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体重が増えない・痩せてしまう…もしかして病気?
ストレス痩せの特徴・原因┃食べているのに痩せる理由
Dr.孝志郎のクリニック
藤澤孝志郎
公開日:2023.05.23
更新日:2024.08.16
ストレス痩せにはどんな特徴がある?精神的なストレスは食欲低下や消化機能の低下を引き起こします。食事量が減ったり、栄養がしっかり吸収されないと、体重減少につながることに。医師監修のもとストレスと体重減少の関係について詳しく解説します。
ストレス痩せの特徴
正しいカロリー制限や運動による体重減少ではなく、ストレスで痩せてしまっている場合、「急激な食欲低下が起こる」「不健康な痩せ方であるケースが多い」という特徴が見られることがあります。
急激な食欲低下が起こる
ストレスが原因の体重減少の場合、急激な食欲低下が起こることがよく見られる特徴の一つです。
人は、不安や緊張、恐怖、怒り、悲しみといった精神的ストレスを受けると、交感神経が過剰に反応します。すると、消化管の働きを調節する副交感神経の働きが弱まり、内臓機能の働きが低下することで、空腹を感じにくくなります。
食欲がわかなくなることで食事量や食事の回数が低下して、体重の減少につながります。
「最近、急に食欲がわかなくなった」という場合、ストレスの影響を疑ってもいいかもしれません。
不健康な痩せ方であるケースが多い
ストレス痩せは、不健康な痩せ方であるケースが多いともいわれています。ストレスによって胃腸障害が起こると、食べ物から十分に栄養を吸収できなくなり、必要な栄養が不足することで不健康な痩せ方になります。
必要な栄養素がしっかり吸収されないと代謝も悪くなるため、肌のシワが増える、肌がカサつくなど、見た目にも不健康になってしまうことが多いようです。
ストレスで痩せる原因・メカニズム
体重が減る原因は、大きく分けると「エネルギー消費量の増加」「食事量の減少」「栄養分の吸収不良」という3つがあります。
激しいスポーツや仕事で動き回って体を酷使すると、エネルギーが不足して体重の減少につながることがあります。
また、不安や緊張、ストレスフルな状況などによって精神的なストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れることで「食欲低下・食欲不振」「消化機能の低下」が起こります。
自律神経は消化機能をコントロールしており、消化吸収を促進する副交感神経の働きが抑制されることで、食欲がわかなくなってしまうためです。
ストレスは胃炎や胃潰瘍、慢性的な下痢などを引き起こすことも多く、これによって消化吸収力が低下して、体重減少につながっていることも考えられます。
胃腸障害を起こすと食べた食物から十分に栄養を吸収できなくなり、栄養の偏りも起こるため不健康に痩せてしまいます。
ストレス痩せにつながることがある状況
ストレス痩せにつながることがある状況や背景としては、以下のようなものが多いといわれています。
- 職場環境
- 家庭環境
- 仕事の繁忙期
- 失恋や離婚
- 子育て
- 引っ越し
- 一人暮らし
子どもの場合、学校や受験も、ストレスによる体重減少を引き起こす原因として考えられるでしょう。
50代女性の場合、仕事の他にも、親の介護や死別、子どもの独立、夫との関係、自分の健康上の不安など、大きなライフイベントやストレスがかかる状況が多い年代です。
このようなさまざまな要因が負担となり、食欲低下や体重減少として現れている可能性も考えられます。
もしかしてストレス痩せ?セルフチェック
「ストレスのせいで痩せているのかも……」と思ったら、ストレス痩せのセルフチェックをしてみましょう。
- 睡眠不足、寝つきがよくないなど十分な睡眠が取れていない
- 生活が不規則になっている
- 休みの日にゆっくり休めない
- 休息を取っても疲れが抜けない
- ストレスのかかる状況に置かれている
上記に当てはまる項目がある場合、ストレスがたまっている可能性があります。ストレスが影響して痩せている可能性も考えて、対策していきましょう。
ストレス痩せの放置は危険!
病気ではなかったとしても、ストレス痩せを放置するのはNGです。ストレス痩せでは食欲低下によって体重減少が起こる事が多く、栄養不足になってうまく消化吸収ができなくなると「全身倦怠感」「貧血」「下痢」につながることも。
不健康な体重減少は肌のシワが増える、皮膚がたるむ、脂肪が減ってこけて見えるなど美容面でも多くのデメリットがあります。
また、年齢を重ねると「サルコペニア」と呼ばれる筋肉量の減少・筋力低下が起こります。筋肉量が減ると立ったり歩いたり、出掛けたりすることが億劫になり、これがさらに筋肉減少に拍車を掛けて、自力での歩行が困難になってしまうこともあるのです。
サルコペニアは要介護の一歩手前の状態ともいわれる「フレイル(虚弱状態)」につながることもあるため、健康的な生活のためにも、早めに適切な対策をする必要があるでしょう。
適正体重の目安
肥満だけでなく、低体重もさまざまな病気のリスクを高める原因になります。そのため、痩せ過ぎと考えられる場合は、適正体重を目指すといいでしょう。
適正体重(標準体重)とは、膨大なデータから導き出された、病気になる可能性の低い体重のことです。日本肥満学会では「BMI22」を適正体重としています。
適正体重は、【身長(m)× 身長(m)× 22=適正体重】の式で簡単に計算可能です。例えば身長155cmの人の場合、52.86kgが適正体重となります。
なお、BMIは肥満・痩せを判断するための指標にはできるものの、内臓脂肪の蓄積や筋肉量まではわかりません。健康的な体づくりのためには体脂肪率なども合わせてチェックするのがおすすめです。
ストレス痩せの対処法・予防法
ここからは、ストレス痩せの対処法・予防法をご紹介します。
十分な睡眠を取る
睡眠不足は、さまざまな不調の原因になります。睡眠時には「成長ホルモン」が分泌されています。この成長ホルモンによって代謝活動が促進され、しっかりと脳を休めることができるのです。
