薄着の季節こそ気をつけたい!
頻尿、尿もれ、膀胱炎…夏に増える尿トラブル対策
頻尿、尿もれ、膀胱炎…夏に増える尿トラブル対策
公開日:2026年06月26日
夏は尿トラブルが増える季節?
更年期になると、尿もれや頻尿などのお悩みが増えてきます。その理由について、女性医療の専門医・関口由紀さんはこう解説します。
「更年期は、女性ホルモン・エストロゲンの分泌量が急激に低下するので、膀胱を下支えする皮下組織や靭帯が薄くなり、たるんだり、知覚過敏になったりします。その結果、膀胱内に尿を十分にためられなくなったり、膀胱や子宮が下がらないように支えている骨盤底筋が緩んだりして、尿もれや頻尿が起こりやすくなります」(関口さん)
こうした尿トラブルは寒い冬に多いイメージですが、実は夏も油断できないのだそう。
「汗をかく夏はトイレの回数が減りそうですが、近年は猛暑もあり、冷たいものを食べる機会が増える、冷房で体が冷える…などが原因で、尿もれや頻尿の症状が強く出る人もいます」(関口さん)
夏は薄着になり、においも気になる季節。それだけに、『尿トラブルにはいつも以上に気を使う』という声も少なくありません。おしっこのトラブルは冬だけでなく、夏も注意が必要です。
膀胱炎や尿路結石にも注意を
夏はさらに、膀胱炎や尿路結石、カンジダ腟炎など、尿まわりの病気も増えやすい季節です。
関口さんに、夏に気をつけたい泌尿器の病気を教えてもらいました。
■膀胱炎
大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込み、炎症を起こす病気です。
通常は膀胱に細菌が入っても、尿を排出することで一緒に流れていきますが、汗をかいて脱水状態になると排出できる尿量が減り、膀胱内に細菌がたまりやすくなります。さらに暑さ・脱水などによる免疫力の低下も発症の引き金になります。
「普段から水分をあまり取らない」「休養を十分に取れていない」「大便をしたあと、後ろから前に拭く習慣がある」など、普段の生活スタイルの影響で発症することも多く、原因となる生活習慣を改善しないと再発を繰り返すことも多い病気です。
主な症状は排尿時の痛みや頻尿、残尿感、尿に血が混じる…など。女性は男性よりも尿道が短いため、その分細菌が膀胱に到達しやすく、膀胱炎になりやすい傾向があります。
■尿路結石
尿に含まれるカルシウム、シュウ酸、尿酸などの成分が固まり、腎臓や尿管に結石ができる病気です。腰や腹部の激しい痛み、血尿などを伴うことがあります。
汗で体内の水分が失われやすい夏は、尿が濃くなる傾向にあります。そうすると、尿の中に含まれる結石のもとが濃縮され、結晶ができやすくなります。
結石が小さいうちに尿とともに排出されれば問題はありませんが、体内に長く留まって大きくなると、自然に排出するのが困難になり、治療が必要になります。
尿路結石を防ぐには、水分をしっかり取って、尿が濃くなる状態を避けることが重要になります。
■カンジダ腟炎
女性特有の病気であり、カンジダと呼ばれるカビの一種によって外陰や腟に炎症が起こります。
腟や腟周辺のかゆみ、排尿時の痛み、カッテージチーズのようなおりものが出るといった症状が見られます。
カンジダ菌はもともと腟内や口内などの体内に普段から存在していて、通常は体に悪い影響を及ぼすことはありません。しかし、病気などで抵抗力が落ちた時などに、通常存在している量を超えて繁殖してしまい、かゆみや炎症を引き起こすことがあります。また、抗生物質の服用によって、雑菌の侵入を防ぐよい菌まで殺してしまい、自浄作用が低下して発症することもあります。
高温多湿で体への負担が大きい日本の夏では、免疫力が低下し、カンジダ菌がより繁殖しやすくなります。
これらの病気は、それぞれ原因や症状は異なるものの、頻尿や尿もれと同様に、夏の生活習慣が深く関係する点は共通しています。
関口さんは、夏の泌尿器のトラブルについてこう呼びかけます。
「夏は暑さによる脱水と冷房による冷えが同時に起こりやすく、知らないうちに膀胱などの泌尿器に負担をかけてしまいがちです。心おきなく夏を楽しむために、日頃から尿トラブル対策を心掛けましょう」(関口さん)
