睡眠不足がアルツハイマー病の原因にも?
暑くて眠れない!睡眠不足で認知症リスクも?夏の「快眠」対策5選
暑くて眠れない!睡眠不足で認知症リスクも?夏の「快眠」対策5選
公開日:2026年06月30日
更年期はさらにつらい…夏の寝苦しさの正体は?
夏本番になると、日が暮れても気温が25℃を下回らず、寝苦しい夜が続きます。
医学博士の福島忍さんは、「夏の夜が寝苦しい一番の理由は、高温多湿な環境下での体温調節の難しさにあります」と話します。
「入眠には深部体温の低下が必要ですが、25℃以上かつ高湿度な環境では、汗が蒸発しにくく、深部体温の低下が不十分になります。そうすると、眠気が起こりにくくなったり、深い睡眠が減ったりといった睡眠トラブルにつながります」(福島さん)
エアコンで室温だけを下げても湿度が高いと不快感が残りますし、むやみに冷やすとその冷気で手足の毛細血管が収縮し、体の熱を放熱する(汗をかく)機能を妨げてしまいます。
さらに更年期は、自律神経の乱れから、そもそも体温調節が難しい時期。そこに夏の高温多湿な環境が重なることで、更年期症状のほてりや発汗が強く出ることもあります。ほてりや発汗が就寝中に起これば、大量の寝汗で目が覚めてしまうことも……。
夏はこのような要因が重なり合って、睡眠に悩む人が増加します。夏を元気に乗り切るために、今のうちから眠りやすい環境や体に整えていきましょう。
睡眠不足だと脳のゴミが溜まりやすい?認知症のリスクも2倍に
睡眠不足は、健康に深刻な影響を及ぼす可能性も指摘されています。
「睡眠不足が続くと免疫力が低下し、感染症や熱中症にかかりやすくなりますし、生活習慣病のリスクが高まることもわかっています。また、アルツハイマー型認知症の原因物質『アミロイドβ』の蓄積につながるリスクも指摘されています」(福島さん)
脳は私たちが眠っている間に、必要な栄養素を取り込んだり、不要な老廃物を排出したりしています。この老廃物の中に、脳のゴミと呼ばれる物質「アミロイドβ」があります。
「睡眠中、脳の中では脳脊髄液がサラサラと流れ、蓄積したゴミ(アミロイドβ)を洗い流しています。溜まったゴミを体外に排出するこの機能は深い睡眠中に活発になるため、夜中に目が覚めたり、睡眠不足になったりすると、脳脊髄液の流れが滞り、アミロイドβが蓄積しやすくなると考えられています」(福島さん)
実際、「睡眠不足や睡眠障害と認知症の関連」を調べた研究では、睡眠時間が5時間未満の高齢者は、睡眠時間が7~8時間の高齢者と比較して、認知症の発症リスクが約2倍あるという結果も報告されています。
慢性的な睡眠不足は、将来の健康をおびやかす可能性があります。生活習慣病や認知症を遠ざけるためにも、夏でもぐっすり眠れる工夫を講じていきましょう。
熱帯夜の快眠ワザ5選
福島さんによると、夏の寝苦しさを解消するポイントは、体温調節をサポートする睡眠環境にあるそうです。
福島さんに、無理なく続けられそうな対策を教えてもらいました。
対策1:夏でもお風呂は有効!ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
お湯に浸かって体を芯まで温めると深部体温が一旦上がり、それが下がってくるときに眠気が強くなります。
お湯の温度は、夏なら38℃前後のぬるめでOK。体調を見ながら、15~20分ほどゆったり浸かるのがおすすめです。
お湯の温度にもよりますが、入浴で上がった深部体温は約1時間かけて徐々に下がっていき、このときに眠気が高まるので、タイミングを逃さず布団に入れるように入浴時間を調節してみましょう。
なお、脱水を防ぐために、入浴前後はコップ1~2杯分(150~300mL)の水分を取ることを心掛けて。就寝前に冷たいものを飲むと、冷えた体を温めようと体温を上げてしまうので、できれば常温の水などを選ぶようにしましょう。
対策2:エアコンを正しく活用
一般的に室温26~28℃が心地よく眠れる環境だと言われますが、これはあくまでも目安。暑い・寒いと感じたら、1~2℃設定温度を変えて調節しましょう。
また、設定温度と同じくらい大切なのが、エアコンをつけるタイミングです。
「日中に室内に溜め込んだ熱は、夜になっても天井や壁にこもっているので、寝るタイミングでエアコンをつけてもなかなか室温が下がりません。寝室に入る30分前くらいにエアコンをONにし、熱の溜まりやすい天井に風を当てておくのが、効率よく涼しい睡眠環境をつくるコツです」(福島さん)