十分な睡眠が取れないと成長ホルモンの分泌が少なくなり、「コルチゾール(副腎皮質ホルモン)」が過剰に分泌されてしまいます。コルチゾールは別名ストレスホルモンとも呼ばれており、脳、代謝、免疫系など多くの機能に悪影響を与える原因です。
睡眠不足が起こると、ストレス耐性が弱くなってしまうためストレスを感じやすくなり、些細なことでもイライラしてしまうなど、悪循環が生まれます。
ベストな睡眠時間に絶対的な基準はないため、時間にこだわることなく、自分に合った睡眠時間を取ることが大切です。
体を温める
体を温めると血行が促進され、副交感神経が優位になって、気持ちがリラックスします。
軽いストレッチで体を温める、温かい飲み物を飲む、熱過ぎない温度のお風呂にゆっくり入浴するなどで体を温めるといいでしょう。
冬だけでなく、夏場もエアコンで体が冷えてしまうケースが多いため、出掛けるときは羽織るものを持っておくと安心です。
よく噛んで食べる
よく噛むと、食材が細かく噛み砕かれることで消化がよくなります。また、消化管の働きが促され、食事で取り込んだ栄養素の消化・吸収がされやすくなるため、食事のときはよく噛むことを意識しましょう。
ストレス解消法を取り入れる
ストレスは体重減少の他にも、さまざまな不調を引き起こします。ストレスをため込み過ぎると心や体に異常が現れるようになるため、限界に達してしまう前に対策することが大切です。
散歩やウォーキングなど適度な運動で体を動かしたり、おいしいものを食べる、読書・音楽・映画鑑賞を楽しむ、没頭できる趣味に打ち込むなど、ストレス解消法を取り入れるのもおすすめです。
リラックスしたい場合は、アロマオイルやアロマスプレーなどアロマを生活に取り入れるのも、簡単にできるストレス解消対策です。寝る前や、ストレスを感じているときにアロマを使うと、リラックスできます。
ラベンダー、カモミール、イランイラン、ローズといったアロマはストレス対策や疲れに向いているといわれているため、好みの香りのものがあれば試してみるのもおすすめです。
病院で診察を受ける
しっかり食事を取っているのに痩せていく場合や、食欲がわかなくなって痩せている場合、生活習慣を改善したりストレスを減らしても症状の改善が見られない場合は、なんらかの病気が原因で体重の減少につながっている可能性も考えられます。
「ストレスのせいだから」と自己判断せず、早めに医療機関を受診して医師に詳しく診てもらうことが大切です。
食べているのに痩せるのは病気の可能性も!診察の目安
多かれ少なかれ、誰しもストレスを抱えているものです。
食欲があり、毎日十分に食事を摂取しているにもかかわらず勝手に痩せていく場合、ストレスではなくなんらかの病気が体重減少につながっている可能性もあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。
- 「半年で5%以上」もしくは「1年で10%以上」体重が減っている
- 体重減少のスピードが速い(数か月で数kg、6か月で5kgなど)
- しっかり食事を取っているのに痩せていく
- 他の症状が見られる(発熱、吐き気、胸やけ、腹痛、尿量の増加、強い喉の乾き、寝汗が多くなった、ふらつきなどの貧血症状など)
上記のような場合は、病院を受診しましょう。特に「半年で5%以上」もしくは「1年で10%以上」体重が減っている場合は、早めに病院を受診して検査しましょう。
体重減少が起こる疾患
体重減少が起こる疾患としては、以下のようなものがあります。
- うつ病
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 神経性食欲不振症(拒食症)
- 糖尿病
- 胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎
- 潰瘍性大腸炎・クローン病
- 吸収不良症候群
- 胃がん、大腸がん、膵臓がんなど
胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎や糖尿病、吸収不良症候群や胃がん、大腸がん、膵臓がんなどの病気の他にも、うつ病による食欲低下が体重減少の原因となっているケースもあります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は手の震え、汗をかきやすい、イライラ、疲れやすい、頭痛など幅広い症状が見られ、更年期の症状(更年期障害)や自律神経失調症と間違われることも多い病気です。男女比は1:5で女性に多いといわれています。
ストレス痩せは放置厳禁!早めの対策を
ストレスが原因で食欲低下が起こったり、消化機能が低下すると、体重減少につながることがあります。生活環境の改善やストレスを取り除くなど、早めに対処しましょう。
食べているのに痩せていく場合や、体重減少のスピードが速い場合、体重減少の他にも症状が見られる場合は、ストレスではなく病気が原因で体重が減少している可能性もあるため、早めに病院で検査を受けることが大切です。
※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。
監修者プロフィール:藤澤孝志郎さん(総合内科専門医)
Dr.孝志郎のクリニック院長。日本内科学会認定総合内科専門医。宮崎大学医学部卒業。医学教育の第一人者としても知られ「サマライズシリーズ」、「病態生理講座」、「ラストメッセージ」はその代表作。また、医学英語を取り入れたオリジナルの講座を国内でいち早く誕生させ多数の大学医学部で外部講師として活躍。今日までに海外出身者を含め約10万人の医学生と医師達がその講義を受けた。
著書に「内科系専門医試験 解法へのアプローチ第1集・第2集・第3集」(医学書院)、「糖尿病 自分で治す最強事典」(マキノ出版)、「世界一効率よく若返る!骨トレ!」(ビジネス社)など。監修は「肋骨締め」(KADOKAWA)など他多数。VOGUE JAPAN、an・an(アンアン)、Tarzan、ゆうゆう、ハルメクなど取材記事多数。
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