与する可能性も指摘されています。
「アルツハイマー型認知症の発症には、脳のゴミとも呼ばれるアミロイドβの蓄積が関係していると考えられています。脳の毛細血管がゴースト化すると、不要なアミロイドβの回収や排出が滞り、脳内にアミロイドβが過剰に蓄積する可能性があります」(福島さん)
脳内にアミロイドβが長年蓄積すると、タウという別のタンパク質にも異常が生じ、それが神経細胞を傷つけると考えられています。その結果、脳の働きが徐々に低下し、認知症の発症につながっていきます。
毛細血管の状態をセルフチェック
40代から増えると言われるゴースト血管ですが、毛細血管の状態は指先の血流を調べることで、ある程度判断できます。
近年は、指先の血管や血流を観察する特殊な顕微鏡『毛細血管スコープ』を導入する薬局・薬店も増えているので、そうした場所で確認してみるのもおすすめです。
また、福島さんによると、毛細血管の状態を簡単にセルフチェックできる方法もあるそうです。
<毛細血管のセルフチェック方法(爪床圧迫テスト)>
1.親指の爪を、反対側の手の指で上からギュッと押さえる(爪の色が白くなるまで)
2.5秒経ったら、パッと指を離す
「指を離した後、2秒以内に爪の色がピンク色に戻るなら血流は正常だと考えられます。一方で、ピンク色に戻るまで5~6秒程度かかるようなら、血流が悪くなっているサイン。毛細血管のゴースト化に注意が必要です」(福島さん)
他に、以下のチェック項目で6つ以上当てはまった人も、毛細血管が老化し始めている可能性があります。
<毛細血管老化度チェックリスト>
□脂っこいものが好み
□濃い味付けが好み
□外食や加工食品が多い
□甘いものが好み
□睡眠不足を感じている
□睡眠時無呼吸症候群がある
□運動はほとんどしない
□血圧が高め(上:収縮期血圧125〜134、下:拡張期血圧75〜84mmHg以上)
□血糖値が高め(空腹時血糖値が100mg/dL以上)
□コレステロール値が高め(LDLコレステロール120mg/dL以上)
□髪の毛が抜けやすい
□白髪が増えた
□耳鳴りがある
□だるさが抜けない
□イライラすることが多い
□シミやシワが気になる
□目の下の紫色のクマが気になる
□ニキビができやすい
□口が乾きやすい
□むくみやすい
□手足が冷える
□痣ができやすい
□爪がもろく割れやすい
□耳たぶにシワがある
□タバコを吸っている
いかがでしたか?
毛細血管の状態が悪くても、血流を良くする生活習慣によって、毛細血管のゴースト化を防ぐ、もしくはゴースト化した血管を改善することは可能です。
夏は紫外線や気温の高さによって毛細血管がダメージを受けやすい季節ですが、冬よりも血流を上げやすいので、毛細血管を回復させやすい季節でもあります。
早めの対策で、毛細血管の衰えを防いでいきましょう。
ゴースト血管を予防・復活させる5つのケア
毛細血管は、消えてゴースト化しやすい反面、血流を良くすることで復活しやすいのが特徴です。
「すでに毛細血管が減ってしまっていても、血流を良くする生活習慣を心掛ければ、元の状態に近づけることは可能です」と福島さん。
早速、今すぐ始めたいゴースト血管対策を教えてもらいました。
■対策1:睡眠を十分取り、毛細血管を修復させる
傷ついた毛細血管は、睡眠中に修復されます。
推奨される睡眠時間の目安は7~8時間程度。夏は寝苦しさから睡眠の質が低下しやすいので、エアコンを活用したり、吸湿性に優れた寝具を使うなどして、快適な睡眠環境に整えましょう。
「睡眠ホルモンであるメラトニンは光に弱いという特徴があります。夏は日の出が早く、早朝から明るくなりますから、寝室に遮光カーテンを使うのもおすすめです」(福島さん)
■対策2:冷房による冷えをケア
夏の体は冷房によって想像以上に冷えています。暑いからとシャワーだけで済ませず、夏でもぬるめのお湯(38~40℃目安)に10分ほど浸かって血管を広げるようにしましょう。
就寝1~2時間前の入浴は、入眠の助けにもなります。
■対策3:有酸素運動&ふくらはぎを鍛える運動を
ウォーキングのように継続的に弱い負荷をかける有酸素運動は、毛細血管が多く集まる筋肉を刺激し、末梢の血液循環を良くする効果が期待できます。
有酸素運動の種類は、ウォーキング・水泳・サイクリング・エアロビクスなどの中から自分に合ったものを選べばOK。時間や頻度は、1日20~30分、週に3回程度が理想です。
なお、真夏に屋外で運動する場合は、午前の早い時間や夕方など、気温が高すぎない時間帯を選びましょう。
「運動では、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎを刺激する運動もおすすめです。かかとの上げ下げといった簡単な運動でも、ふくらはぎの筋肉を刺激し、血液を下から上に押し流して血流を促進させる効果があります」(福島さん)
家事の合間などのすき間時間に、「かかとを上げて、ゆっくり下ろす」動きを取り入れるだけでも効果的。なお、立ち姿勢がつらい場合は、無理をせず椅子などに座った状態で行いましょう。
■対策4:全身をさすって血流アップ
体をさするのは、手っ取り早い毛細血管ケアの一つです。
「やり方は簡単。手足の先から心臓に向かって全身をさすっていきましょう。皮膚の色が血色良く変わっていくのを確認しながら、やさしくさするのがポイントです」(福島さん)
長時間さする必要はなく、お風呂上がりなどに5分だけでもOK。お風呂に入りながら行うのもおすすめです。
■対策5:血管を元気にする食材を
血管のバリア機能を高める食材を、週2~3回を目安に取り入れてみましょう。
「例えばシナモンに含まれる物質は、毛細血管の細胞の接着力を上げ、血液の漏れを防ぐ働きにつながります。パウダータイプなら1回につき小さじ1/2程度を目安に、ドリンクや料理にプラスしてみるといいでしょう」(福島さん)
スパイスの一種であるヒハツや、健康茶として人気のルイボスティーにも、シナモンと似た効果があります。
また、血管のケアでは、オメガ3脂肪酸やイチョウ葉エキスが良いことも広く知られています。オメガ3脂肪酸の中でも有名なのが、血液の流れをスムーズにする「EPA」。EPAはイワシやサバ、サンマなどの青魚に含まれていて、缶詰からも摂取できます。
そしてイチョウ葉エキスは、「生きる化石」とも呼ばれる太古の植物・イチョウの葉から抽出されたエキスです。血管を拡げて血流を改善する作用があり、脳の健康維持にも役立つとして注目されています。サプリメントなどの健康食品から手軽に摂取できるので、取り入れてみるといいでしょう。
「ゴースト血管対策では、ミツバチ産品のローヤルゼリーもおすすめです。ローヤルゼリーは、血管のダメージにつながる高血圧や冷えへの効果がある他、赤血球を増やす作用も報告されており、血管の健康を保つ効果が期待されています」(福島さん)
毛細血管は、年齢に関係なく、「再生する力」を持っています。
これまでに紹介したゴースト血管対策を続けてみて、「爪床圧迫テスト(指をギュッと押さえるテスト)」で2秒以内に爪がピンク色に戻ったら、血流状態改善の目安です。
毛細血管は単なる末端の血管ではなく、全身の健康の土台です。ゴースト血管を回復させる、かつ増やさない習慣で、健康の土台を整えていきましょう。
■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん

山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。医学博士。
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