なお、快適な睡眠のためにもう一つ忘れてはならないのが湿度の調節。湿度は50%前後が理想です。エアコンの「ドライ」「冷房除湿」など湿度を下げる機能を使って、室温だけでなく湿度も下げておきましょう。
対策3:夏こそ「長袖・長ズボン」のパジャマを
汗をかきやすい夏は、パジャマの素材を見直してみましょう。
おすすめは、吸水性と通気性に優れた綿やリネン、レーヨンなどの素材です。汗をかいてもベタつきにくく、さらりとした肌触りがキープされるので、睡眠を妨げません。一方で、ポリエステルなどの化学繊維は熱がこもりやすく、湿気た状態が続くことがあるので、夏はできるだけ避けましょう。
夏のパジャマは、「半袖・半ズボン」という人も少なくありませんが、寝具から出た手首や足首にエアコンの冷気が直接当たり、体を冷やし過ぎて睡眠が妨げられてしまうこともあります。全身の汗を吸収するためにも、夏でもゆったりとした「長袖・長ズボン」のパジャマを選ぶのが理想的です。
対策4:寝具は自然素材がおすすめ
暑い夜には、軽量で通気性のある寝具がぴったり。素材は、熱を逃がしやすく、吸湿性と肌触りの良い竹や麻などの自然素材がおすすめです。
「意外かもしれませんが、羽毛が250~300g程度入った薄いダウンケットも、適度な湿度にコントロールする機能が高いので、エアコンとの併用にぴったり。また、接触冷感素材を使った寝具もひんやりとした肌触りで寝入りが快適ですが、購入する際は吸汗性の有無を確認しましょう。汗を吸いにくい素材だと、就寝中の不快度が上がってしまいます。いずれにしても、吸汗性のよいパジャマと組み合わせて使うと良いでしょう」(福島さん)
対策5:睡眠を誘発し、睡眠の質を上げる食材を取る
■睡眠ホルモンをつくる食材を取る
睡眠のホルモンで知られる「メラトニン」は、脳内物質の「セロトニン」から作られます。日中のセロトニンの分泌量が多ければ多いほど夜間に分泌されるメラトニンの量も増加し、睡眠の質を向上させます。
このセロトニンの主な原料となるのが、タンパク質に含まれる必須アミノ酸の一つ、「トリプトファン」です。トリプトファンは体内で合成できないので、食事から取り入れる必要があります。
●トリプトファンが豊富な食べ物……牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆食品、卵、バナナ…など。
「メラトニンが生成されるまでには数時間かかると言われているので、朝食の時間にトリプトファンを含む食べ物を取り入れるのがおすすめ。なお、はちみつはトリプトファンが脳に届くのをサポートする働きがあると言われているので、朝にはちみつをかけたヨーグルトを食べるのもおすすめです」(福島さん)
また、「ラフマ(羅布麻)」というハーブも、セロトニンの生成を促すとして注目が高まっています。
ラフマとは、中国原産のキョウチクトウ科の多年草。古くは紀元前からお茶として親しまれてきました。
フラボノイドやアミノ酸を豊富に含んでおり、中国薬典には、ラフマの葉の効能として「肝臓を鎮め、心を安定させる。不眠に使用する」と収載されています。
サプリメントや健康食品などで手軽に摂取できるので、一度試してみるのもおすすめです。
■睡眠の質を上げる飲み物を
夜はハーブティーや、疲労回復効果が期待できるノンカフェインの飲み物がおすすめ。カフェインやアルコールが入った飲み物は、入眠障害や中途覚醒の原因になるので、夕方以降は控えめにしましょう。
「ハーブティーは、リラックス効果のあるカモミールやラベンダーなどの他、夏ならペパーミントもおすすめ。抗酸化作用のあるルイボスティーにはちみつを加えて飲むのもおすすめですよ」(福島さん)
いかがでしたか? 今回ご紹介した対策を実践してみて、「日中の眠気に困ることが減った」「夜中に目が覚めなくなった」「目覚めてからスムーズに行動できる」などの変化が見られたら、よい睡眠を取れている証。最近は、睡眠時間や眠りの深さを可視化するアプリなどもあるので、そうしたものを活用してみるのも一手です。
寝苦しさが続く夏は「眠っているつもりでも、ぐっすり眠れていない」状態になりやすいもの。毎日を元気に過ごすためにも、将来の脳の健康のためにも、夏こそ眠りやすい体に整えていきましょう。
■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん

山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。医学博士。