夏の尿トラブル対策4選
夏の尿トラブルやフェムゾーン(デリケートゾーン) のお悩みは、暑さによる脱水や冷房による冷えなど、夏ならではの環境を意識した対策を行うことが大切です。
関口さんに、夏に意識したい対策を教えてもらいました。
■対策1:いつも以上に意識して水分を取る
トイレが近いとつい水分を控えてしまいがちですが、夏は発汗による脱水で尿が濃くなりやすく、膀胱炎や尿路結石が起こりやすい季節です。汗をかいたら水分を取るのはもちろん、喉が渇いていなくても、意識的に1~2時間おきに水分補給を行いましょう。
夏場に飲む量の推奨は1日1.5~2リットルですが、体質や体格によって難しい場合もあるので、不安な場合はかかりつけの医師に相談して飲水量を決めましょう。また、運動などで汗をかいたときは、その都度追加で水分を摂取しましょう。
ただし、冷たいものやカフェインを含む飲み物、炭酸飲料などは、必要以上に尿意を催し、尿もれなどにつながりやすいので注意が必要。プリン体を多く含むビールも結石をできやすくするので、飲みすぎないように気をつけましょう。
■対策2:こまめに下半身の筋肉を動かす
冷房による冷えは、頻尿になりやすくします。室内での冷え対策のために、下半身の筋肉を意識的に動かすようにしてみましょう。
例えば、デスクワーク中に足指や足首を動かすだけでも血流が良くなり、体を温める効果が期待できます。さらに、立ったり座ったり、背伸びをしたりすれば、下半身全体の血流がよくなり、頻尿を遠ざける効果がアップします。
■対策3:陰部を清潔にする
陰部を清潔に保つことで、尿道に近づく細菌の数を減らせます。基本は木綿のショーツで過ごし、ナプキンや尿もれパッド、おりものシートなどが必要な場合は、こまめに交換して陰部が不衛生にならないように気をつけましょう。
高湿度や蒸れは細菌を増やす原因になるので、下着や服装は締め付けの少ないものを選ぶようにしましょう。
「排尿時のウォシュレットはおすすめしませんが、排便をした後は外陰部の汚染と炎症を防ぐため、ウォシュレットによる洗浄がおすすめです」(関口さん)
フェムゾーン用のソープやふき取りシートなどを取り入れるのもいいですね。
■対策4:膀胱の健康維持に役立つ食べ物を
膀胱の健康を保つには、抗菌作用や抗酸化作用のある食べ物を取り入れるのがおすすめです。緑黄色野菜を積極的に取り入れるだけでも、膀胱の健康維持に役立ちます。
また、膀胱内の細菌を増えにくくする働きのあるクランベリーや、抗菌・抗酸化作用で知られるプロポリスなどをサプリメントで取り入れるのも一手。プロポリスを飲用することで過活動膀胱の症状が改善したり、プロポリスとクランベリーを含むサプリメントによってトイレの回数が減少したという報告があります。
なお、塩分と脂肪を取り過ぎると、尿中のシュウ酸や尿酸の濃度が上がり、結石ができやすくなります。
「だしや香辛料、酸味などを活用して塩・醤油を減らす」「揚げ物を1日1品までに抑える」など、少し工夫するだけでも塩分と脂肪の取り過ぎを防げます。
夏は、暑さによる脱水と冷房による冷えなどが重なり、知らないうちに膀胱やフェムゾーン(デリケートゾーン) に負担がかかりやすい季節です。こまめな水分補給や冷え対策、食事の工夫など、ちょっとした心掛けが尿トラブルを遠ざけるカギ。余裕があれば、骨盤底筋を鍛える運動を取り入れるのもおすすめです。正しい知識と対策で、夏の心配事を減らしていきましょう。
■取材協力:山田養蜂場健康科学研究所
■監修者プロフィール:関口由紀(せきぐち・ゆき)さん

山形大学医学部卒業、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了。医学博士。横浜市立大学医学部泌尿器病態学講座客員教授。株式会社フェムゾーンラボ代表。女性医療クリニックLUNAグループ理事長。2019年より横浜の元町中華街駅前で生殖年齢向けの女性医療クリニックLUNA横浜元町と更年期以降向けの女性医療クリニックLUNAネクストステージを主宰。2026年4月よりアクティブシニアクリニックLUNA沖縄院長。




